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『Panasnonic LIMUX S5』レビュー。マイクロフォーサーズ歴10年のわたしがG9PROと比較して感じたこと


DIYブログなのに、これでもかというくらい何度も扱ってきましたカメラネタ。ほら、カメラって子供の成長の記録だけじゃなく、DIYの様子の記録やブログ運営では必要不可欠な機材じゃないですか?せっかく使うなら、よりよいものを使いたいじゃないですか?

これまでわたしはマイクロフォーサーズマウントのカメラであるパナソニックのG9PROをメインに使用し、それにオリンパスPROレンズやパナソニックのLEICA 10-25mm F1.7なんかを組み合わせてきました。これらの組み合わせはマイクロフォーサーズの中では性能重視の組み合わせとなるのですが、マイクロフォーサーズ機のメリットである軽量さ・コンパクトさが損なわれるというジレンマを抱えている組み合わせでもあります。でかい!重たい!

一般的には重いことと高価なことがフルサイズ機のデメリットとされていますが、そんなフルサイズ機のLUMIX S5とキットレンズの組み合わせよりも、マイクロフォーサーズ機のG9PROとLEICA 10-25mm F1.7の組み合わの方が重く、そして高価になるという逆転っぷり。いやいや、LEICAブランドのF1.7通しのレンズとキットレンズじゃ全然違うでしょ?っていうご意見もあるのでしょうが、少なくてもわたしはLEICA 10-25mm F1.7の性能に決して満足できなかったのが、フルサイズのLUMIX S5を購入した最大のきっかけだったわけなんですね。光量の少ない環境でG9PROを使うと、どうしてもザラザラ感が気になってしまうのです。

 

そんなマイクロフォーサーズ歴10年のわたしが満を持して手に入れたのが、このフルサイズミラーレス機であるパナソニックのLUMIX S5。果たしてわたしがG9PROで感じていた不満点は解決されたのか?それともマイクロフォーサーズ機では感じなかったデメリットを感じたのか?

入手してとりあえず1か月ほどもりもり使ってみましたので、マイクロフォーサーズ機のG9PROやAPS-C機のX-T3と比べて感じた点を中心に紹介したいと思います。

今回紹介するアイテム

商品名:LUMIX S5

メーカー:パナソニック

購入価格:29万円くらい。冷静に考えるとむちゃ高い…

結論:レンズラインナップがまだ少ないけど、フルサイズらしい高感度耐性と動画性能の高さには大満足。G9PROユーザーなら違和感なく使えると思うけど、やっぱり望遠は弱いです。

 

LUMIX S5の良かった点

ノイズ耐性は明らかに違う

G9PROで最も頭を悩ませていた高感度でのノイズは明らかに改善されました。もうこれだけで 大 満 足

G9PROではISO800とかISO1600でもザラザラ感を感じていたというのに、S5ではISO10000でも全然クリアー。マイクロフォーサーズとフルサイズとでは2段くらい高感度耐性が違うって聞いたけど、感覚的はそれ以上の差は絶対あるでしょ?

ISO12800でこの画質。良く見ると少しノイズは乗ってるけど、全然綺麗でしょ?LUMIX S5はデュアルネイティブISOを搭載しているのが特長の一つとされますが、その効果によるものかもしれませんね。

なので、わたしの感想としては同じようなサイズ感・画角・価格帯であるG9PROとLEICA 10-25mm F1.7の組み合わせよりも、S5とキットレンズの組み合わせの方が画質も、使い勝手も良いって印象。LEICA 10-25mm F1.7の造形と質感はむっちゃ好みなのですが、重要なのはレンズの質感よりも画質ですから。また、LEICA 10-25mm F1.7はレンズが大きくて本当に気を使いますが、S5の方はキットレンズがコンパクトでしかも安価なので気を遣わなくてよいのも使い勝手がよいポイントです。

 

光量の少ない室内でのツバメの巣作りを撮影。こういうシーンでの動きものの撮影はマイクロフォーサーズ機が最も不得意としていたから、S5の高感度性能の高さをめちゃくちゃ実感できます。ツバメの写真くらいだったら撮影できなくても人生においては全く問題は無いけど、体育館などで行われる子供のイベントは結構あるから、光量が少ないシーンでも動体撮影ができるのはとっても有難いです。

 

ピンポイントAF+人物認識AF

G9PROの人・動物認識AFってとても便利でしたが、AFエリア選択との組み合わせができなかったんですよね。なので、人が多くいるシーンだと目的の人にだけ認識させるのが結構煩わしかったんです。ちなみに、富士フイルムのX-T3でもAFエリアと顔認識は別々って感じでした。

ところが、S5ではピンポイントでのAFエリア内だけで人・動物認識AFができるようになったのです。これでわざわざ撮影する人物をタッチで選ぶ必要がなくなる!手持ちの動画撮影中に片手を離して画面をタッチするのが非常に手間だし、手振れの原因になっていましたから、これは助かります。

 

LUMIX S5で感じた良くも悪くもある点

操作性

録画ボタンの形がなんかかっちょよくなったことに気を取られがちですが、録画ボタンがむっちゃ押しやすくなりました。多分、G9PROとはグリップと録画ボタンとの位置関係が違うからでしょう。

 

G9PROでは録画ボタンが若干ですがボディの外側についていたので、グリップを握りながらだと人差し指を曲げながらじゃないとボタンを押すことができず、指が攣りそうになることが何回かあったんですよね。ちなみにG8はG9PROよりももっと外側なのでもっと押しにくいです(左:G8、右:G9PRO)。

 

一方で、フォーカスセレクトレバーは突起の出っ張りが低くなったせいか、明らかに操作しにくくなった印象です。フォーカスセレクトレバーはそんなに使わないから別にいいけど、その真ん中のフォーカスエリア切替ボタンもG9PROより押しにくい場所に移っちゃったのは残念。こっちは結構頻繁に押すボタンですから。

 

わたしのG9PROだけの問題かもしれないけど、G9PROはファインダーのアイセンサーの感度がダメダメだったのがかなりストレスでした。顔を近付けた際の感度はいいんですが、顔を離した際の反応がまるでダメだったのです。一方でS5は気持ちよく切り替わってくれるようになりましたので、完全にストレスフリー。わたしのG9PROがおかしかっただけかもしれないけど、これは大満足。

 

端子類

充電/通信ケーブルがUSB-Cになったのはいいことだけど、HDMIがちっこくなったのは少々残念。わたしは撮影した動画をテレビモニターへ出力して家族と楽しむ機会が多いのですが、G9PROのようにがっちりとした普通サイズのHDMI端子の方が有難かったですね。

 

LUMIX S5で感じたイマイチな点

明るいレンズを使わないとメリットは感じにくい

これはS5が、というよりも、フルサイズ機に関する点。

光量が不足する環境でのノイズ耐性の強さは間違いなくフルサイズ機であるS5を使うメリットなんだけど、一方でISO800以下を使うようなシーンだとG9PROとの画質の差はそれほどなかったりします。G9PROって低感度だとダイナミックレンジにも全然不満はありませんし。また、APS-C機である富士フイルムのX-T3との画質の差になるともっと縮まります。X-T3は高感度も強いしね。

フルサイズのメリットの一つはボケの量の多さとよく言われていますが、それでもマイクロフォーサーズ機との比較ではF値でおよそ2段程度、APS-C機との比較では1段ちょっとの差らしいので、その差って意外とレンズで補える程度の差なんですよね。なので、ボケの量をフルサイズ機のメリットと考えているのであれば、F2.8通しの大口径ズームや、F1.4やF1.8の単焦点レンズを使わなければフルサイズ機のメリットを感じにくいかもしれません。

 

富士フイルムX-T3にF2.8通しの望遠レンズ、そしてLUMIX S5にF4通しの望遠レンズをそれぞれ取り付けた場合のサイズ感の比較。

APS-C機とフルサイズ機とではボケの量がだいたいF値1段分ちょっとの差とされてますから、この2つのセットで撮影出来る画像はかなーり近くなるはず。カバーする焦点距離もだいたい同じ。そして、サイズもかなーり近い感じなのが分かります。

結局のところ、マイクロフォーサーズ機だろうが、APS-C機だろうが、性能を追求したレンズを使うと結局フルサイズ並みにデカくなるのです。高画質=機材がデカくなるっていうだけで、フルサイズ機=重い・デカいというのは実は間違いなのかもしれません。

 

解像度は普通

イマイチというか当たり前のことなんだけど、G9PROは2033万画素、X-T3は2610万画素、S5は2420万画素というスペックなので、解像度は3機種でそれほど違いは感じません。なのでフルサイズだからって、拡大しても、うわ!きれい!というお写真が撮れるわけじゃありません。そういうのが好きな人は、高画素機のS1Rを買いましょう。ただ、同じマウントでありながら通常機と高画素機を選ぶことができるのは間違いなくフルサイズ機のメリット。マイクロフォーサーズやAPS-Cでは低画素機はできても、高画素機は難しいですからね。

 

結構フリーズするんですけど…

そのまんまなんですが、電源入れてすぐに何かの操作をしたときに起きることが多いように感じます。また、スマホアプリとの連携中もよく発生する印象。完全にフリーズしてしまって操作は一切不可。こうなるとバッテリーを抜いて一度強制的に電源を落とすしかありません。G9PROではこういったことが一切無かっただけに、結構残念。そして、貴重なシャッターチャンスのときにこれが起こると本当に腹が立ちます。

 

クイックメニューの項目

G9PROよりもクイックメニューの自由度が下がってませんか?具体的にいうと、セルフタイマーの設定なんかを割り当てることができなくなっているのが、地味だけど結構使いにくいなぁと感じています。わたしの使用用途ではセルフタイマーの使用頻度って結構多いので、その都度メニューから設定変更するのがかなり面倒臭いです。G9PROでは出来ていたんだから、当たり前のように出来ていて欲しかったですね。

 

トリミングができない

これもG9PROでは多用していたのに、S5ではできなくてびっくりしたパターン。撮影した画像をカメラ内でトリミングする機能ってデジカメでは当たり前の機能だと思っていたけど、S5ではできません。撮影の合間に撮影した写真のトリミングなんかをその場でやっていたことが多かったもんですから、とても不便。残念です…。

 

メニューのペコペコ感

MENU/SETボタンが押すたびにペコペコ音がします。このボタン、押す頻度が無茶苦茶多いので、その度にペコペコペコペコペコペコ安っぽい音がするのは結構気になります。もしかするとクリック感を重視させた結果なのかもしれませんが、それにしてもこのペコペコ音はむっちゃ、安っぽく感じます。S5って廉価モデルだから安っぽいのもある程度は許容しますが、それでも30万円近い価格ですよ?所有欲を満たすような質感にして欲しいとかは言わないけど、ボタン一個くらい、ストレスを感じないものにして下さい。

 

動画性能はどうでしょう?

これに関してはまだまだ試行錯誤しているけど、元々同じパナソニックのG9PROで全く不満がなかっただけに、このS5でも特に不満は感じていません。むしろ動画ボタンが押しやすくなった点、撮影中の赤枠表示が追加された点、MP4 30pではクロップされずしかも制限時間フリーな点など、G9PROよりもずっと使い勝手が良くなっています。画質も良いですしね、大満足です。

ただ、問題があるとすればレンズラインナップでしょうか。

動画撮影中にはレンズ交換できませんから、便利ズームは絶対に欲しいところです。SONY EマウントやNIKON Zマウントではフルサイズ対応の便利ズームがあるんだから、ライカLマウントでも早く出してくれませんかねぇ?

 

レンズラインナップは今後に期待

わたしの手元にはただいまライカLマウントのレンズは3本。

わかっちゃいたことなんだけど、ライカLマウントのレンズはまだまだ少ないです。いや、数自体は決して少なくはないんだろうけど、撒き餌レンズ的な普及価格帯の単焦点レンズがパナソニックにはまだまだなかったり、前述の通り便利ズームがなかったりするのがわたし的には結構イタイ感じ。SONYは動画用といっても過言ではないような、F4通しの電動ズームレンズまで揃えていますからね。LUMIXといえば動画に強いというイメージが定着しているですから、電動ズーム出してくれませんか、パナソニックさん?

 

LUMIX S5はG9PROの上位互換になり得るか?

というわけで、本日はLUMIX S5について感じたことのご紹介でした。

わたしがS5に期待することは、G9PROの欠点を改善しつつそれまでと変わらぬ感覚で使い続けることができること。操作性については多少の不満点はあるものの、G9PROやG8、GH5なんかとあんまり変わらないのでパナソニックらしくとても使いやすいです。ですが、使い勝手、つまり使用用途に関しては残念ながら同じような感覚でというわけではありませんでした。それはS5のせいというよりかは、レンズラインナップとフルサイズ機故の問題と言ったところでしょうか。

便利ズームがないこともその理由の一つだけど、やっぱりフルサイズは望遠域が弱いですよね

マイクロフォーサーズ機なら35mm換算200mmを越えるズームレンズが11本、そのうち300mmを越えるレンズが8本もあったわけですが、Lマウントでは200mmを越えるのはパナソニックの70-300mmとシグマの100-400mmだけ(ライカの90-280mmは庶民には現実的ではないので除外)。200mm以上って別に全然特殊な焦点距離じゃないし、運動会なんかでは最低300mmは欲しいなぁっていうシーンもたくさんあります。テレコンを併用すればフルサイズの70-200mmでも焦点距離を伸ばすことはできるけど、×2テレコン時のF8とかになるとフルサイズの恩恵がどんどん損なわれるので難しいところ。フルサイズ機の140-400mm F8を使うならば、マイクロフォーサーズの45-200mm F4-F5.6(35mm換算90-400mm F8-11 ) の方が遥かにコンパクトで、しかもカバーできる焦点距離が広いですからね。写真でもそうですが、撮影中にレンズ交換ができない動画撮影だとこの差は結構大きいです。

わたしもそうなんですが、望遠域を多用するような人や、運動会など広い範囲の画角での動画撮影をするような人にとっては、マイクロフォーサーズ機の方がずっと使いやすいって感じることは間違いなくあるでしょうね。

マイクロフォーサーズといえども性能を重視すれば大きく、重たくなるのは避けられませんが、レンズの明るさをある程度妥協すればやはり軽くてコンパクトなシステムです。マイクロフォーサーズ機には単焦点レンズや望遠レンズを組み合わせ、フルサイズ機には大口径ズームレンズなんかを組み合わせて使い分けるのが、少なくてもわたしには合っているように感じています。今のところはですけどね。

ただ、改めて考えるとデジタル一眼の最適な大きさはAPS-Cであるという富士フイルムの思想は、一台でオールマイティーに使うことを考えると全くその通りなのかもしれませんね。

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