素人でもできるウッドデッキ製作

10年間テストしてみた!ウッドデッキやフェンスに杉を使ったときの耐久性とソフトウッドのデメリット


ウッドデッキやウッドフェンスを設置するときに恐らく一番気になるのが、どのくらいで腐って使えなくなるのか?ということでしょう。

「形あるものはすべて壊れる」というのが仏教の教えですが、そうは言ってもせっかくDIYで苦労して作ったり、高い費用を掛けて施工してもらったりしたもの。少しでも長持ちして欲しいと思うのは当然のことじゃないですかね?

しかしながら、非情なことに耐久性が高いとされる材料ってめっちゃ高いんですよね。少しでも長持ちはしてほしいけど、当然費用は極力抑えたい・・・こんな想い、ウッドデッキを検討したことがある人なら一度は抱いたことはあるはず。

木材に詳しい人なら値段と耐久性のバランスのよい木材を選んだりすることもできるんだろうけど、我々素人にはそんなのさっぱりわかりません。木材の劣化なんて数年ではっきり分かるようなものじゃないんですから、素人が個人レベルで得られる経験値には限界があります。

  • とにかくお金に糸目をつけずに耐久性のある木材を選べばいいのか?
  • それとも、そんなのオーバースペックで、お安い杉材でも十分なのか?

その答えはわたしにもまだはっきりとは分かりませんが、少なくともウッドデッキ材に杉材を使うのはやめておいた方がいいと思います。本日はそのような考えの根拠となる、10年に及ぶ屋外での杉材の耐久テストの結果について紹介します。

 

10年間に及ぶ杉材の耐久テスト

テストって書くとなんだか大げさだけど、10年間屋外で使っていた杉材をチェックしました!ってことです。

テストはこちらの杉の丸太でおこないました。

ただの板っ切れなどではなく、ご覧のとおりかなりの厚みのある材料です。木材は厚みがあるほど腐食には強いので、同じ杉といえども一般的なウッドデッキに使う厚みの杉材と比べると格段に腐食には強いはず。今回のテストにあたり、この点だけは実際のウッドデッキ材とは大きく異なる点ですね。

木材は土と接しているとあっという間に傷んでしまうものですが、この丸太はちゃんとコンクリート製の基礎の上に置いて土と接さないようにしていました。この点は一般的なウッドデッキと同じ感じ。通気性は抜群で陽当たりもよく、乾燥状態は保ちやすかったといえるでしょう。屋外の木材としては割とよいテスト環境だったと思います。

なお、ウッドデッキでは実際に木材の上を人が歩くわけですが、その荷重が木材を痛める大きな要因だったりもします。形状は違えど、この丸太もしょっちゅう人が座ったり上を歩いたりしていたので、物理的なダメージについてもウッドデッキと似たような感じだったと思います。

 

10年間での傷みっぷり【外観編】

というわけで、まずはざっくりと外観から確認。

屋外の木材は雨水を吸って膨らんだり、逆に乾燥して収縮したりを繰り返すので、どうしても経年劣化で縦方向(長手方向)に割れがち。側面から見れば分かるように、この丸太も外側から中心部に向かって至るところが割れてしまっています。

 

割れの幅は場所によってまちまちで、ピッと細く裂けている場所もあれば、ガバッと大きく裂けている場所もあります。後述しますが、こういう割れが生じていまうと耐久性の面ではかなり問題だったりします。杉のようなソフトウッドはただでさえ元々水を吸いやすい性質だというのに、裂け目があると表面積が増えちゃうわけですからね。そして、裂け目の内部はどうしても通気性が悪いですから、吸い込んだ水分もなかなか乾きません。結果、腐食の起点となるのです。

 

そして人が乗る部分はどうしてもボロボロになりがち。杉などのソフトウッド類をウッドデッキ材として使用する最大の問題点はここでしょう。柔らかい木材なのでどうしても物理的な力に弱く、削れてしまったりするのです。削れてしまった部分は先ほどの裂け目と同じく腐敗の起点となりやすく、腐敗で脆くなった箇所は物理的な力によりさらに削れやすくなります。こうなるともう木材の痛みは加速度的に進行していくわけですね。

 

このような端っこ部分はとくに削れやすいので、大きく痛みができてしまいがち。この傾向は古い公園なんかでみられるソフトウッド製の遊具でもみられますね。ソフトウッド製の遊具は必ず朽ち果ててしまうので、最近は樹脂製の遊具が主流になりつつあるようです。

 

10年間での傷みっぷり【内部編】

外側を確認しただけでも随分傷んでいることはわかりましたが、内部はどんな感じになっているのか、実際にぶった切ってみて確認してみました。

あっという間に真っ二つ。ソフトウッドとはいえ、丸太をノコギリで切断するのは結構大変!・・・と思いきや、意外なことに手ノコでもわずか5分くらいで切断することができました。それだけ木材の密度が低下していたということでしょう。

この画像でみると、断面はめっちゃ綺麗に見えるじゃないですか?実際に綺麗なんですが、実はこの綺麗な断面の周囲にはグルっと厚さ15~20mmくらいの腐食層が存在していたのです。その腐食層はノコギリで切断している間に全部ボロボロと崩れ落ちました。画像にチラホラ映り込んでいるものがその残骸ですね。

 

腐食層に覆われていた中心部分はまだまだ綺麗なんですが、それはこの部分には大きな裂け目が無かったからでしょう。少し分かり辛いかもしれませんが、赤い矢印部分には細い裂け目があり、その周囲は若干シミ状になっています。こんな感じで裂け目から染み込んだ水分を起点に腐食は進行するのです。

 

横方向の断面の観察は終わったので、お次は縦方向の断面を確認しましょう。縦方向をノコギリで切断するのは流石に無理があるので、こちらは鉈で割っていきます。キャンプの焚火でおこなう薪割りと同じ手法、バトニングで割っていきます。

 

鉈を食い込ませる度に、丸太を覆う腐食層がボロボロと崩れ落ちていきます。腐食層は厚み15~20mmくらいありますから、ソフトウッドでよく使われる厚さ38mmくらいのウッドデッキ材だと半分近くが腐食していることになります。そうなると新品のときの強度とはもう全然違うでしょう。下手をすると人間の体重で踏み抜いてしまいかねません。

 

中心部はまだまだ腐食が進んでいないので結構苦労しましたが、なんとかパカンッと割ることができました。

 

こちらが切断面。水分が入り込んでいない部分はまだまだ綺麗なんですが、画像での左側・下側・右上の3か所を中心に水分の染み込みや腐食が進行していることがわかります。繰り返しますが、元々はこの周囲をグルッと腐食層が存在していたので、腐食自体はこの画像以上に全体的に進行していたというわけです。

 

とくに右上の部分は良くない感じですねー。虫食いと思われる穴ぼこがたくさん確認できました。もしかしてこれってシロアリ?シロアリの姿はみえませんでしたが、シロアリは腐食して柔らくなった木材が大好きなのです。こういう箇所からシロアリは攻め込んでくるのですね。

 

これはまた別の場所の断面。なにやらツートンカラーになっていますが、これは大きな裂け目がある部分の断面なんです。上の濃い色の部分が裂け目の部分で、このように腐食が進行してはっきり色が変わっているのです。裂け目の部分は腐食の起点となることがはっきり分かりますね。

 

少なくとも杉材はウッドデッキに使用するべきではない

というわけで、本日は10年間屋外に設置して劣化具合のテストをおこなった杉材の紹介でした。

ご紹介しました画像をご覧になればお判りになられるとおり、杉といえども水分の侵入がなければ思っていた以上に状態はいいんです。しかしながら、経年劣化による木材の割れや物理的なダメージによる削れが生じてしまう点が杉材の最大のデメリットでしょう。そのような場所からどんどん水分が内部に染み込んでしまうので、結果的に致命的なくらい腐食は進行します。シロアリは確認されなかったけど、腐食っぷりを考えるとウッドデッキだと10年もてばいい方じゃないですかね。いくらメンテナンスしても割れや削れを改善に無くすのは現実的ではありません。

杉材はソフトウッドの代表的な木材ですが、同じくソフトウッドに分類される木材でもSPFだと耐久性はだいぶ違いますので、防腐剤注入タイプのSPF材だともっと長持ちはしそうに感じます。しかしながら、SPF材でも防腐剤注入タイプはそこそこのお値段となりますので、それなら割れや削れが生じにくいハードウッドを使用した方が結果的に安くなるのでは?と改めて感じちゃいました。物理的なダメージが加わりにくいウッドフェンスなんかであれば、ソフトウッドのメリットである軽さなんかを活かして使用することができるんじゃないですかね。

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