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『パナソニック LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm』レビュー!超望遠が手持ちで撮影でき…ないっ!?


今回紹介するアイテム

商品名:LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ASPH./POWER O.I.S.

メーカー:パナソニック

購入価格:約140,000円(税込)

結論:超望遠撮影がしたいなら数少ない選択肢。決して使いやすいレンズじゃないから注意!

カメラの散財が止まらない!

今年は春先からのコロナ騒ぎもあって、カメラ関係の散財が止まりません。

コロナ騒動のせいで旅行やレジャーはぜ〜んぶ取りやめ。かといってずっと家にいると気が滅入るので、そうなるとごく近場のお出掛けや、子供とのお散歩の頻度が増えるわけです。

子供とずっと一緒にいると、せっかくの機会だからたくさん写真撮らなきゃ!…って、ついついカメラのレンズが欲しくなっちゃうんですよねー。

以前ご紹介したマイクロフォーサーズの便利ズームの王者といっても過言ではないM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROも春頃の自粛期間に購入しちゃったし、

その後も富士フイルムのレンズを2本も買っちゃった〜。

最近は更にX-T4が無茶苦茶欲しくなったけど、一般的な会社員に過ぎないわたしがホイホイ買ってよい金額の物ではないので、なんとか我慢しました。偉いぞ、わたし!

・・・のはずが、後日、酔った勢いでこんなの買っちゃいました。

パナライカの超望遠ズーム、LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ASPH./POWER O.I.S.です。全然偉くないぞ、わたし…

 

田んぼに来るシラサギを撮りたい

以前ご紹介しましたが、わたしは水田のある景色が好き。農家じゃないからこんなお気楽なことを言えるのかもしれないけど、水田のある景色って綺麗ですよね。夕方なんて特に素敵。

そんな水田の中を優雅に飛び回るシラサギって本当に美しいですよね。

苗を踏み荒らしたり、フン害を起こしたり、害獣としての側面も強いようですが、この大きな鳥を身近な場所で見れるのはなかなか贅沢ではないでしょうか。

せっかく身近な場所でこんな鳥がいるのだから、もっと本格的に撮ってみたい!それが今回LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ASPH./POWER O.I.S.(以下パナライカ100-400mm)を購入した理由です。

後々冷静になって考えてみると、そのような目的だけの為にはあまりに高い金額なので思いっきり後悔したのですが、まぁ、ほら、カメラのレンズはリセールバリューがかなり良いですからね…。気に入らなければ売ってしまえば良いのです。

 

質感は流石のパナライカ

というわけで、パナライカの100-400mmです。

パナソニック製のLEICAブランドはよくパナライカと呼ばれていますが、このシリーズは本家LEICA製のレンズの雰囲気そっくりのデザイン。もちろん雰囲気だけじゃなく、質感もかなり上質なのが大きな特徴。Ⅰ型のパナライカ25mmはちょっとアレだったけど…。

 

内部の鏡筒はプラっぽいけど、外側は質感の高い金属製。ひんやりと冷たい金属外装がわたしは大好きなんだ!

パナソニックのLEICAシリーズと、オリンパスのPROレンズはズームリング・ピントリング共にしっかり金属製だから大好き。

富士フイルムなんかはレッドバッジズームでもズームリングが樹脂製の滑り止めラバー巻き仕様なんですよね。機能的にはそちらの方が良いかもしれないけど、所有感という面ではやっぱり金属製!

 

このレンズで一番びっくりしたのが、三脚座の回転機構。

わたしがこれまで一般的だと考えていたのは、三脚座だけがグルっと回転する機構だけど、こいつはスイッチ類なども全てグルっと回転します。つまり、三脚座を回転させて縦構図にしたとしても、手振れ防止スイッチなどのスイッチ類は横構図の時と全く同じ位置にあるのです。縦構図にした場合、他のレンズだとスイッチ類はカメラの下側になってとても操作し辛いですから、これは画期的な構造ですね。

ただ、そのデメリットとして三脚座は90°しか回転しません。持ち運び時は真上の位置にするって人にはかなり不便かも。

 

フードは超短いやつが付属。付属というか、スライド式でレンズから取り外すことが出来ません。

超望遠レンズなのにこの役に立つのか分からないようなフードはけしからん!っていう意見も多く目にしますが、そもそも持ち運び重視でフードを付けることが滅多に無いわたしとしては大歓迎の仕様。コンパクトさを特徴とするマイクロフォーサーズらしい割り切りっぷりですね。

 

G9PROと組み合わせるとこんな感じ

愛用のG9PROと組みわせるとこんな感じ。

35mm換算800mmとしては驚異的なコンパクトさらしいけど、素人目に見たら十分デカい。デカすぎます。でも、周りの目さえ気にしなければ、十分普通に持ち出せる範疇の大きさと重量です。

 

そして伸びます。むっちゃ伸びます。

G9PROの重量が約658g、それに対してこのレンズの重量が約1kgと、思いっきりレンズ側ヘビー。

このレンズの恐ろしいところは、中古で見かけるマウントが破損した個体の多さ。落としたのかぶつけたのかは分からないけど、他のレンズよりも圧倒的にマウント部を破損しやすいというイメージを持っています、わたし。

しかも厄介なことにマウントを破損した場合、修理するよりも購入し直した方が良いくらいの修理費用になるみたいで、だから破損したレンズが中古市場に流れてくるわけです。お、恐ろしい…。

なので、このレンズを装着している時は細心の注意を払って持ち運びましょう。レンズ側がでかくて重いので、カメラボディではなくレンズ側を持った方がマウントへの負担は少ないでしょう。

 

仕方が無いけど操作性はかなり微妙

質感の高さにウッキウキだったのですが、実際にカメラに装着して使い勝手を確かめるうちにかなり意気消沈。そう、わたしにとってこのレンズはかなり使い勝手が悪かったのです。

このレンズ、冒頭ではシラサギ撮影する為に買いましたって紹介しましたが、買ったからにはわたしがメインとする子供のイベントの動画撮影にもバリバリ使用するつもり。

しかしながら、その目的を絶望的に感じさせるのがズームリングの操作性の悪さ

このレンズのズームリングの操作性は、むっちゃ重たいんです。しかもトルクも一定じゃなくて、200mm付近からが400mmまでが特に重たい感じ。なんでも自重で勝手に鏡筒が伸び縮みしないようにする為なんだそう。

ズームリングの操作は指でつまむ感じだと無理があるから、手でしっかりと掴むようにすることになります。しかしながら、そうするとグイっと一気にズームリングを回すのが難しいのです。

というのも、三脚座とズームリングの隙間がそれ程広くない為、グイっと回そうとすると手の甲が三脚座につっかえてしまうのです。この隙間、指なら入るんだけどなぁ。

なので、特にテレ側からワイド側に一気にズーム倍率を変えたい時なんかは、グッ、グッ、っと複数回に分けてズームリングを回す必要があります。

これは滑らかな動画撮影には圧倒的に不向きな仕様で、どうしてもズームリング操作時に映像がブレちゃうんですよね。

もちろん、このズームリングの回しにくさは写真撮影時にも大きな影響があります。

超望遠距離でずっと被写体を捉え続けるのは極めて難しいですから、ワイド側である程度被写体を捉え、その後ぐっとテレ側にするという使い方がメインになるでしょう。しかしながらこうもズーム操作がし辛いと、せっかく被写体をワイド側で捉えても、ズーム操作の間のブレでフレームアウトさせてしまう可能性がとても高いのです。というか、わたしは下手っぴだから、手持ちだとずっとそんな感じ。

ズームリングの操作性が軽ければ指先でシュッと回すことが出来るんだろうけど、このレンズはインナーズームじゃないから仕方のないことなんでしょう。自重で勝手にレンズが伸びてしまうのも困りますからね。

その点、インナーズームであるM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROはズームリングがむっちゃ軽くて、それが動画撮影における使い勝手にむっちゃ貢献していたんだなぁ、と今更ながら気が付きました。45-150mm F2.8 PROは本当にいいレンズ。

 

そんな使いにくいズームリングですが、更にズームリングロック機構もついています。どうやらパナソニックさんはよっぽど自重で勝手にレンズが伸びてしまうのが嫌な様子。

このズームリングロック機構はロック側に押し込む時にグニュっという嫌な感覚があり、決してカチッというようなソリッドな操作感ではありません。値段が値段なだけに、この嫌な感覚は結構怖い…。

ちなみに、このロック機構を使っていても、少し力を入れればズームリングを動かすことが出来ます。きっとこのズームリングロック機構は車のサイドブレーキみたいな構造なんでしょうね。

 

写りは文句ないと思う。多分

操作性にはちょっと、いや、かなり不満は感じたものの、35mm換算800mmが手持ち撮影出来るというのはとても魅力的。

早速お散歩に持ち出してシロサギを撮影しようじゃありませんか!プロが撮影するみたいに、でっかく写そうじゃありませんか!

というわけで、このレンズでのファーストショットがこちら。

・・・あれ、なんか遠くね?

35mm換算800mmって言えば、わたしは肉眼ではろくに見えないものでもグッと大きく写せるような気がしていました。でもそれは気のせいだったようです。よく見かける野鳥写真や昆虫写真のように鳥や虫をグッと大きく写したければ、思っている以上に近付かないとダメみたい。

先程の写真を拡大してみると、あれ?全然シャキッとしていないじゃないか!?

この写真は夕暮れ時に撮影したのですが、どうやら手ブレを起こしている様子。これじゃぁパナライカらしい写りだとか、描写力とか、そんなの評価できるわけありません。

いくら手振れ補正がついているからといってもやはりF6.3の超望遠レンズ。「35mm換算800mmが手持ち撮影出来る」というのがこのレンズのなによりの特徴ですが、それは誰にでも簡単にっていう意味では決してないようです。これを使いこなすにはしっかりとした技術が必要なようで、わたしのようにそれがない人はおとなしく三脚を使用するべきでしょう。

 

各種レビューではテレ側の描写が悪いっていう評価を良く見ますが、そもそも35mm換算800mmの超望遠ともなると、レンズの描写力以外にも微細な手振れや、大気の揺らめき、モヤなんかにより盛大に影響を受けるのではないでしょうか?

というのも、テレ側の最短撮影距離付近で撮った写真の描写は、わたし的にはいずれも全く不満はありませんでした。ということは、条件さえ良ければ、超望遠域の撮影でもきっと全く不満のない写真が撮れるはず!?まだそのような機会に恵まれていないから、予想だけれども。

 

とりあえずいろいろ撮影してみました

使用用途がかなり限られるレンズなのでまだまだ撮影機会は少ないのですが、積極的に試し撮りするようにしています。今のところは超望遠域での撮影よりも、望遠マクロレンズ的な使い方の方が使い勝手が良いかも…って思っています。

太陽のような強い光源を目を傷めずに撮影出来るのはEVFの利点。パナライカ100-400mmだと夕陽をこんなにでっかく写すことが出来ます。

こちらはお庭のシマトネリコに嫌という程湧いてくるセミ。拡大して見てみると、めちゃくちゃ細部までしっかりと描写されていて驚きました。テレ側最大でも、望遠マクロ的な使い方だと描写力には全く不満は感じませんでした。

一方で同じテレ側最大でも遠距離の撮影となると失敗率はかなり高め。壊れたツバメの巣で毎朝一休みしているこのスズメは、手持ちではどう頑張ってもシャキッと撮影することが出来ませんでした。そして、やっぱり遠い。う~ん、難しい…。

このキジバトは上手く撮れた!…いや、やっぱり遠いな~。

キジバトって、朝方や夕方にホーッホーッホーホーって鳴いているあの特徴的な鳴き声の鳥です。あの鳴き声がフクロウかなにかだと思っている人も多くおられますが、正体はこんな可愛らしい鳥なのです。我が家の周りにはなぜだかこいつらがたくさんいます…。

 

用途は限られるけど、面白いレンズ

というわけで、本日はパナソニックの超望遠レンズ、LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ASPH./POWER O.I.S.のご紹介でした。

このレンズの価値はなんといっても超望遠域をカバーする焦点距離。なんせ35mm換算800mmをカバーするレンズは、望遠に強いとされるマイクローフォーサーズの中でもこいつとオリンパスの新作M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS、そしてM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO(+テレコン)しかないのですから。

しかもそんな超望遠レンズが、カメラに装着したままカメラバッグに収まる(少し大きめのやつならね)という圧倒的なコンパクトさ!素人目には十分デカいけど、周りの目さえ気にしなければ、十分普通に持ち出せる範疇の大きさと重量です。

しかしながら、このレンズに標準ズームレンズのような使い勝手まで求めてはいけません。その重量と大きさ、そして重たいズームリングの操作性は標準ズームレンズとは全く異なります。少なくても、走り回っている子供を追っかけるような撮影はわたし的にはほぼ不可能…。

つまり、明確な目的があって購入する分には良いのですが、決して万人受けするような万能レンズでは決してありません。

わたしはなんとなくお試し感覚で購入しましたが、そもそもわたしは望遠レンズが大好きですからね。今回いろいろ不満も挙げてしまいましたが、買ったからにはガンガン使っていきたいと思います。

今後の最大の懸念は広いグラウンドでの子供のイベントでどれだけ使い物になるのかどうか。こればっかりはわたしの技術次第なところもありますから、せっせと練習するしかない!

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