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芝生のお世話で欠かせない作業が芝刈り。芝刈りは芝生を綺麗に維持するための作業って思われがちですが、健康な芝生って放っておくとものすごく伸びて大変なことになるんですよね。なので綺麗な状態云々以前に、人にとって快適な環境を維持するというレベルで必要となる作業なんです。つまり、芝生を育てているすべての人に必須の作業。
本日は芝刈りに欠かせな道具である芝刈機の刃研ぎ作業と分解洗浄(オーバーホール)作業について紹介します。なんだが大袈裟に聞こえるかもしれないけど、とっても簡単ですよ。
今回の作業
どんな作業? : 芝刈機の刃研ぎと分解洗浄
使うもの : 研磨セット(GL-100)、マイナスドライバー、プライヤー、10mmレンチ
必要な費用 : 3,500円(研磨セット費用)
肉体行使度 : ★☆☆☆☆(1)所要時間は30分程度
言いたいこと : 刃物の研ぎ作業って本来は難しいけど、芝刈機は専用の研磨セットを使えばめっちゃ簡単に研ぐことができます
芝刈機の刃研ぎ作業
8年間ノーメンテで切れ味が悪くなってきた我が家の芝刈機
こちらがわたしの芝刈り機。キンボシのバーディーモアー GSB-2000です。たぶん8年前くらいに購入したモデル。
芝刈機ってお値段もピンキリだけど、わたしは芝生をめっちゃ綺麗にしたいわけではなく、伸びすぎた芝を整えることができればそれで十分。なので国産メーカー品の手押し式で当時一番安いものを選んだのでした。
我が家で育てている姫高麗芝は暖地型芝であり、芝刈り作業は10月まで。以降の半年くらいは使用しないので、例年この時期になると芝刈機は軽く掃除してから刃に油を塗って倉庫に片付けています。
ところがこの芝刈機、最近めっちゃ切れ味が悪いんです。ほぼノーメンテで8年間使い続けてきましたが、しょっちゅう石を噛んだりしているので、切れ味が新品の時とは比べ物にならないほど落ちているのも無理はないことでしょう。というか、壊れずに使えている時点でめっちゃ頑丈な商品ですね。
壊れておらず切れ味が鈍いだけなら、刃を研げばいいだけ。芝刈機も刃物の一種。定期的な研ぎ直しが必要になるのは当然なのです。切れなくなったから捨てるのはあまりに勿体無いですから、今回は人生初の芝刈機の刃研ぎに挑戦しちゃいましょう。
芝刈機の刃研ぎで使う道具
刃を研ぐというとなんだか大層な作業に思えますよね。イメージとしてはでっかい砥石でシュッシュと擦る感じ。でも今回は砥石のような本格的な道具は不要です。
必要なものは、
芝刈機メーカーのキンボシが販売している研磨セットGL-100と、
マイナスドライバーとプライヤーだけ。わたしはラジオペンチを使いましたが、こういう掴む系の工具ならなんでもオッケー。お金を掛けたくない人はどちらも百円ショップで入手できますが、使用頻度の高い工具なので工具メーカーのものを買っておいた方がよいと思いますよ(ドライバーはベッセル、プライヤーはロブテックス など)。
芝刈機の刃研ぎの方法
方法は刃研ぎセットの裏の説明書にも書かれていますが、めっちゃ簡単。
まずはタイヤのキャップをマイナスドライバーで取り外し。はまっているだけなので簡単に取り外すことができますが、プラスチック製なので壊さないようにだけ注意しましょう。
キャップの奥にはタイヤを固定するEリングがあるので、マイナスドライバーでこじって外します。これ、取り外すときにパーンって飛んでいきやすいので、無くさないように注意!
Eリングを取り外したらタイヤが外れるので、その隣にあるピニオンギアという黒い小さなギアを取り外します。芝刈機はタイヤの回転をこのピニオンギアを介して回転刃に伝える構造なのです。
でも、芝刈機って押すと回転刃が回るのに、引いても回転刃は回りませんよね?ラチェット機構でも入っているのかな?って思っていたんですが、その秘密はこのピニオンギアにありました。予想通りラチェットのような構造なんだけど、回転刃の軸受けとピニオンギアの構造だけでそのラチェット機構を構成しているのです。こんな文章ではきっと全然皆様には伝わらなくてわけが分からないと思うけど、よく考えられたシンプルな構造ってことです。
ピニオンギアの代わりに研磨セットに付属のハンドルをセットしたら準備は完了。ハンドルを差し込むときは元々ついていたキー(マシンキー。四角い金属の部品)を同じように取り付けるのを忘れないように。また、地面に直接置くとハンドルが回しにくかったりするので、適当な木材などで嵩上げしてやると作業がしやすいですよ。刃の確認がしやすいよう、芝刈機は上下逆さまにして置いておきます。
準備ができたらいよいよ刃を研いでいくのですが、これ、めっちゃ簡単です。普通に考えたらあんな立体的な曲線を描く回転刃を綺麗に研ぐのは難しいはずですが、芝刈機本体側の固定刃を研ぎの道具にすることで誰でも簡単に研ぐことができるのです。
まずは回転刃に専用のコンパウンドを付属のブラシで塗り込みます。
コンパウンドとは研磨剤のことなんですけど、わたしが知るどんなコンパウンドや研磨剤よりもザッラザラでした。まるで砂のよう!
全ての刃にコンパウンドを塗ったら回転刃が芝刈り時とは逆方向に回転するようにハンドルを回します(画像だと反時計回し)。すると、コンパウンドで刃を研磨する音が盛大にでてきます。ジョッリジョッリって感じ。予想以上に刃をゴリゴリ削っているのが伝わってきます。
ゆっくり2分ほど刃を回すと、研磨した部分がはっきりわかるくらい削れていました。初めてなのでどの程度が止め時なのかはわからないけど、まずは一旦ここで止めておきましょう。
コンパウンドを綺麗に拭き取って、各部品を元に戻せば芝刈り機の刃研ぎ作業はお仕舞いです。ほら、簡単でしょう?
芝刈機の分解洗浄
せっかく途中まで分解しているので、今回はもっと分解して隅々まで綺麗にしていきたいと思います。
追加で使用する道具は10mmのレンチだけ。ボルト類はすべて10mmのソケットで分解できるし、そもそも全て同じボルトなので整備性は抜群。ピニオンギア周りのシンプルな構造からも感じていましたが、この芝刈機の造りってめっちゃ洗練されています。物造りに携わったことのある人ならきっと分かるはず。
作業は何も難しいことはなく、刃研ぎをおこなったタイヤとピニオンギアを取り外した状態から、それに加えてこの側面のパネルを取り外すだけでバッラバラにすることができます。
回転刃は圧入や固定がされているわけではなく、両側のパネルで挟み込まれているだけ。なので側面パネルを取り外せばスッと抜くことができます。
分解しようと思った理由の一つが、回転刃に塗ったコンパウンドの拭き取り。分解しないままだと手作業で拭き取るには効率が悪いし、かといって水などで丸洗いするのも抵抗があったのです。鉄製だから錆びちゃいそう。
あれだけ研磨力の強いコンパウンドですから、できれば徹底的に除去したいところ。研いだばかりの刃ですから、手を切らないように注意しましょう。
芝刈機って回転刃と本体側の固定刃で挟み込んで切断するハサミのような構造なんです。刃研ぎでは回転刃の方に注目していましたが、固定刃の方もちゃんと研げていることが分かりました。色が銀色に変わっている場所が研いだ部分ですね。この部分は分解しないと見ることができないのです。
一番気になっていた回転刃のベアリング。回転体にとってベアリングはまさに心臓部分。状態が悪ければ交換しようかと思っていましたが、ゴリゴリ感も全くなくまだまだ大丈夫そう。それにしても直径に対して随分幅のあるベアリングですね。めっちゃ頑丈そうです。
屋外で使うものなのであまり神経質になる必要はないんだけど、せっかくなのでそこそこには綺麗にしてみました。
各部のチェックと洗浄が終わったら元通りに組み上げていきましょう。回転刃を両側のパネルで挟み込み、ボルトを締めていくだけ。綺麗になった部品の組み立ては気分がよいです。
この芝刈機は回転刃と固定刃のアタリを自動的に調整してくれるモデル。自動調整っていってもこのようにスプリングの力で押し付けているだけのシンプルな構造。完全メンテナンスフリーです。この構造って精密な調整は全くできない一方で、強い力が刃に加わったときに力を逃がしてくれそうなのはメリットでしょうね。
びっくりすることにタイヤの駆動軸はベアリングどころかブッシュすらありません。ベアリングやブッシュは軸受けのことで、回転によりタイヤや軸が削れないようにするためのもの。おもちゃの車輪にだってついているくらいの構造なんですよ。もちろんこれでも大丈夫っていうメーカーの判断なんだろうけど、少しでも抵抗を減らせるように一応適当なグリスで注油しておきます。
タイヤを通してEリングで固定したら、
完成!8年物とは思えないくらいのピッカピカぶり!
というわけで、僅か30分程度の作業で8年間ノーメンテナンスで酷使していた芝刈り機の刃研ぎと分解洗浄ができました。必要となる工具も少ないし、作業も簡単だし、挑戦のハードルは全然高くありません。芝刈り機をお持ちの方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
気になる切れ味は?
そうそう、気になる切れ味ですが、
コピー用紙がシャキンっと切れるくらいの切れ味なので、及第点ではないでしょうか?ただし刃が大きく欠けた部分の切れ味は僅かに抵抗を感じたので、そういった部分の切れ味にもこだわるのであればもっと研がないとダメでしょうね。