今年は暖冬だって言われていたにも関わらず、昨日から首都圏では大雪。
わたしは関西在住ですが、荷物が届かないやらでしっかりお仕事にも影響を受けてしまいました。雪国にお住いの人からすると「たったこれだけの積雪で!」って感じなんでしょうけれども、不慣れなもんは仕方がありません。・・・不慣れ?なんだかこの手の話は2年おきくらいに耳にする気もしますが・・・。
そんな雪ですが、突然の大雪になると発生してしまうのが車の立ち往生。
雪が降る可能性のある地域に住んでいて車を運転する機会があるのであれば、こればっかりは正直いつ我が身に起こっても不思議ではありません。いくら自分が対策していても、他の人が立ち往生しちゃったら巻き添えを食らっちゃいますからね。
本日はそんな万が一の事態に備えて車に積んでおきたい、実用性の高い折りたたみスコップとそのリノベーション作業のご紹介です。
今回の作業
どんな作業? : 折りたたみ式軍用スコップのリノベーション作業
使うもの : 錆落とし、ディスクグラインダー、錆転化剤
必要な費用 : 3,000円程度 (錆転化剤が高価)
肉体行使度 : ★☆☆☆☆(1)錆をとって錆転化剤を吹くだけ
言いたいこと : 錆転化剤を初めて使ったけど、これすごいよ!
実用性を求めるならやっぱり軍用スコップでしょう
雪による車の立ち往生で一番怖いのが、車の排気ガスによる一酸化炭素中毒。寒さに耐えるためにはエンジンをかけるしかありませんが、エンジンの排気ガスの出口となるマフラーが積雪で防がれてしまうと、行き場のなくなった排気ガスが車内に逆流してくるのだとか。
そうならないように立ち往生中は定期的にマフラー付近の積雪を雪かきする必要があるんですが、皆様はちゃんとそのような道具をお持ちでしょうか?
そう、雪かきの道具といえばスコップ!
数年前からわたしも雪の多い地域に出掛けなければいけない機会が多くなったので、もしもに備えてスコップ積んどかないとなぁ・・・と思っていたんです。スコップといえばホームセンターにいけば園芸用のものが1,000円程度で購入できますし、恐らく機能的には全く問題ないでしょう。でも、どう考えても車に積むにはちょっとでかいね。
そんなわけで、何かいいものないかな?っていろいろ探していたんですが、その結果辿り着いたのがこちらのスコップ。
こちら『ルーマニア軍放出の折りたたみ式スコップ』。ネットショッピングサイトで格安で販売されている”なんちゃって”ミリタリースコップじゃないですよ。正真正銘本物の軍用品です。”なんちゃって”ミリタリーは”ミリタリー風”なだけで、雰囲気重視なのです。
軍隊においてスコップは当然お便利グッズに過ぎないので、邪魔にならないように折りたたみ式になっているものが多い様子。折りたたみ式って車に積むのにぴったりじゃね?って思っちゃったのですよ。なんちゃってミリタリースコップはすぐに破損したという口コミをよく目にするけど、こちらは折りたたみ式とはいえ軍用スコップですから、堅牢さは抜群のはず。本物の軍用品はとにかく性能重視。実質堅固なのです。
折りたたみ式の構造を活かし、このようにスコップ部分を90度にも固定することができます。鍬のように使うってこと?
ところで、今回購入したこの軍用スコップは持ち手が木製でなんともノスタルジックな雰囲気。わたしはこの雰囲気が好きでわざわざこれを購入しましたが、たぶんこれは随分昔に使われていたものなんじゃないですかね。
スコップといえども、現在の主流はもっと軽量でスタイリッシュなタイプの様子。入手性の良いアメリカ軍放出のものは軽量なアルミ製で、しかも3つ折りタイプなのでめっちゃコンパクトです。実用性考えるなら絶対こっちの方がおススメでしょう。でもわたしは実用性だけじゃなく、雰囲気とロマンも重視。戦いにいくわけでもないんだから。
軍隊放出品は基本的に中古品。今回は状態も悪し
ノスタルジックな雰囲気に心を惹かれたもののの、その代償として各部の状態は決して良好ではありません。
アルミが使用されることもある現代の軍用スコップと違って、材質は鉄。なので当然錆びています。
このスコップのように軍隊放出品って基本的には中古品なので、その状態はものによってバラバラ。運よく綺麗なものをゲットできる可能性もあるかもしれませんが、鉄製で、しかも恐らく物自体も古いこのスコップではその可能性はめっちゃ低いんじゃないでしょうか。
とくに酷いのがこの折りたたみ部。この斜めにスリットの入っている部品を回して折りたたみ部を固定するんですけど、こんなさびさびなのは触りたくありません。そして、こんなものを愛車に積んでおきたくありません。せっかくノスタルジックで素敵な雰囲気のスコップなんですから、しっかり綺麗にリノベーションしちゃいましょう。
とはいうものの、カビだらけでしかも一部破断している本革製の収納ケースは潔く廃棄ですね。本革の維持に欠かせない脂っ気は皆無で、パッキパキに硬化してしまっています。
しかしこの本革のケース、内部にはスコップの側面で革が傷まないように金属製の保護部材も入っているし、かなりしっかりとした造りをしています。今回はまだそこまで手は回りませんが、こういうパーツは回収しておいて、後々DIYでケースも作り直したいところですね。
さびさびのスコップのリノベーション作業
というわけで、早速錆びた部分を中心に綺麗にしていきましょう。
構造はめっちゃ簡単。ボルト1本を抜けばバラバラに分解することができます。ナットは錆が酷くてもはや元々のサイズすら分からない状態でした。舐めないようにモンキーレンチで慎重に取り外します。
錆が酷い部品は錆取り剤に付け込んで錆を除去。それであっさり綺麗になるかな?と思っていたら、塗装は丸ごとなくなって変な色になっちゃうし、そもそも錆が進行して変なブツブツが大量に発生しているしで、とてもじゃないですけどそのまま使える状態ではありません。
こうなるともう、力づくですね。ディスクグラインダーを使って変な色になった表面部分や、錆で母材が盛り上がったブツブツなんかも全部綺麗さっぱり削り落としてしまいましょう。鉄の錆は酷いと内部までボロボロに錆びていることもありますが、今回は見た目とは裏腹にほぼ表面部分だけの錆でした。これならまだまだ全然使える!
とはいうもののそのままではまたすぐに錆びてしまうのが鉄というもの。そこで今回は文明の賜物である『錆転化剤』を使います。
鉄の錆び方には黒錆と赤錆の2通りがあるんだけど、我々素人が考える錆は後者の方。見た目も美しくないし、放っておくと内部までボロボロになる嫌な錆び方です。一方前者の方は表面の黒錆層が保護膜となり内部に錆が進行するのを防いでくれる錆び方。道路のマンホールって鉄製だけど、全然錆びていないでしょ?あれが黒錆ですね。
この『錆転化剤』は赤錆を別の物質に変えてしまい、かつその表面を樹脂でコーティングして錆びにくくしてくれるもの・・・なんだとか?正直よく分からないけど、前々から気になっていたのです。せっかくの機会なので、一回挑戦してみよう!
というわけで、錆を削り落とした部分にシュシュっと軽くスプレー。今回使用したレノバスプレー、結構いいお値段がするのでケチってほんとうに一吹き程度の使用に留めておきました。吹いた直後は無色透明でテカテカしているだけ。この状態だと水をスプレーしたのと見た目はおんなじです。
しかしながら、一晩放置するとレノバスプレーを吹いたところが真っ黒になっているじゃないか!これはレノバスプレーを吹いた部分の鉄が違う物質に変わったことの何よりの証。説明では「赤錆を違う物質に変える」って書いてあったから、錆を削り落とした綺麗な鉄でも効果あるのかな?って少し不安でしたが、どうやらなんら問題はないみたい。
というわけで、レノバスプレーの効果で見違えるように綺麗になった部品を使ってスコップを組み立てていきます。可動部は鉄製の部品が直接接触する構造なので、そのままではすぐに削れて錆の原因となってしまうでしょう。少しでも接触を和らげるために、また錆が発生しないように、可動部にはグリスをしっかりと塗り込みます。
こんな感じでルーマニア製の折り畳み式スコップは随分綺麗になってくれました。最新のアメリカ軍のスコップと比べると随分嵩張るし重たいけど、それでも車に積んでおくには十分コンパクト。ずっしりとした実質堅固な造りなので、万が一の事態でもしっかり活躍してくれるでしょう。
こういう木製のタイプの入手性は今後どんどん低下していくでしょうから、気になった人は入手できるうちに入手しておいた方が良いかもしれませんね。車載だけではなく、ミリタリーが好きな人のお庭道具にもいいと思いますよ。