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素人がDIYでいちから作るガーデニング小屋製作。
建物の屋根は、屋根の下地となる野地板、その上に雨を弾く為に敷かれるルーフィングシート、そしてその上に取り付けられる屋根材の3層で主にできています。なんとなく屋根といえば瓦っていうイメージがあるけど、雨漏りを防ぐという最も重要な役割は中間層のルーフィングシートが担っているのです。あの、薄いシートが!
そのルーフィングシートをガーデニング小屋にとりつけたのはもう5月のこと。それからあっと言う間に5か月も経ってしまいましたが、最近ようやく仕上げとなる屋根材を取り付けることができました。
今回は屋根材となる『オークリッジスーパー』の取り付け作業のご紹介です。
今回の作業
どんな作業? : オークリッジスーパーを使ったガーデニング小屋の屋根張り
必要な費用 : 7,000円程度
肉体行使度 : ★★☆☆☆(2)体力はそれほど必要無いけど、シングルネイル(釘打ち)などにはテクニックが必要
言いたいこと : オークリッジスーパーを使えば屋根がポリカなどの波板よりもずっとお洒落に。DIYで簡単に張ることができるし、人気があるのも納得です
必要な材料
オークリッジスーパー(アスファルトシングル)
屋根材を取り付けるんだから、これがないと始まりません。屋根材です。
オークリッジスーパー*本体16枚入り*ブラウンウッド【送料無料】
今回は海外ではメジャーな屋根材とされている、オークリッジスーパーを使用します。日本の住宅では圧倒的に瓦が主流ですが、このオークリッジスーパーは施工が簡単なものですから、DIYでは超メジャーな鉄板アイテムとして知られています。日本においては住宅用の屋根材というよりかは、小屋用の屋根材っていうイメージですね。
オークリッジスーパーは所謂アスファルトシングル(アスファルト系の屋根材)の一種なんですが、商品説明には『従来のアスファルトシングル材と大きく異なり、高耐久ファイバーグラスマットを芯材とする2層構造です。これにより極めて高い耐久性をもたらします。』とありますので、アスファルトシングルの改良版といったところなのでしょう。大きく異なるみたいだし。
オークリッジスーパーを1枚単位でバラ売りしているホームセンターもごく稀にあるようですが、我々素人が入手しようとするとやはりネット通販が最もお手軽でしょう。その場合は1枚単位ではなく1ケース単位での購入となります。1ケースは16枚入りで4,900円。1梱包で2.2㎡分となります。ちなみに、1ケース16枚の重量は28kg。持ちにくさもあり、結構重たく感じます。持ち上げる際は腰を痛めないように注意!
今回施工するガーデニング小屋の屋根の面積はだいたい2㎡くらいなので、計算上は1ケースで足りるはず。
色は7色(黒・濃茶・灰・茶・赤茶・緑・青)あるようですが、わたしは無難なブラウンウッド(=濃茶)を選択。カラーラインナップに緑とか青とかあるのは、いかにも海外製品っぽい感じですね。
オークリッジスーパーには丁寧な施工マニュアルが用意されていますので、わたしのような初心者でもマニュアル通り作業すれば悩むことなくサクサク作業することができます。このマニュアルはオークリッジスーパーを購入しても付属はしてきません。ネット上にPDF形式で公開されていますので、必ず入手しましょう。
シングルセメント
オークリッジスーパーの取り付けには専用のボンドと専用の釘を併用します。
このシングルセメントというのは専用のボンドのこと。一見ただのコーキング材のような見た目をしているし、実際にコーキングガンを使って作業するんだけど、中身はコーキング材とは全く別物。いかにもアスファルト系っぽい黒い見た目をしており、付着したら全然とれない凶悪なベトベト具合をしています。イメージはまさに道路工事中のアスファルトそのもの。必ず汚してもよい格好で作業しましょう。
このシングルセメントは1本あたりの量が少なく、オークリッジスーパー1.5ケース(24枚)くらいで1本使い切るくらいでしょうか。贅沢に塗ったら1ケースで1本くらいの割合かも。1本で1,000円くらいするので、結構お高いボンドですね。
厄介なことに入手性が悪く、ネットショッピングでも扱っている店舗はかなり少ないようです。意外と大きめのホームセンターにひっそり置いてあったりします。
シングルネイル
こちらは専用の釘の方。
ちゃんとオークリッジスーパー専用の釘が用意されているはずなんだけど、ホームセンターにも、ネットショップにも、全然売っていないので結局わたしは純正品ではない互換品っぽいのを購入しました。オークリッジスーパー専用品ではないけど、商品名からしてアスファルトシングル用なので全く問題は無いはず。オークリッジスーパーはアスファルトシングルの1種ですからね。
ところで、わたしが購入したものの長さは25mm。わたしが調べた限り、多分これがもっとも短いタイプのはず。
しかしながら、屋根の下地である野地板の厚みは15mmですから、この釘を打ち込むと間違いなく屋根下地を貫通してしまいます。
貫通しないようにするにはもっと短い釘を使わないとダメなんですが、シングルネイルにはそんな短いものはありません。屋根下地はもっと分厚い木材を使うべき?でも、野地板は屋根下地材としてはメジャーなはずだし・・・と随分悩んだものです。
ところがいろいろと情報を集めましたところ、どうやら屋根を取り付けるときの釘が屋根下地を貫通するのはごく一般的なことなんだとか。普通の建物では屋根の下地を直接見る機会なんてほぼ無いですが、屋根裏では剣山のようにおおくの釘が露出しているそうです。
オークリッジスーパーの取り付け作業
それではわたしの小さなガーデニング小屋に、オークリッジスーパーで屋根を作っていきましょう。
スターターの用意
繋ぎ目から雨水が染み込まないよう、どんな屋根材でも屋根材同士の繋ぎ目は上下の段でしっかりと重なりを設けるもの。それはオークリッジスーパーでも同じで、下の段のオークリッジスーパーに上の段のオークリッジスーパーを半分程度重ねるように張っていきます。
しかしながら、一番最初に張る軒先部には当然下の段がありません。そのまま最初の1枚目を張ると後々張る他の部分と傾斜が変わってしまいます。その為、軒先部も他の部分と同じ傾斜にするための材料をまず最初に取り付けます。この材料を”スターター”と呼ぶそうです。
なんだか文章で書くと小難しいですが、オークリッジスーパーの丁寧な施工マニュアルにはしっかり図つきで紹介されております。これなら分かりやすい!要は重なり部分と同じ寸法にカットしたオークリッジスーパーを最初に貼り付けるだけ。
スターターは専用のものがあるわけではなく、自分で切って作るのです。まずは軒先と同じ幅になるようにカットして、
次に重ならない余分な部分をカットします。上の段と重なる部分はオークリッジスーパーの上半分となりますので、上半分を必要な長さ分だけ切り取って使うことになります。下半分の後で使うので捨てずにとっておきます。
このオークリッジスーパー、ルーフィングシートと同じくアスファルト系の素材なので、切り心地もアスファルトルーフィングそっくり。屋根材といえばなんだか硬そうなイメージがありますが、カッターで2~3回切れば綺麗に切断することができます。
オークリッジスーパーの上部の表と裏側には、予めこのような黒い糊状の部分があります。見た目や触り心地的に恐らく半乾き状態のシングルセメントのようなものだと思うんですが、こいつがベトベトして少し鬱陶しいですね。恐らく貼り付け時にはこのベトベトが重要なのでしょうから、なるべく汚さないように気を付けます。
スターターの取り付け
1枚目となるスターターを張っていくわけですが、オークリッジスーパーは専用のボンドと釘で固定していきます。施工マニュアルによると1枚目となるスターターには最も多くのボンド(シングルセメント)を使うっぽいです。後々強風で飛んで行かないようにしっかりと貼り付けましょう。
シングルセメントはケラバ部(屋根の横側)と軒先部(屋根の下の端っこ)にそれぞれ線状に塗布します。厚みは5~10mm。剝がれにくいようになるべく隅っこに塗布するように、でもオークリッジスーパーを貼り付けたときにはみ出さないように、と結構無茶な指示がマニュアルには記載されています。端っこまで攻めたら絶対にはみ出します。
結局わたしははみ出さない方を重視して予めある程度均しておきました。むにゅっと潰れるように屋根材と密着しなくはなりますが、これならはみ出す・はみ出さないがなんとなく予想できますからね。もちろん、シングルセメントが少なさそうな場合はこの時点で追加します。
スターターを貼り付け。端っこ部分が浮いて隙間ができてしまうので、養生テープで仮固定しました。これをしないとどう頑張っても密着しません。密着しないと接着力は絶対弱くなるでしょ?
ボンドで貼り付けたら、次は釘打ち。オークリッジスーパーの施工マニュアルによると、オークリッジスーパーの両端から25mmの位置を起点に等間隔っぽく釘を4本打つらしいです。強風地域は6本らしいので、なるべく頑丈に仕上げたい人は迷わず6本打っておきましょう。我々素人は商売でやっているわけじゃないので、コストや手間に妥協しなくてよいのがDIYならではのメリットです。
わたしは建築関係のお仕事には全く縁が無い人生を歩んでおりますが、それでも釘を打つ経験は決して少なくはありません。学校の授業で、DIYで、素人なりに何本も釘を打ってきました。
しかしながら、このシングルネイルはこれまで経験した中ではもっとも打つのが難しい釘だと思いました。普通の釘なら途中で斜めに打ってしまってもある程度は修正が効きますが、こいつは短さの割に太い釘なので、そういった修正がほぼ出来ません。とにかく、真っ直ぐなるように打たないとダメなんです。
ところが、どれだけ気を付けていても下地の節に当たったりしてどうしても途中で斜めになってしまうことも。その場合は場所を変えて打ち直すことになるのですが、一度打った場所のアスファルトルーフィングには穴が空いてしまっています。そのままでは当然雨漏りしますので、その都度補修が必要となります。めんどくさい!
このシングルネイルは真っ直ぐ打ち込むことができれば、このように頭は周囲と面一になります。こういう状態じゃないと雨漏りの原因となりますから、とにかく真っ直ぐ打ち込むことが重要なのです。
2枚目以降の取り付け
スターターを張ることができたら、ここからはもうルーチンワーク。施工マニュアルに従ってひたすらオークリッジスーパーを張り重ねていきます。ボンドで貼ったあとに釘を打って固定という流れは先程のスターターと同じなんですが、2枚目以降のボンドは画像のとおりボンドを盛るようにして塗布します。軒先やケラバのように、線状には盛りません。
一箇所に盛るような塗布であれば、少々多めでもはみ出してくる心配はありません。しっかりとくっつくよう、わたしはたっぷり目に塗布しておきました。
両端のケラバの方はスターターと同じく線状に塗ります。強風であおられるとしたらこの部分ですから、しっかりと塗っておきたいところです。なお、最初のスターターの時点でケラバ全部にボンド塗っておいた方が作業効率がよいように思っちゃいますが、マニュアルによるとその方法はNGみたいです。途中で乾いて接着力が落ちるのが理由。それ以外にも、作業中にボンドが衣類に付着してしまう可能性が高いのでお勧めできないなと感じました。このボンド、衣類に付着するとまず取れません。
ボンドを盛って、
釘を打つ。ひたすらこの繰り返しです。厄介なシングルネイル打ちも、回数をこなせば徐々に成功率が上がっているように感じます。
このアスファルトルーフィングですが、このような張り方だと下半分は下段と重なっており、上半分は上段と重なっている状態なんです。つまり、オークリッジスーパー1枚でその半分程度分の距離しか作業は進みません。重なりが多い方が雨には強いんだろうけど、思っている以上に材料を使います。
最後の1枚は調整が必要
最後の部分はオークリッジスーパーそのままの形で収まることはほぼないでしょう。どうしてもこのように中途半端なスペースが空いてしまいます。
そのような場合は最初のスターターを作った時の切れ端を加工して、いい感じに仕上げます。現物合わせですね。ところで、この最後のオークリッジスーパーの上流側は屋根下地との間に隙間があるので、水切り金具で防いだ方が絶対に良さそうです。
完成
屋根下地を作った時期からすると本当に”ようやく”ですが、屋根が完成しました。
人生初、オークリッジスーパーを使って施工した屋根です。
ボンドのべたべたや、シングルネイル打ちの難しさには少し苦労させられましたが、それでも瓦などの本格的な屋根を作るのに比べたら遥かに簡単だし、ポリカなどの波板と比べると見栄えはずっといいです。DIYでは人気の高い屋根材ですが、実際に施工してみるとその人気の高さは当然だなと感じました。
ただ気になるのは端っこ部分の隙間ですね。ケラバ水切りがあればこの隙間は見えないのですが、今回のように簡易的な水切り金具を取り付けている場合や、そもそも水切り金具を取り付けていない場合はこのように隙間が目立ってしまいます。見た目の悪さはもちろんのこと、風であおられやすくなりますので、このままだとちょっとよろしくないように感じますね。
この隙間は後日シングルセメントでなんとかして埋めてしまおうかと考えていますので、その際はまだ作業をご紹介したいと思います。
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