素人でもできるウッドデッキ製作

鋼製束のメリット・デメリットと使い方


DIYでウッドデッキを製作する際、加工面でも費用面でも頭を悩ませる部分が束(つか)。そく”じゃないよ、”つか”だよ。

束(つか)はウッドデッキの重量を支える柱のことで、90mm×90mmの角材を使って製作されることが多いみたい。しかしながら、この90mm×90mmの角材は太くて加工が無茶苦茶大変だし、木材の値段もなかなか高価なのが悩ましいところ。

束について詳しく知りたい人はこちらをどうぞ。

 

そんな束の製作ですが、木材ではなく金属で出来た鋼製束を使うことで、作業をグッと楽にすることが出来ます。しかも費用も大幅に抑えられる!

本日はそんな素敵な鋼製束をご紹介します。

 

木製束のデメリット

束の製作で恐らく最も一般的な素材は、ウッドデッキ本体と同じ木材

木材っていいですよね。あの優しい雰囲気や質感は天然素材である木材ならでは。わたしも大好きです。

そのような質感の良さや加工性の良さ等、木製束には間違いなく多くのメリットがあります。だから最も良く使用されているんですね。

しかしながら一方でいくつかのデメリットがあるのも事実。鋼製束についてご紹介する前に、まずはそれらデメリットのついて考えてみましょう。

 

90mm角は加工が大変!!

束を木材で製作する場合は、90mm×90mmの角材で製作することが多いのですが、この寸法ともなるとDIY向けの工具で綺麗に切断するのは至難の業

というのも、こういった切断作業は丸鋸で行うことが多いのですが、丸鋸の刃はせいぜい直径190mm程度。実際はその半分以下の深さでしか使用できないので、丸鋸で切断できる深さはせいぜい60mm程度でしょう。そうなると、90mm×90mmの角材なんてとてもじゃないですが一発では切断することが出来ません。角材の各面に切れ込みを入れることでDIY向けの丸鋸でも切断すること自体は出来るのですが、そうするとどうしても真っ平らな切断面に仕上げるのは難しいのです。

そして、束は基礎の上に真っ直ぐ・垂直の立てたいので、切断面が真っ平らではないというのはかなり問題があるんです。

なお、この問題は切断作業を業者さんに発注することで解決することが出来ます。木材の注文時に、予め寸法を伝えることで綺麗な切断面の角材が手に入るのです。しかしながら、この方法は現物合わせといった施工方法では使えないので、事前にきっちりと寸法出しをする必要がありますね。

 

木製束は高い!!

ウッドデッキ製作に使用するような木材はハードウッドなので、結構なお値段がします

束を90mm×90mm×500mmで製作した場合、比較的安価なサイプレスでも1箇所1,400円程度します。ウリンならもっと高い2,000円弱。

「あれ?その程度?」と思うかもしれないけど、これはあくまでも1箇所のお値段。ウッドデッキ製作では束は何箇所も必要となりますので、積もれば馬鹿にならない金額になります。

ほら?ウッドデッキって一生使えるかもしれないし…?と、金銭感覚が麻痺してくるとたいした金額に思えなくなってくるんですが、柱だけで数万円って…冷静に考えるとやっぱり高いですって。

 

そこで、鋼製束の出番!

いろいろとデメリットのある木製束ですが、それらのデメリットを解決してくれるのが鋼製束(こうせいづか)

ウッドデッキ専用のものもあるようですが、基本的には建築で使用される部材のようです。

”鋼製”の名前が示す通り、金属で出来ています。

木製束と比較すると随分ほっそりとした見た目ですね。ネジ込み構造になっており、ある程度高さ調整を出来るようになっているのが大きな特徴です。

 

ねじ込み部分は上側と下側とでネジの向きが逆方向になっており、中央部分を回すことで上下のネジで同時に高さ調整がされるという、お手軽な仕様になっています。

どういうことかというと、中央部分を反時計回しに回すと、上側と下側の両方のネジが同時に内部に入っていき、全長が短くなるのです。逆に、中央部分を時計回しに回すと、上側と下側の両方のネジが同時に内部から出てきて、全長が長くなるのです。つまり、難しい調整をしなくても簡単に高さ調整が出来るってわけ。

 

中央部分にはスパナを掛ける用に平たい部分があるから、パワーに自信が無い人でも簡単に作業出来ますよ。

 

鋼製束の使い方

鋼製束の使い方はとっても簡単。

まずは適当な長さのまま、基礎と木材の間にとりあえず設置します。

 

わたしは鋼製束の基礎には市販のコンクリートブロック(タイル?)を使用しています。1個100~200円程度なので、コスパは抜群。

鋼製束には基礎に固定する為のネジ穴が設けられており、また固定用のコンクリートビスも付属します。それらを使用して基礎に固定するのが本来の使い方なのでしょう。しかしながらわたしの施工例では基礎と呼べるような立派なものは無く、ただコンクリートブロックを地面に置いているだけ。なので、コンクリートブロックに鋼製束を固定したところで、そのコンクリートブロック自体がきっちり固定されていないのでまるで意味が無いんですよね。

そんな適当な施工でもこれといった問題が起こったことは一切無いのですが、きっちり固定した方が好ましいのは間違いありません。気になる人は基礎からしっかり固定しましょう。

 

鋼製束を設置したら、次に高さ調整を行います。その前に、長さ調整部の緩み止めナットが緩まっていない場合は、この時点で緩めておきます。

 

そして、鋼製束の中央部分をぐりぐり回して適切な高さになるように調整。

この高さ調整を行う際、支える木材(大引き・根がらみ)に曲がりがある場合は、この鋼製束の高さ調整でそれらの木材の水平調整も同時に行うことになります。木材の上に水平器を置いておくと正確な高さ調整が出来て、いい感じ。

鋼製束の高さ調整は特に負荷が掛かっていない状態ならば手でもクルクル回すことが出来ますが、木材の重さが掛かっていたり、しなりを修正するとなるとかなりの力が必要になります。そのような場合は写真のようにレンチを使用すると良いでしょう。工具を使用すればパワーに自信が無い人でも簡単に調整することが出来ますよ。

レンチって何?サイズは?という人は、とりあえずモンキーレンチを1本持っていれば便利!
わたしはエビのマークのロブテックスが大好き。でも、ロブスターってザリガニだよね…なぜ、エビ?

 

ところで、鋼製束のほとんどは住宅用のもので、90mm×90mmの角材用のものばかり。

ウッドデッキの構造材はそれよりもずっと幅の狭い木材を使用するので、鋼製束の中央に材を乗っけるようにすると写真のようにL字部分と木材の間に隙間が出来てしまい、木材をしっかり固定することができません

この問題はウッドデッキ専用の鋼製束を使用することで解決することが出来ますが、ウッドデッキ専用の鋼製束は一般的な住宅用と比較するとすごく割高な上、購入先がかなり限定されてしまいます。

うーん、やっぱり安価で入手し易い、住宅用の鋼製束を使いたい!

 

そのような悩みに対して、わたしはスペーサーとなる木材を用意することで対応しています。

具体的には、床板に使用する20mm×105mmの木材の切れっ端(どうせ捨てる木材なんですよね)を細かく切断しまして・・・

それをこんな感じでL字部分に挟み込みまして、そして横から長さ38mmのコーススレッドで固定しちゃいます。

この方法なら、一般的な住宅用の鋼製束を使いながらも、幅の狭いウッドデッキの構造材をしっかり固定することが出来ますね。

 

鋼製束の固定が終わったら、最後に上下2箇所の高さ調整部の緩み止めナットを締め付けて作業は完了!

 

鋼製束のメリット

施工が簡単

ご紹介した鋼製束の使い方からも分かるように、施工がむっちゃ簡単です。

鋼製束は高さ調整が可能なので、事前にきっちり寸法出しをする必要がありません。また、面倒な切断作業も不要です。

 

腐らない・虫が湧かない

環境が悪ければ金属といえども錆びて朽ち果てますが、それでも木材と比較するとその耐久性の高さは抜群。誰でも知っていることですね。

そして、朽ち果てようがシロアリなどの虫が湧くことはありません。虫嫌いには最高の素材ですね。

 

安い

木製束が1箇所辺り1,400~2,000円程度するのに対し、鋼製束は1本数百円。

だいたい300~500円で購入することが出来ます。1/3から1/4程度。

木製束と比較すると圧倒的に安いので、コストを抑えたい人には是非お勧めしたい素材です。

 

鋼製束のデメリット

多くのメリットがある鋼製束ですが、それでも木製束が多く使われていることからも分かるように、決して万能の存在ではありません。メリットに続き、わたしが考えるデメリットについてもご紹介したいと思います。

 

見た目が残念

鋼製束は見た通り、金属の質感丸出し、ネジ構造も丸出しです。しかも、もの凄く細い。

見た目の好みは人それぞれだけど、ウッドデッキの質感と完全にミスマッチなのは間違いありません。そして、ウッドデッキの質感が好きな人からすると、その見た目は恐らく残念に感じるでしょう。

ですので、わたしは木製束と鋼製束を場所によって使い分けています。

完成後でも目に付きやすい外周部は木製束を、見えにくい内側や補強材には鋼製束を使っています。

 

束以外への転用が効かない

鋼製束は高さ調整も出来て使い勝手が良いのですが、それはあくまでも束としてのお話。実は鋼製束は融通の効かない部材なんです。分かりやすく言うと、鋼製束は束以外の用途にはさっぱりなんです。

例えば、木製束はどっからでもコーススレッドを打つことが出来るので、このように根太と大引きの接合部としての役割を果たしています。

 

コーススレッドを打つことが出来ない鋼製束では、そのような役割を果たすことが出来ません。あくまでも役割は束としての支えのみ。なので、根太と大引きを固定したい時はこのようにわざわざ別の木材を準備する必要があります。これが結構面倒臭いんですよね~。

 

また、木製束は床板よりも上に伸ばすことでウッドフェンスやパーゴラの支柱として使用することも出来ます。写真の施工例では木製束をそのまま上に伸ばして、ウッドフェンスの支柱とパーゴラの支柱を兼ねさせています。

このようにいろいろ融通が利くことが木製束のメリットの1つですが、残念ながら鋼製束ではこのような使い方は出来ません。

 

まとめ

ポイント

  • 高さ調整が出来るので、設置作業がとても簡単
  • 安価。木製束の1/3~1/4程度の費用で済む
  • 見た目は残念。隠して使いたい
  • ウッドフェンスの支柱などとは共有できない

鋼製束にはデメリットもあるものの、使い方や使う場所に注意を払えばとても便利な部材です。メリット・デメリットをうまく活かして、木製束と使い分けた使用がお勧めです。

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