ウッドデッキをもっと快適に、もっとお洒落にする為の様々な作業を紹介する『素人でもできるウッドデッキ製作(応用編)』。
第5回となる今回は蔦(ツタ)植物を誘引するためのフェンスの設置。
ウッドデッキというよりかはウッドフェンスやパーゴラ向けの作業だけど、それらを備えるウッドデッキで、しかもわたしのように緑のカーテンやツル性の植物たちが好きな人にお勧め!頑丈な植物誘引フェンスを安価に製作します。
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緑のカーテンとツル植物が大好き
先ほども書きましたとおり、わたしは緑のカーテンやツル性の植物が大好き。せっかくお庭があるんだから、やっぱり青々とした植物に囲まれて過ごしたいじゃないですか。ツル性の植物やそれを生かした緑のカーテンであれば、文字通り設置場所を緑で囲まれるようにすることができますから、植物の存在感たっぷり。植物好きには堪らない。
ただし、緑のカーテンって使う植物の種類によっては同時に”虫のカーテン”にもなってしまう点は大いに注意が必要ですね。アサガオやブドウなんかだとスズメガの幼虫というでっかい芋虫が湧くこともあって、虫嫌いにとってはすさまじい試練となるでしょう。ゴーヤなんかもウリハムシ(?)が大挙して押し寄せます。
これまでの経験上、パッションフルーツなんかは嫌な虫が来なくてよいですね。育てやすいし、艶々の葉っぱは見た目がよいです。日本ではほとんどの地域で屋外じゃ越冬できないため、一年草扱いになってしまうのは難点ですけど・・・。
虫嫌いのわたしにとってスズメガの幼虫は大嫌いな天敵ですが、それでもここ数年は我慢してブドウを使った緑のカーテンを育てています。ブドウは冬には葉っぱを落としますが、一年草ではないのでゴーヤやパッションフルーツのように毎年苗から育てる必要がないのが魅力的だったのです。もちろん、食べて美味しい実が取れるのも大きな魅力。ウッドデッキに設置したウッドフェンスを利用してこのブドウを育てています。
誘引フェンスに「園芸つるネット」を使うのはダサすぎ?
緑のカーテンを作るのに最も手軽な材料といえば「園芸つるネット」。春になればどんなホームセンターにでも必ず置いてある緑色のネット。
このネット、この手の資材としてはとても安価だし、軽くて設置しやすいし、肝心な植物の絡みやすさも抜群。定番商品というだけあってもはや何も言うことは無し・・・と言いたいところなんですが、残念ながらわたしとしてはあまりにも園芸チックすぎるのが気になってしまいます。そう、外見に関して言えばお洒落とかシックとかとはかけ離れているのです。農業用ですからねぇ。
じゃあ、住宅に常設しても外観を損なわない資材って何かないの?っていろいろと調べてみると、わたしが実際に確認した外構では害獣用フェンスを活用しているご家庭が比較的多かったです。害獣用フェンスっていうのは太さ数mmの鉄の棒で作られたネット。野生動物のパワーに負けない頑丈さが特徴です。これを木製のパーゴラやフェンスの隙間に挟み込むのです。
ただこれ、個人で入手するのは現実的ではない資材の様子。完全に業者さん向けの商品ですね。プロの外構屋さんならこういう資材も使えるのでしょうけど、わたしには無理っぽい感じ。そして、表面処理があまり強そうではないので、比較的簡単に錆びてしまいそうなのも考えものです。本来は山との境界部に設置するようなものですからねぇ。
そんなわけで結構長い間あーでもないこーでもないといろいろ考えていたんですが、つい最近になって発見したのがこの手法。
それがこのステンレス製ワイヤーを使った誘引フェンス。これなら外観は全然農業チックじゃないし、このとおり木製フェンスとの相性も問題ないでしょう。緑じゃないのでそもそもネットが全然目立ちません。
こちらのワイヤーフェンスでは垂直方向はワイヤー、水平方向はステンレス製の棒でそれぞれ製作されていました。
このフェンスは京都のお土産菓子の定番の一つである『茶の菓』で有名なマールブランシュさんの店舗『ロマンの森(山科)』で見つけました。ロマンの森は雰囲気も素敵だし、菓子工房の様子も見学できるし、おいしいお菓子もたくさん揃っているし、訪問する価値たっぷりのお店ですよ。店内カフェもおすすめです。
ウッドデッキへのツル植物誘引ワイヤーの取り付け
というわけで、ロマンの森で発見したフェンスのアイディアをパクッて、早速我が家のウッドデッキにもワイヤー製のフェンスを設置したいと思います。
必要な材料
必要な材料
- ステンレス製ワイヤー
- ワイヤー用スリーブ
- ステンレス製アイストラップ
材料は至ってシンプル。フェンス代わりとなるステンレス製ワイヤーとそれを取り付けるための金具だけ。ワイヤーの長さや金具のメーカーによって価格は変わりますが、Amazonで売っているノーブランド品であれば2,500~3,000円程度で揃えることができると思います。
ステンレス製ワイヤーは太さ1.5mm、長さ50mのものを購入しました。ホームセンターでは切り売りされているので必要な量だけ購入することもできますが、この手の材料はAmazonでノーブランド品を購入するのが圧倒的に安いんじゃないですかね。ワイヤーを輪っかにするときに必要な金具(スリーブ)もワイヤーにピッタリのサイズのものが付属していることが多く、選ぶのがわからない!っていう初心者には尚更お勧めです。
アイストラップは真ん中にある金具。これを使ってステンレス製ワイヤーをウッドデッキに固定します。左のU字型の金具(シャックル)と右のフックのついたネジ(ターンバックル)も用意したんですが、今回は結局使用せず。ワイヤーをピンピンに強く張りたい場合は右のターンバックルは必須ですが、今回はそこまでの張りは必要なかったのです。
必要な道具
必要な道具
- ハンドプレッサー(かしめ機)
- プライヤー
- ワイヤーカッター
こちらが今回使用する工具たち。
工具の中でも最も大切、これがないと始まらないっていうのがこちらのハンドプレッサー(かしめ機)。ワイヤーって当然ロープのように自由自在に結ぶことができないので、端っこを輪っか状に処理するには金属製の金具でぎゅっと圧し潰してやる必要があります。その加工を行う工具がこれ。専用の金属製の金具(スリーブ)付きのセットだとなにかと便利です。わたしはアイクリンプ(iCrimp)というメーカーの製品を使っています。
価格的には低グレードの製品だと思うけど、素人のDIY用途では全く問題なく使えています。工具は値段と性能が連動するのでできるだけいい工具が欲しいんですが、予算の都合もありますからね。使用頻度が低い工具は価格重視、プラスドライバーのような使用頻度の高い工具は奮発していいものを、っていうのがお勧めです。
あとはワイヤーを切断するワイヤーカッターや、
ワイヤーを引っ張るためのプライヤーを準備。ワイヤーカッターとプライヤーは様々なDIYで何かと使用することの多い工具なので、お持ちの方も多いんじゃないでしょうかね。これらは奮発してもいい類の工具だと思いますよ。
ツル植物誘引ワイヤーの取り付け作業
それではいよいよ取り付け方のご紹介・・・といっても、単純な構造なので作業は至ってシンプル。とっても簡単。
まずはウッドデッキ側面の幕板に等間隔でアイストラップを取り付け。アイストラップの取り付けに使用するビスは比較的小さいものが多いので、気を抜くといとも簡単に頭を舐めてしまいます。相手がハードウッドの場合はもちろんですが、ソフトウッドでも面倒臭がらずに下穴をしっかり開けることが失敗しないポイントじゃないでしょうかね。
続けて上側のアイストラップの取り付け。わたしはパーゴラの側面に取り付けましたが、ウッドフェンスの場合だと笠木(一番上に水平に取り付ける木材)に取り付けることになるでしょう。いずれによせ、先ほど取り付けた下側のアイストラップと、この上側のアイストラップの間が緑のカーテンエリアとなります。
上下のアイストラップの位置がズレていたらワイヤーを垂直に張ることはできません。位置決めに自信のない人は、まずは上側のアイストラップから取り付けを行うほうがいいかも。上側を先に取り付けた場合は、そのアイストラップを利用して水糸を垂らすことができます。錘付きの水糸は重力により当然ピンっと垂直に垂れ下がるので、下側の位置をバシッと出すことができるってわけ。
上下のアイストラップを取り付けることができたら、お次のその間にワイヤーを取り付けます。ワイヤーの固定にはスリーブが必須なので、アイストラップにワイヤーを通す前に画像のとおりワイヤーにスリーブを通しておきます。
ワイヤーをアイストラップに通して、再びスリーブにワイヤーを差し込むとこのように輪っか状にすることができます。
あとはこのスリーブをハンドプレッサーでカシメてやります。
ハンドプレッサーでスリーブを圧着するときはそれなりの握力が必要ですが、ラチェット機能付きの工具だと少しずつ力を加えることができるので、パワーに自信のない人でも比較的安心かも。一方で、ラチェット機能付きの工具は最後までしっかり握りこまないとダメというデメリットも(途中で辞めることができない。一応リリース機能はあるけどかなり硬い)。”パワーに自信のない人でも安心”とはいいましたが、わたしの感覚では女性では大多数の人が最後まで握り込めないんじゃないかと思います。そこまでしっかりカシメる必要がある作業ではないので、パワーに全然自信がない人はむしろラチェット機能無しの工具の方がいいかもしれません。
パワーに自信のある人 → どっちでもいい
あまり自信はないけど、短時間なら頑張れる人 → ラチェット付き
全く自信がない人 → ラチェット無し
最後までスリーブをカシメることができると、こんな見た目になります。この状態になるともう人力ではワイヤーはほどけません。全体重をかけてもビクともしません。ワイヤーがほどける前に木材に固定したアイストラップが先に吹っ飛んでいくでしょう。
ステンレス製ワイヤーの上の方の固定ができたので、お次は下の方の固定を。下の方の固定をする前にワイヤーをある程度の長さに切っておかないとスリーブを通すことができないので、下側のアイストラップから10~20cmの長さでワイヤーをカットします。
カットに使用するのはワイヤーカッター。こんな工具そんなに使うかな?って思いながら昔SK11の安価な工具を購入したんですが、それ以降いろんなものを切ってきました。あくまでもわたしのライフスタイルでの話ではありますが、この工具めーっちゃ使用頻度が高いです。こんなに使うなら、もうちょっといいやつを買っておけばよかったなーと日々感じています。しかしながら、このSK11の工具は安価なのに全然ダメになる気配がないので、これからもずっと使い続けることになるのでしょうね。SK11の工具って安価な割に機能的には必要十分なものが多く、DIY用途ではいい工具揃いだと思います。
下側も上側と同様にスリーブを圧着して輪っかを作るのは同じなんですが、上側と違うのは下側の圧着時にワイヤーの張りの具合が決まってしまうということ。ダルンダルンのままで圧着するとワイヤーは当然ダルンダルンになってしまうし、そんなワイヤーに固定されるツル植物も風が吹くとブランブラン揺れてしまいます。
そうならないよう、画像のとおり圧着前のワイヤーを思いっきり引っ張ってテンションを掛けながらスリーブを圧着するのです。画像では指でワイヤーを摘まんで引っ張っていますが、これはあくまでもイメージ。1.5mmのワイヤーを指で引っ張って掛けることができるテンションなんてたかが知れています。このワイヤーはプライヤーで摘まんで思いっきり引っ張り上げることで、より強いテンションを掛けることができるのです。
左手でプライヤーを使ってワイヤーを引っ張りつつ、右手でスリーブを圧着するのでさすがに画像を撮影することはできませんが、うまくいけばこのようにテンションピンピンに仕上げることができます。ターンバックルを使えばもっと簡単に、そしてもっと強くテンションを掛けることもできますが、ステンレス製のターンバックルって高価ですからね。今回の手法でもうまくやれば十分ワイヤーをピンピンに張ることができるし、また安価に済ませることができます。自信のない人はターンバックルを使うのもありでしょう。
そんな作業を合計7本分おこない、狙い通りウッドデッキの側面にツル性植物を誘引するためのワイヤーを張ることができました。マールブランシュさんの『ロマンの森』のフェンスとは違い水平方向のステンレス棒はないけど、もし必要ならそれも後々追加しようかと思います。わたしの経験上、それがなくとも十分植物を誘引できると思うんだけどなぁ。
思いのほかうまくいって、しっかりとした強度のある植物誘引フェンスを安価に設置することができました。ちゃんとした製品を購入したらかなりの金額になりますが、今回使った費用は2~3千円程度。しかも材料は半分も使っていませんから、かなり安価に済ませることができたのです。もちろん、これは緑のカーテンとなる植物がしっかりと育って、そして誘引されて初めて完成といえますから、真の完成を目指してこれからは植物の育成を頑張っていくとしましょう。