いろいろな物の修理

キャスターが壊れたサンコー鞄製スーツケースをDIYで修理。ストッパー付きは修理不能?


旅行の必需品といえば、スーツケース。

キャリーケースとか、キャリバッグとか、トロリーケースとか、はたまたゴロゴロとか言われるやつ。

わたしはお仕事では38L(いわゆる機内持ち込みサイズ)を使う機会がめっちゃ多いんだけど、海外旅行で使うような大型のスーツケース(57L)も持っています。でも、57Lタイプって海外旅行にいかないと全然使わないんですよね。

そんな57Lの大型スーツケースですが、先日ささやかな家族旅行のためにひっさしぶりに使う機会があったんですよ。たぶん8年ぶりくらい。

すると、長期保管による影響なのか、キャスターの一つが無惨にも壊れてしまったのです。

買い替えるには使用頻度があまりに低いから勿体ないし、調べてみると修理するにもプロに頼むと結構高額な様子。いっそ捨てるか?と思ったんですが、今回のようにたまーには使うからそれはそれで不便・・・。

ならばどうするか?そう、DIYでお安く修理しちゃいましょう!

今回の作業

どんな作業? : スーツケースのキャスターの交換

使うもの : ドリル、プライヤー、ネジロック剤、グリス

必要な費用 : 2,380円 (新品のキャラクター4輪分)

肉体行使度 : ★★☆☆☆(2)

言いたいこと : ドリルがないとなかなか難しい作業。また、ストッパー付きの車輪は修理は困難?

 

ゴム製キャスターは壊れる宿命?

こちら、今回キャスターが壊れてしまった57Lのスーツケース。メーカーはサンコー鞄で、確か16年前くらい前に購入したものだと思います。

 

このスーツケースの特徴の一つがストッパー付きの静音キャスターを採用している点。安価なスーツケースだと樹脂製のキャスターなんだけど、このスーツケースは樹脂の芯材の周りにシリコンゴムが巻かれており、さらにその外側をゴムっぽい素材で覆っている三層構造になっているのです。

ここまでだとなんて素晴らしい造りなんだ!!と言いたくなるのですが、得てして複雑な構造というものは壊れやすいもの。

御覧の通り、先日の旅行で無残にも一番外側のゴムっぽい素材の部分が丸ごと無くなってしまいました。この外側の部分の素材について詳しくは知らないんだけど、柔軟性のある素材ってどうしても経年劣化で硬くなってしまうもの。このキャスターも劣化して硬くなってしまったことで、脆くなってしまったんじゃないですかね。

静音性は魅力的な要素かもしれないけど、耐久性に関してはシンプルな構造の樹脂製キャスターの方が優れているかもしれません。

 

古いキャスターの取り外し

キャスター交換、というとなんだか簡単にできそうなイメージですが、実際は全く簡単な作業ではありません。構造を見る限り、交換を前提に作られた造りには思えないのです。

このスーツケースでまず最初にすることは、キャスターの車軸を隠している化粧カバーの取り外し。こんなカバー無くとも機能には全く支障はないのですが、それでも見た目をよくするためにわざわざ取り付けられているんですから、なんとも贅沢な作りです。

ただ、このカバー、めっちゃ取り外しが面倒です。基本的には3本の突起で刺さっているだけなんですが、場所によってはその刺さりがかなり強力であることと、カバーを取り外すための取っ掛かりが全くない点が非常に厄介。傷を付けずに取り外すのは無理だと思います。この点からも、絶対交換を前提に作られていないでしょ?って感じます。

 

カバーを取り外したら車軸がこんにちは。車軸はカシメられているので、取り外すには破壊するしかありません。カシメとは、金属を変形させて固定する方式のことです。

 

この車軸には向きがあって、このツルンとしている方向から車軸は差し込まれています。

こちら側はスルーして、

用があるのはその反対側の凹みがある方。こちらが車軸の先端部分であり、組み立て時はこの部分を圧し潰して抜けないように加工しているのです(カシメ)。

 

なのでこの圧し潰した部分を削り飛ばせば、車軸はスルッと抜けるようになるわけ。削り飛ばす方法はいくつかあるんだけど、最も安心な方法はドリルで削り飛ばす方法。ドリルだと凹みの中心に刃がハマってくれて周りを傷付ける心配がないのです。

使用するドリルの太さは6mm以上であればなんでもオッケー。車軸の太さが6mmなので同じく6mmのドリルを使えば車軸の周りを傷つけることなく安心して作業することができますが、出っ張った部分を削り飛ばすだけなので6mmより太い刃でも支障はありません(削り過ぎには注意)。

 

ただ、そのままドリルの刃を当てるだけではドリルの刃と連動して車軸がクルクル回って永遠に削り飛ばすことができないので、反対側をプライヤーで挟んで固定した状態でドリルで加工してやります。反対側のツルンとした部分はめちゃくちゃ掴みにくいので、すぐに固定が外れてしまってストレスがマッハ。今回一番難しい作業はこのプライヤーでの固定でした。

 

カシメた部分を削り飛ばすができたらこんな感じで削った部分とワッシャーが浮き上がってきます。この状態だと車軸自体にはまだ刃が入っていないので、車軸の太さよりも太いドリルの刃を使ってもオッケーというわけ。

 

ポンチのような適当な棒で車軸をエイッと叩くと、

 

このように車軸と車輪を取り外すことができます。手際よくやればキャスター1か所を5分程度で分解することができるんじゃないですかね。

DIYでのキャスター交換の方法を調べてみると、車軸を金属用ノコギリで切断する方法がちらほらヒットします。わたしはやったことがないけど、金属用ノコギリで6mmの車軸を切断するのはめっちゃ大変なんじゃないでしょうか。

 

そんな感じで無事キャスターを4か所とも分解することができました。破損した車輪は1個だけだけど、こういう劣化は1か所だけで起こるとは考えにくいもの。いずれ他のキャスターでも同じことが起こると思いますので、交換するのならば一気にすべて交換してしまいましょう。

 

ストッパー付きキャスターは交換用パーツが入手できない?

取り外した車輪の寸法を測り、交換用の新しいキャスターを購入してこなければなりません。でもここで大きな問題が発生。

このスーツケースにはストッパー機能がついているんですが、そのストッパー機能は車輪の内側に金属製の部品を押し当てて固定する方式だったのです。押し当てる金属製のパーツがこのような形をしているもんだから、、

それに対応するために車輪の内側はこんな形状になっているのです。でも、こんな形状の車輪なんて当然売っていません。サンコー鞄から補修用の車輪も発売されていないし、やっぱり交換を前提とした構造じゃないんだなぁと再認識しました。

 

そんなわけでストッパー付きの2か所については比較的状態の良い車輪を再利用することにし、残り2か所だけ新品のキャスターに交換することにしました。

結果的にキャスター交換するのは2か所だけなんですが、車軸は4か所とも破壊しているので、やっぱり新品購入するのは4か所分。ん-、なんだか勿体ないなぁ。

 

車軸の固定はネジロック剤を使ってしっかり固定

新品の車輪と車軸が用意出来たら、早速それらをスーツケースに取り付けていきます。

車軸は車輪と常に接触していますから、摩耗しないように車軸には薄っすらグリスを塗布しておきましょう。こういう用途であればグリスの種類にこだわる必要は全くないと思いますので、ホームセンターで100円程度で売っている万能グリスで十分だと思いますよ。

 

交換用の車軸はメーカーが行うカシメでの固定ではなく、大抵ネジで締め付ける方式がほとんどでしょう。この方式は振動で緩むとキャスターがバラバラになってしまい、場所によっては事故につながる可能性があることが大きなデメリット。だからメーカーは簡単に分解しない方式を採用しているのでしょうね。決して嫌がらせではないのです。

交換用の車軸で使用するネジにはネジが緩みにくいように一応ネジロック剤が塗布されていますが、この乾燥タイプってどうも信用ならないんだよなぁ。

 

というわけで、わたしは手持ちのネジロック剤を追加で塗りたくります。ネジロック剤は意外と使いどころが多いので、日々の生活でネジの緩みに気付くことがある人は持っていても損はないアイテムかも。リーズナブルなお値段で購入できる少量タイプもありますよ(わたしはよく使うので大容量タイプを使ってます)。

 

新品の車輪と車軸がついたキャスター。寸法を測ってから購入しているんだから当たり前なんですが、ぴったり収まってくれました。

なお、新品のキャスターを購入するときに車輪の幅が記載されていることは多いんですが、軸部分の幅が記載されていない場合が多い点は注意が必要です。取り付けで重要なのは車輪の幅よりも車軸部の幅だと思うのですが・・・。軸部分が取り付け部分よりも狭い場合はワッシャーなどを適当に挟むことで対応可能ですが、逆はそう簡単にはいきません。物理的にキャスター部分に収まらないんですから、車軸部分を削るしかなくなるのです(そして個人ではそれは現実的ではない)。

 

ストッパー付きのキャスターはその構造のために汎用品を使うことができなかったので、状態のよいキャスターにローテーションして対応。そのため左右でキャスターの種類が違うことになっちゃいましたは、まぁこんな部分の見た目なんてどうでもいいですからね。ちゃんと転がってくれればオッケーです。

 

というわけで、本日は破損したスーツケースのキャスターの修理作業のご紹介でした。

車軸を交換するとカシメ式からネジでの固定式になってしまうのがこの作業の大きなデメリットですね。ネジは振動で緩みやすいので、いかに振動対策をするかがポイントになるんじゃないでしょうか。一気に緩むことはないので、時々緩んでいないか確認した方がいいでしょうね。

なお、このスーツケースはこの部分の見た目をよくするための化粧カバーが元々ついていましたが、その化粧カバーを再度取り付けることで万が一ネジが緩んでも車軸が抜けないというメリットがあることに気が付きました。分解するときは機能的にはなんの役にも立たない面倒くさい部品って感じていましたが、交換後は意図せずまさかの機能的部品へと昇格したというわけです。

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