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どうもこんにちは、きんちゃんです。
早いものでDIYによるお庭造りに挑戦し始めてから10年以上が経過したんだけど、10年間のお庭造りのうち植物に関してもっとも苦労してきたのが、イシクラゲへの対処。
イシクラゲに関する情報を求めて当ブログにお越しいただく方も多くおられることから、きっとたくさんの人がこの厄介なイシクラゲに悩まされているはず。
そこでわたしが10年間で試行錯誤して学んだイシクラゲの対策方法、駆除方法について一気にご紹介させていただきます。
陸上に藻?お庭に湧く黒いブヨブヨの正体は「イシクラゲ」
イシクラゲ、お庭を造り始めた最初の数年間は全く発生していなかったんです。芝生やリッピアなど、グランドカバープランツがそこそこ根付いて、密度が高くなった頃から発生し始めました。
遠目で見る分にはとくに何も感じなんだけど、
近付くとすぐに分かるこの違和感。植物の隙間からチラ見えしているこの黒い物体が今回の主役である「イシクラゲ」。
イシクラゲは水分を蓄える性質があるのか、雨が降った後などはブヨブヨとゲル状に膨らみます。ブヨブヨして触り心地は悪いし、踏むとめっちゃ滑るし、なによりも見た目が悪いのでお庭の嫌われものとして有名な様子。雨の日が多い梅雨の時期に特に目立つように感じます。
わたしが調べた限り、こいつは陸生の藻の仲間なのだとか。陸生の藻というジャンルの植物が存在することすら知りませんでした。
藻の仲間なので、根っこがあって茎があるような高等な植物でありません。このように一つの塊に見えても、実際は群体という小さな個体の集まりなのです。つまり、このように手で掴んで物理的に除去しようとしても、ほんの僅かでも破片を残してしまうとその破片からまた増えていくのです。こいつらは胞子で増えるのだとか・・・。
ちなみに、このイシクラゲは食べることができるんですって。わたしはキクラゲが大好きなので見た目的には全然抵抗感はないのですが、いくら我が家の敷地内でできた食材とはいえほんとうに食べても大丈夫なのか、かなーり不安が残りますね・・・。
イシクラゲの発生要因はとにかく「水捌けの悪さ」
お庭に発生する厄介なイシクラゲですが、その存在を知ってから周囲を見渡してみると、思っていたよりもずっと身近な存在であることがわかります。ほんとうに、いろんな場所にいます。
おそらく一番目にするのが道路の脇。アスファルトの上には発生しにくいみたいだけど、コンクリートの上に発生しているのは結構見かけます。道路の両端のコンクリート製の溝部分や、歩道橋の階段、河川の堤防部分など、コンクリートでかつ水が溜まりやすい箇所、乾燥しにくい日陰部分などに多く見られる印象。
そして学校のグランドのような真砂土の地面の上。さすがに人間が走り回っているグランドの中心部に湧くことはないけど、グランドの端っこ部分、雑草が生えているような場所にはよくイシクラゲが湧いています。
これらイシクラゲが湧く部分に共通しているのが、水捌けの悪さ。雨上がりの学校のグランドには水溜りが大量にできることからも想像がつくように、真砂土の地面は水捌けが悪いのです。また、排水溝などがコンクリートで作られることからわかるように、コンクリートも水を通しにくい素材。こういった水が表面部分に溜まりやすい環境で、イシクラゲは発生するのです。
イシクラゲは放っておいてもいなくならない。絶対に
ガーデニングしている人なら分かると思うけど、植物を育てるのは大変です。水をあげないと枯れるし、水をあげすぎても枯れるし、その植物にとってベストな条件でお世話をしていても鳥や害虫に無残にやられてしまうこともしばしば。全然思い通りにはいかないもの。
イシクラゲもそんな環境の変化で勝手に滅んでくれればそこまで困らないんだけど、残念ながらイシクラゲは無敵のような存在。こいつエイリアンじゃね?ってくらいのしぶとさを誇ります。
水捌けが悪い環境で発生する性質のくせに、一度発生してしまうと乾燥状態でもそこそこ存在し続けやがるのです。乾燥状態が続くと増える乾燥ワカメのようなカラカラの状態になるんだけど、雨などで水分が与えられるとまたブヨブヨの元の状態に戻って増え続けていくのです。
イシクラゲに困っている人は、積極的に駆除活動をおこなわないと事態が好転することはまずないということを強く胸に刻んでおきましょう。それがイシクラゲとの闘いの第一歩。
イシクラゲの駆除でお勧めできない方法
物理的な除去
一番手っ取り早くて、誰にでもできるのは手で拾い集める方法。わたしも10年近くずーっと拾い集めてきました。これによって一時的に外観の悪さが解決するのは間違いないから無駄とまではいわないけど、でもこれだけでは根本的な解決には一切なりません。
イシクラゲが発生する原因は水捌けの悪さだとご紹介したとおり、イシクラゲを駆除するためにはイシクラゲが好まない環境にするしかないのです。当然ですが、イシクラゲを拾っても水捌けなどの環境は変わりません。
物理的な除去は一時的にイシクラゲの数を減らす点では有効なんだけど、もしこれをするのであればわたしは乾燥してカチカチ状態の方がやりやすいと思っています。
水分を含んでブヨブヨの状態だと見つけやすい・掴みやすいというメリットはあるんだけど、柔らかいのでちぎれやすいというデメリットがあるのです。イシクラゲは少しでも破片を残すとそこからまた増えていってしまうという特徴があるので、ちぎれにくい乾燥状態の方が除去率が高いんじゃないかという考えですね。
なお、画像のようにブヨブヨの状態のイシクラゲをレーキで除去するのは一番の悪手。レーキで粉々になってしまい、除去率が極端に下がってしまうのです。
薬剤での除去は全く現実的ではない
”イシクラゲの除去除法”というキーワードで検索すると、インターネットで多くヒットするのがこちらの方法。駆除剤を使ってやっつけるというものです。
前々から駆除剤の存在は知っていたんだけど、ネット上の情報はアフィリエイトなどの宣伝目的が多いので半信半疑だったんですよね。しかしながらそんなことも言ってられないくらいイシクラゲに悩まされてきたので、その効果の確認をおこなったことがあるんです。
使用したのは山善のコケカビとれ~ルという製品。近所のホームセンターで698円で購入。その商品名からも分かるようにコケの駆除がメインで、イシクラゲ専門の薬剤というわけではありません。
わたしが調べた限りでは、この手の薬剤にはコケにもイシクラゲにも効く薬剤、イシクラゲには効くけどコケには効かない薬剤など、いろいろとあるみたい。
有効成分も製品によって随分違いますね。この製品の有効成分は酸化アルキルジメチルベンジルアンモニウム。他の製品ではキノクラミン(ACN)を有効成分とするものや、天然素材であるグレープフルーツ抽出成分を有効成分とするものなど、さまざま。農薬に関する知見がある人じゃないと、とてもじゃないけどその良し悪しを判断するのは難しいでしょう。素人には現実的ではない。
そしてなによりも、たとえイシクラゲにガツンと効く薬剤があったところで、イシクラゲが発生しやすい環境をどうにかしない限りは永遠にイシクラゲは発生し続けるのです。だから、薬剤による除去は全然現実的ではありません。費用もバカになりません。
薬剤によってはそもそも全く効果がない
山善のコケカビとれ~ル、イシクラゲに対して全く効果ありませんでした。698円は全くのムダ金になってしまいました。この製品を選んだわたしの責任なのだけど、とっても悲しい・・・。
そもそもこの製品はコケ用の駆除剤。メーカーはイシクラゲに効くとは謳っていません。でも”地衣植物にも効果がある”とは書いてあったので、もしかするとイシクラゲに効果あるんじゃね?という淡い期待を抱いて試してみたんです。イシクラゲが地衣植物に分類されるかどうかは分からないけど。
テストのため、手で拾い集めたイシクラゲにこの薬剤をふんだんに散布。イシクラゲは乾燥状態になると休眠モードになってしまい、外部からの攻撃にめっぽう強くなります。なので、薬剤を散布する時はこのように湿ってブヨブヨになっている状態で散布します。もう、ほんとうにたっぷりと、これでもかと散布。
駆除剤を散布してから1日後の様子。気持ち色が薄くなったような気もするけど、光の当たり方による気もする。明らかな変化はないといえるでしょう。
駆除剤を散布してから2日後の様子。うん、1日後の変化はやっぱり勘違いだったんだな、と思えるほど変化はありません。
駆除剤を散布してから4日後の様子。イシクラゲは徐々に縮んできました。でもこれはきっと駆除剤のせいではなく、単純に乾燥してきたからのような気がします。こうなるとイシクラゲの防御力はアップする一方。その後もずっと様子を確認しましたが、イシクラゲは全く枯れるそぶりはありませんでした。この薬剤はイシクラゲには全く効果がなかったということです。
薬剤のよっては周囲の植物に大ダメージが
残念ながら先ほどの薬剤はイシクラゲには全く効果がなかったわけですが、そもそもあの製品がポンコツだっただけでは?という可能性もありますよね。それを確認するため、イシクラゲへのテストと同時に雑草でのテストも行っていたんです。
それがこちらの雑草さん。テストの元々の目的は、イシクラゲ以外の植物(芝生などの周囲の植物)への攻撃性を確認するためだったのです。残念ながらそもそも大前提となるイシクラゲに対する効果が全く認められなかったのですが・・・。
駆除剤を散布してから1日後の様子。イシクラゲのときと同様、ほぼ変化はありません。
駆除剤を散布してから2日後の様子。イシクラゲとは違い、顕著な変化が現れたじゃないですか。ごらんの通り、明らかに枯れてきています。
駆除剤を散布してから4日後の様子。雑草は哀れにもすっかり枯れてしまいました。強力な除草剤を使用したとしても、なかなか短時間でここまで見事に枯れることはありません。この駆除剤、イシクラゲにはさっぱり効果がなかったくせに、その他の植物に対してはめっちゃ強烈な影響があることが分かったのです。むしろ除草剤よりも除草剤っぽい効果。
まとめますと、駆除剤の使用はこの2つの理由でイシクラゲ対策としては微妙なんです。
- イシクラゲが発生しにくい環境にしないことには、一時的にイシクラゲを除去してもまた再発生する(=除去は根本的な解決にはならない)
- イシクラゲに効果がある駆除剤があっとしても、駆除剤によっては周囲の植物に影響を及ぼすことがある。
とくにコケ系の駆除剤は、レンガやフェンスなどの人工物の上についたコケや藻の除去を目的に作られた製品が多いようであり、我が家の場合のように芝生の中に発生したイシクラゲの除去は想定されていない場合があることは注意が必要です。人工物の場合は他の植物への影響を気にしなくてよいので、そのため除草剤チックな製品が多いのでしょう。
イシクラゲ対策で最も効果があるのは土壌改良
これまで散々書いてきたことでもあるんですが、イシクラゲ対策で最も重要なのは駆除することではなく、そもそもイシクラゲが発生しないような環境にすること。乾燥にも強いイシクラゲですが、イシクラゲが嫌うような環境にしてやることで無敵かと思われたイシクラゲを完全に除去することも可能です。
”環境を変える方法”って、つまりは土壌改良。
なにも地面の中に排水パイプを埋め込むような本格的なものでなくとも、少しばかり地面を掘り返して、土を排水性の良いものに入れ替えるだけで効果はてきめん。一見大変そうだけど、いや、実際に大変な作業ではあるんだけど、効果の高さを考えるとこの方法が結果的に一番効率がいいと思います。
既に芝生がびっしり生えているんだけど・・・という場合でも、地面の土の入れ替えは可能。芝生の根っこは地表のごく浅い部分にしかありませんので、シャベルで切れ込みを入れ、ぐいっと持ち上げてやれば簡単にマット状の芝生を剥がしてやることができます。
我が家の場合は芝生の下に水捌けの悪い真砂土層があったので、この真砂土を20cmくらいの深さまで取り除いてやり、
代わりに水捌けの良い土に入れ替えてやります。芝専用の床土や川砂とかを入れてやればいいんだろうけど、ケチなわたしは安価な腐葉土(しかもホームセンターのPBのような一番安いやつ)を投入。土壌改良で腐葉土を入れるなんてわたし自身でもどうかとは思うんだけど、こんなケチな方法でも真砂土に比べれば遥かに排水性は向上します。
あとは先ほど剥がしたマット状の芝生を元に戻してやり、しっかりと地面を押し固めてから、
芝の目土でしっかりと隙間を埋めてやれば完成。今回は芝生ゾーンでの例でしたが、他のグランドカバープランツでも方法は同じ。とにかく地面の土を排水性の良いものに入れ替えるだけ。
これまで自分のお庭だけでなく他人のお庭でも何度かこの方法を試しましたが、イシクラゲ問題が解決しなかったことはありません。イシクラゲを本気でどうにかしたいのであれば、とにかく土壌改良が一番効果的でしょう。
施工の難易度が低い、お手軽な「芝の目土」を使った対策方法
イシクラゲをどうにかしたいのならば地面の土を入れ替えましょう、というのはおそらく多くの人が分かっていること。でもそれができないから困っているんだ!という人もおられるでしょう。地面掘るの大変ですし。
そんな人にご提案したいのがこちらの方法。「芝の目土」を使った地表部分の水捌けの改良です。
こちらは西日本豪雨とか平成30年7月豪雨と呼ばる2018年の大雨のときに我が家で発生した現象。梅雨時期の長雨ということもあり、これまでちらほら存在していたイシクラゲが突如として大量発生したのです。
前々からこの場所は水捌けがイマイチだな・・・とは思っていたものの、イシクラゲが突然こんなに大量発生してめっちゃびっくりしました。災害級の大雨が去って被害状況を確認するためにお庭に出た瞬間このような光景が広がっていたわけですからね、驚きを通り越して恐怖すら感じたものです。
”物理的な除去は根本的な解決にはならない”、”レーキを使った除去はイシクラゲが細かくなって効果が薄い”とわたし自身が紹介しましたが、ここまで大量発生した場合はそんなこと言ってられません。とにかく少しでも量を減らすためにゴリゴリと物理的に除去してやります。
本来であればこの後地面を掘り返して地面の土を水捌けの良いものに入れ替えてやるべきなんだけど、この時は大雨の後でとてもじゃないけどそんな余裕はなかったんです。そこで行ったのが、表層部分だけの土壌改良。
読んで字のごとく、地面の表層部分に水捌けのよい土を入れるだけなんだけど、わたしは少しでも効果を高めるためにローンパンチ(芝生のお世話で使う、穴を開ける道具)で水捌けの悪い土を少しでも除去するようにしました。
画像じゃ少しわかりにくいんだけど、これでもかというくらいローンパンチで穴あけ。直径10mm・深さ30mm程度の穴が大量に開いています。
そんな穴だらけの地面に、芝の目土をどさーーーっと撒くわけ。芝の目土は水捌けが良いので、極端な話この目土で数十センチ地表を覆ってしまえば、簡単に水捌けを改良することができるってわけ。もちろん、実際は数十センチも地表を覆えるわけはないし、その下に水捌けの悪い土がいるのであれば劇的な効果は得られないのだけれども。
結局のところ現状の環境がどの程度水捌けが悪いのかによって、この手法で改善できるかどうかの結果は大きく変わります。慢性的にずーーーっとイシクラゲが発生するような環境だと完全な解決は難しいかもしれないけど、イシクラゲが発生するかどうかギリギリのラインの場合はこの手法でも十分効果が得られると、これまでの経験から分かっています。
西日本豪雨の後にイシクラゲまみれとなった場所は、この手法でイシクラゲを完全に駆除することができました。あれから6年経ちますが、それはいまでも変わらず同じ。
この手法は比較的簡単にできますから、まずはこの手法で試してみて、全然ダメそうなら諦めて地面を掘り返す、という進め方でもいいかもしれません。
まとめ
というわけで、今回はわたしが10年間のお庭DIYで学んだイシクラゲへの対処方法についてご紹介させていただきました。イシクラゲはですねー、ほんとうに厄介なヤツなんです。手で拾おうが、駆除剤を使用しようが、無限のように湧いてきます。
こいつをなんとかしたいのであれば、とにかくイシクラゲが嫌うような環境にすることが何よりも重要。道路や歩道橋のようなコンクリート造りの場合はどうしようもないかもしれないけど、住宅地でイシクラゲが発生する場合は十中八九地面の土の水捌けが悪いだけなので、土壌を改良するだけで改善は十分可能。駆除剤を使用するのはお金ばかりかかるので全くおすすめできませんので、お困りの方は是非気合を入れて地面の土を少しでもいいので入れ替えてみましょう。