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Lマウント用SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OSレビュー。Lマウントでは貴重な超望遠レンズだけど、動画撮影には注意が必要!?


DIYの記録でも大活躍のカメラですが、子育て世代にとってはカメラで最も重要な用途はもちろん子供のイベントの撮影。

4ヵ月前に勢いでライカLマウントに手を出してしまい、現在マイクローフォーサーズ・富士Xマウントのトリプルマウント状態…。そんな中、フルサイズのライカLマウントに対しては便利ズームレンズが無い点と望遠レンズが充実していない点に結構不満に感じています。どちらも子供のイベント撮影では使用頻度が高いですからね。

望遠レンズについては既にLUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.を持っているんだけど、運動会なんかでは200mmじゃ絶対足りないなぁ…と悩んだわたしが手を出したのが、今回ご紹介するSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary。パナソニック純正レンズがまだまだ充実していないライカLマウントにおいては超望遠レンズの貴重な選択肢の一つです。

このレンズ、SONY Eマウント版のレビューはそこそこあるんですが、ライカLマウント版に関してはあまり情報がありません。なので思い切って購入したわけなんですが、わたしの使用用途では結構微妙な感じ…。なんならちょっと後悔しているくらいかも…。シグマさん、助けて!

今回紹介するアイテム

商品名:100-400mm F5-6.3 DG DN OS [ライカL用]

メーカー:SIGMA

購入価格:¥105,850(税込)

結論:400mmを撮影出来る貴重な選択肢。しかも安価。だけど動画撮影の挙動にはかなり不満

 

人生初のシグマは望遠レンズ

というわけでSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary(以下100-400mm F5-6.3 DG DN OS)です。わたしにとっては初シグマ製品。マイクロフォーサーズマウントではパナソニックとオリンパスの純正レンズがそれぞれ低価格品からハイアマチュア向けの高価格品までしっかり充実してましたから、これまでサードパーティ製品とは縁がなかったのです。

 

今回人生で初めてシグマ製のレンズに触れたわけなんですが、パナソニックのレンズと比べるとズームリングの回転方向が逆だとか、ピントリングとズームリングの位置が前後逆だとか、ピントリングの質感がプラスチック感全開であまりにチープ過ぎるとか、正直気になることはたくさんあります。

でもピントリング以外の質感は十分良好。マウント近くの鏡筒はしっかりとした金属製だし、お値段を考えますとすばらしい質感だと思います。今回いろいろと比較することになるパナソニックのレンズ、LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.(以下S PRO 70-200mm F4)の方が作りはより立派ですが、お値段は実売価格で約2倍ですからね。1/2のお値段でこのクオリティは十分すぎるでしょう。

なによりも、このレンズはテレコン無しで400mmまでカバーできる貴重な選択肢なのですから、多少気になることがあってもこのレンズを発売してくれたシグマさんには本当に感謝です。

 

LUMX S5に取り付けるとこんな感じ。十分デカいんですが、これくらいならカメラに取り付けたままでもエブリデイスリングの10Lにすっぽり入るから、一応普通に持ち出せる範疇です。

 

S PRO 70-200mm F4と並べるとこんな感じ。三脚座の有無の違いはあるものの、三脚座を取り外せば大きさはだいたい同じ感じ。三脚座無しでの重量は100-400mm F5-6.3 DG DN OSの方が若干重いですが、だいたい同じくらいに感じます。

 

三脚座は中華製の代替品を購入

100-400mm F5-6.3 DG DN OSには三脚座が付属しません。この焦点距離ともなると例え手振れ補正があったとしても手持ちでピタッと止まるわけじゃないので、特に動画撮影では三脚座は必須。

でもねー、オプションの三脚座はマグネシウム製のいいやつなので、一万円くらいするんですよー。

なので中華性の互換品買いました。SIGMAさんごめんなさい!

 

購入したのはHaogeというメーカーのLMR-SM140Sという商品。SONY Eマウント用として販売されていますが、SONY Eマウント用だろうがライカLマウント用だろうが鏡筒の造りは同じなので、この三脚座はライカLマウントでも問題なく使えます。

 

こういうロゴは本当にダサくていらないけど、安いんだから我慢、我慢。三脚座にはアルカスイス互換の溝がついているのが有難いですね。

 

輪っかの内側には鏡筒が傷付かないようにちゃんと樹脂が貼り込んであります。

 


取り付けは元から取り付けられているゴムの輪っかを取り外して、

代わりに三脚座を嵌め込むだけ。オリンパスの40-150mm F2.8 PROと同じような構造ですね。

 

レンズに取り付けた状態。三脚座自体が小さいので持ち手のように使うには無理がありますが、造り自体はかなりしっかりしています。できればSIGMAの純正品を購入したいところなんですが、やっぱり価格がネック。アルミでよいので、もう少しお安くなりませんでしょうか?

 

画質はどうなの?【とりあえず使ってみた感じ】

望遠レンズの魅力はなんといっても遠く離れた被写体をグッと大きく撮影できること。というわけで、早速いろいろと撮影してみました。

野鳥撮影自体にはあまり関心がないんですが、それでもお庭にいろいろとやってくる鳥を見るのは楽しいものです。これはハクセキレイ?最近スズメのかわりにこいつの数がむっちゃ増えてきているらしいですね。

 

400mmといえども、これだけ拡大して撮影するにはかなり近づかないといけません。鳥って小さいですからね。Cラインの製品なので描写は甘めらしいけど、これくらい解像してくれていたら十分じゃないでしょうか?

 

・・・と思いきいや、逆光のようなシチュエーションだと一気に描写が甘くなるような印象です。全体的にボヤっとして、ピントが全然合っていないような感じ。

 

わたしの腕の問題?カメラ側の問題?それともレンズとカメラの組み合わせの問題?原因はよく分かりませんが、同じようなシチュエーションだとやはり同じような写真になってしまいます。フルサイズなのに、その恩恵を全然感じません。

 

同じような悩みは薄暗いシーンでも感じます。フルサイズって光量が少ない場面でも高感度耐性の強さを活かして綺麗な写真が撮れるのがメリットのはずなのに、このレンズだとどうも抜けのよい写真にはなりません。このツバメは屋内ですが、ISOはせいぜい10,000。LUMIX S5ではバリバリの高感度ってわけじゃないのに、ザラザラで描写も甘いです。先程の逆光と同じで、このレンズは厳しめの環境が苦手?

 

とまぁいきなりイマイチな写真を連続でご紹介しましたが、明るいシーンや逆光ではないシーンでは全然普通に使えます。動き物でも瞬時にピントが合いますので、パナソニック純正レンズと同じような感覚で使用することができます。

 

レンズ単体で1kg越えですが、これくらいの重量なら全然手持ちでできますね。三脚なんてどこでも設置できるわけじゃないし、持ち運びも億劫ですから、軽いっていうのは良いことです。

 

ちなみに近くの被写体でも、これくらいの大きさまで写すことができます。

 

でもやっぱり薄暗いシチュエーションだとなんだか描写が甘めなんですよねー。ピントがシャキッとあっていないというか、全体的にボヤっとしているというか。これはちょっと気になりますが、F値的にも元々光量の少ないシーンが向いているとは思えませんから、割り切りは必要かも。

 

画質はどうなの?【LUMIX S PRO 70-200mm F4+テレコンとの比較】

わたしがこのレンズを購入した時、単体で400mmを撮影できるLマウントのレンズはこのレンズしかありませんでした。

しかしながら、×2テレコンを使えばS PRO 70-200mm F4とS PRO 70-200mm F2.8でも400mmを撮影することは可能です。そしてわたしの手元には既にS PRO 70-200mm F4が…

そうなるとやっぱり試したくなるS PRO 70-200mm F4+×2テレコンの組み合わせと100-400mm F5-6.3 DG DN OSとの比較。わざわざこのために×2テレコン、DMW-STC20を購入しました。100-400mm F5-6.3 DG DN OSの性能に完全に満足していたなら、こんな面倒なことしなくて済んだのになぁ。

 

というわけで、早速両者の比較を実施。カメラ設定も画角も当然同じです。普段こうやってレンズのテストをすることなんてないから気が付かなかったけど、S PRO 70-200mm F4の方が100-400mm F5-6.3 DG DN OSよりも派手な色になるんですね。まぁこんなのは好みの問題として・・・

 

今度は先程の写真の中心部分を拡大してみました。S PRO 70-200mm F4+×2テレコンの組み合わせの方が解像しているっぽく感じますが、わたし的にはそんなのほぼ同じじゃね?って感じの差です。

 

今度はPCデスクから外を眺めると見える電線設備。やっぱり2つのレンズで色味って結構違うんですね。わたしのようにjpg撮って出し派の人には重要な要素になるのかも。

 

この写真だと解像感の違いは感じません。それよりも発色の違いの方がよっぽど影響が大きいですね。それにしても×2テレコンって、あくまでも緊急用で画質はイマイチっていわれることが多いみたいですが、こうやって確認するとなかなか優秀じゃないですか。都度付け替えるのは面倒ですが、全然使えますね。

 

こちらはやや逆光気味の、多分100-400mm F5-6.3 DG DN OSが不得意と思われるシチュエーションです。

 

これは予想通り、やっぱり100-400mm F5-6.3 DG DN OSの解像度はイマイチ。手振れとか大丈夫かな?って不安になって何度もチャレンジしたんですが、やっぱりダメ。常にというわけでは決してないけど、光量が乏しいシーンなどで全体的にボヤっとなるのは100-400mm F5-6.3 DG DN OSの特性の一つのようです。

 

ガッカリポイントは動画撮影

ここまで画質のことを長々と書いてきましたが、まぁ実際のところは実用上そんなに気にならないんですよね。仕事で使うわけでも、作品を作るわけでもありませんから。ボヤっとなるのは困るけど、そんな状況で400mmを使うシーンはわたしにはあまりなさそうですから。

しかしながら、実はこのレンズにはそんなことなんて本当に些細に感じるくらい致命的な問題がありまして、それは動画撮影でのAF。

わたしは動画撮影をすることが多いんですが、100-400mm F5-6.3 DG DN OSに期待するのはやっぱり運動会などでの動画撮影。なのに、このレンズだとなぜだか動画撮影中のAFがAF-Sみたいな挙動になります。

つまり、撮影対象との距離が変わる様なシーンだとピントがほとんど追従しなくて、全く使いものになりません。子どもがまっすぐこちらに向かって走ってくるような場面だと、笑っちゃうくらいにピントが合いません。

あっれー?動画撮影中って確か自動的にピントが追従したよね?と思って全く同じ設定のままS PRO 70-200mm F4にレンズ交換すると、こちらではやっぱりなんの問題なくピントが追従してくれます。なのでS5の問題ってわけじゃなさそう。レンズの問題なのか、カメラとレンズの相性の問題なのか、はたまたわたしが何かを見落としているのか…いまのところ原因は全く分からないけど、このままじゃ全く使いものになりません。

カメラボディ側の動画中AFの設定をもっともAF追従方向に振ると、なんとか追尾してくれるようにはなりました。が、もちろんこの設定ではちょっとでもフレーミングがズレると途端にAFは背景などに移ってしまうので、あくまでも緊急的な対応に過ぎません。

ちなみに、挙動に問題がなかったS PRO 70-200mm F4でも×2テレコンを取り付けると若干ですがやはり動画撮影中のAFの追尾は悪くなったように感じましたので、もしかすると焦点距離も関係あるかもしれません?

パナソニックのホームページでは、ちゃんと対応しているとされており、記述上ではパナソニック純正レンズと同じ判定です。う~ん…。

最近シグマからは150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsが出たので欲しい!って思っているんですが、動画撮影での使い勝手が微妙だとすると、迷わず手を出すってわけにはいかないなぁ。

 

写真撮影目的なら全然ありだけど…

比較的安価なレンズとはいえ10万円オーバーですから、やっちまった感がすごいです。

S PRO 70-200mm F4と×2テレコンの組み合わせでも400mmは撮影できますし、なんなら画質はそっちの方が僅かにいいかもしれませんが、S PRO 70-200mm F4と×2テレコンで総額24万円ですからね。価格差を考慮するとこのSIGMAの100-400mm F5-6.3 DG DN OSはとても優秀です。

ただしそれは写真撮影でのお話。

写真撮影ではAFになんの不満もなかったというのに、動画撮影となると途端にAFの追従性と精度が劣るようになるのはかなり不満です。動画撮影メインのわたしとしてはもう大問題。これは、とても困った…。動画撮影の信頼性を考えると、S PRO 70-200mm F4と×2テレコンの組み合わせを使わざるを得なくなりますね。

そうするとこの100-400mm F5-6.3 DG DN OSは不要になっちゃうわけですが、このレンズにもテレコンがありますので、それと組み合わせることでより焦点距離を伸ばすことができます。ちなみに、このテレコンはライセンス上の問題でSONY Eマウント版には無いので、ライカLマウント版だけの特権なのです。

わたしはTELE CONVERTER TC-1411を購入したので、140-560mm F7.1-9のレンズとして使うことができます。動画撮影はちょっとアレだけど、超望遠域の写真撮影ができる唯一の選択肢(その後150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsがでたので選択肢は増えました)ってわけですから、一応S PRO 70-200mm F4との使い分けはできそうです。

しかしながら、暗いシーンでの画質がイマイチとなると、わざわざフルサイズ用のレンズを使う必要ってあるのかな?って単純に思います。マイクローフォーサーズなら10万円だせばPROレンズが買えますから、望遠域はマイクローフォーサーズに担当させるほうが、費用的にも使い勝手的にも良さそうですね。

 

追記:連写時のシャッターブレ?も結構致命的

なんだかんだでその後も1年半ほど使用したんですが、写真撮影でも結構致命的に感じる問題がありました。それが連写時のブレ

どういうことかというと、メカシャッターで連写を行うと徐々にブレが発生するのです。電子シャッターでは発生しないので、シャッターブレによるもの?原因はよく分からないけど、メカシャッターでの連写は正直使いものにならないなと感じました。この現象、気になって調べてみたらいろんなところで同様の口コミが見つかりました。わたしだけの問題ではないみたいですね。

かといって電子シャッターではローリングシャッター現象が起こるので、動き物には使えません。つまり、このレンズでは連写はむちゃくちゃ制限を受けるということです。軽さは魅力的だけど、購入をお考えの方はご注意を。

 

また追記:150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsに買い換えました

動画でのAFの挙動や連写時のブレ、そして撮影条件が悪い時の画質への不満点から、2年ほど使用した後にシグマの150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsに買い換えました。

150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsではこれらの問題は全て解決しました。大満足!といいたいところなんですが、その代わり150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsのデカさと重さといったら、もう!改めて100-400mm F5-6.3 DG DN OSってほんと軽くてコンパクトだったんだなぁって感じています。

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