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ぐるぐるボケが楽しい『HELIOS-44-2』のレビューとプリセット絞りの使い方


職場のInstagram好きなカメラ女子から聞いたのですが、最近は小型のミラーレスカメラにオールドレンズを着けて撮影するのが流行っているそうです。

なんでも、独特の味のある描写をするレンズ高い描写性能のあるレンズ安いお値段で入手することができるのだとか。

気になって早速調べてみると、オールドレンズっていうのはフィルムカメラ時代、特にオートフォーカスが組み込まれる前の時代のレンズのことを指すみたいなんですが、そんな古いレンズでもマウントアダプターと呼ばれる部品と組み合わせることで現代のカメラでも使用することが出来るみたい。また、確かに価格も安いみたいで、数の多いものだと1,000円程度から購入できるみたい。すげー!!

当然現行のカメラのレンズのようにオートフォーカスは出来ませんし、フレアやゴーストも発生しやすいみたいですから、普通の人にとっては実用性はさっぱり。なので安いんですね。一方で描写性能自体は高いレンズや柔らかい雰囲気のノスタルジックな写りをするレンズが存在する為、趣味用途では大人気なんだとか。

ネットで作品を拝見する限り正直わたしは写りの違いにはあんまり興味が湧かなかったんですが、非常に気になったのがレンズ自体の造り。オールドレンズの多くはいかにも機械物といった外観をしており超かっこいいではありませんか!まさに、わたしの心を鷲掴みの造形。

また、絞りやピントをカメラ側のアシスト無しで調節するのもなんだか楽しそう!あー、あの金属ダイヤルをガチガチ回してみたい!

こうして、なんだか本来の趣旨とは違うところであっさりと職場のインスタ大好きカメラ女子の影響を受けたわたしは、早速オールドレンズを購入してしまったのです。

 

HELIOS-44-2 58mm f2を買ってしまった!

あっさり衝動買いしてしまったのはこちらのレンズ。

HELIOS-44-2 58mm f2という旧ソ連製のレンズ。

セットでマイクロフォーサーズ用のマウントアダプターとレンズガード、フードも購入。

 

このHELIOS-44-2というレンズは第二次世界大戦の戦後賠償問題から東西冷戦に渡る歴史的なドラマのある有名なレンズなのですが、そのような歴史的ロマンにはまったく興味が無いわたしは単に入手しやすさから手を出しました。

絞り解放時にグルグルと特徴的なボケが発生することと、生産数量の多さから価格も安いこともあってオールドレンズの中でも人気のある代表的なレンズの一つとされています。

 

実際に入手してみてまず感じたことは、レンズ自体は現代のレンズと比較するとかなりコンパクトだなということと、その一方でマウントアダプターがでかい!!ということ。

 

不安を感じつつも、早速手持ちのLUMIX GF2に取り付けてみました。メカニカルなレンズの造詣が無茶苦茶かっこいいけど、思った通りマウントアダプターのせいでかなり大きく感じます。マウントアダプターがもっと薄かったらいいのに…。

 

マウントアダプターの内部はスッカスカでもっと薄くできそうなのですが、これはレンズとカメラのセンサーの隙間を調整する為のスペースなので仕方がありません。ミラーレスカメラのコンパクトを損なってしまうのはデメリットの一つですね。アダプターの質感もちょっとイマイチ。

 

しかしながら、でかいでかいと言っておりますが、GF2のキットレンズである14-42のズームレンズと比較するとどっこいどっこいの大きさなのでそれ程気にすることでもないかもしれませんね。

 

今度は先日我が家にやってきたばかりのDMC-G8に取り付けてみました。

 

カメラ本体とレンズのバランス感はこちらの方が良いですね。

 

マウントアダプターの話ばかりになってしまいましたが、レンズ本体は期待していた通りのメカニカルな質感で非常にかっこいいです。もちろんボディは全て金属製。プリセット絞りを操作した時のカチッカチッとした操作感が堪らない!!

 

絞りの構造が分かりにくい!!プリセット絞りの使い方

ところでこのHELIOS-44-2 58mm f2というレンズは絞りの使い方がいまいち分かりにくいということでも有名です。プリセット絞りっていう機構が使われているのですが、何も知らないと絞りの数値が普通のレンズと逆なんじゃない?という間違った解釈をしてしまいます

わたしにしてみれば、そう解釈する方が当たり前で、悪いのはこのレンズの表記の仕方だと思うのですが・・・。

間違いを誘発する最大の要因はこの絞りリングにある赤丸

 

この赤丸は現在の絞り値を示していません。

 

この、赤丸は現在の絞り値は現在の絞り値を示していません(大事なことなので2回言いました)。

 

この点をしっかり頭に叩き込んで、このプリセット絞りの使い方をご紹介します。

 

HELIOS-44-2 58mm f2はこんな構造です

使い方の前に、このレンズには3箇所の可動部があります。
※ 名称はわたしの勝手な名称です。レンズとかカメラに特別詳しい訳ではないので、間違っているかもしれません。とりあえずの説明用です。

  1. プリセット絞り
  2. 絞りリング
  3. フォーカスリング

このレンズで可動しない(回らない)部分は被写界深度目盛り(緑色の数字と線ね)が打ってある部分だけとなります。被写界深度目盛りの中心には基準となる赤線がありますが、この赤線はフォーカスリングだけではなく、その上の絞りリングとプリセット絞りの基準にもなります。全然そんな風には見えませんが、とっても大切なことです。

ポイント

赤い基準線は、被写界深度目盛りだけではなく、絞りリングとプリセット絞りの基準でもある

 

プリセット絞りの読み方、使い方

このレンズでの絞りの合わせ方は、プリセット絞りで絞り値を決める ⇒ 絞りリングを操作して絞りを実際に絞る の2つの手順から成ります。

絞りリングは基準点が被写界深度目盛りの中心線上にある時が開放、カメラ側から見て時計周りに回すことで絞りが絞られていきます。そう、絞りリングの基準点が被写界深度目盛りの中心線上にある時は、プリセット絞りの数値がなんだろうと絞りは開放なんです。

赤丸(絞りリングの基準点)は現在の絞り値を示していません(3回目)。

なので、写真の状態はF8まで絞られていると思いきや、これは絞り解放状態のF2。なぜなら絞りリングの基準点が被写界深度目盛りの中心線上にあるから。

 

ちなみに、被写界深度目盛りの中心線上にあるプリセット絞りの数値は8になっているので、このように絞りリングを時計回りに回せるところまで回したら、F8になります(赤丸=絞りリングの基準点に注目!!)。

 

こちらはも絞りリングの基準点が被写界深度目盛りの中心線上にあるので、絞りは解放状態のF2。しかしながらプリセット絞りが2に設定されておりますので、絞りリングを回しきってもF2になるはずです。この場合、絞りリングは物理的に回ることができなくなっています。プリセット絞りとは、絞りリングの回せる量を事前に設定する機構なのです。

 

こちらはも絞りリングの基準点が被写界深度目盛りの中心線上にあるので、絞りは解放状態のF2。プリセット絞りは最大となる16にセットされていますので、最も絞りを操作できる状態です。なので、この状態だと絞りリングは最もたくさん時計回りに回ります。

 

HELIOS-44-2 58mm f2を実際に使ってみた

わたしが最も興味を持ったメカニカル的な部分はたっぷり堪能して満足できたのですが、レンズなのでやっぱり眺めてるだけじゃあ…ねぇ?ということで、写りの方も実際に試してみました。

撮影はPanasonicのマイクロフォーサーズカメラ、GF2とDMC-G8を使用しました。マイクロフォーサーズのカメラで58mmのレンズということは、35mm換算で焦点距離116mmとなります。画角はかなり狭いので、使いどころはなかなか難しいですね。APS-Cやフルサイズセンサーのカメラの方が使いやすそうなレンズです。

なお、このレンズには電子接点という現代的なものはもちろん無いので、カメラ本体はレンズが装着されていると認識出来ません。その為、そのままではシャッターが切れません。レンズ装着後、設定で「レンズ無しレリーズ」をONにしてやる必要があります。レンズ無しレリーズとはレンズが正しく装着されていなくてもシャッターを切れるようにする機能です。

 

セミのドリンクバー状態と化している、お庭のシマトネリコ。

このHELIOS-44-2 58mm f2はボケがぐるぐると渦巻状になる「ぐるぐるボケ」が特徴とされていますが、確かにぐるぐると渦を巻くようなボケが発生しています。これが良いか悪いかは人によるところだと思いますが、現代のレンズにはない尖った特徴なのは間違いありません。気に入った人にはたまらないかもしれませんね。

また、意外とセミの羽根の細かい部分まで繊細に映り込んでいる描写はなかなか素晴らしく、そちらの方にも驚かされました。こんなちっこく縮小した画像では伝えられないのが残念。古いレンズなのに凄いですね。

 

こちらは我が家では今が旬のブルーベリー。古いレンズとは思えないくらいしっかり撮影できています。

 

オールドレンズは面白い!

インスタ女子に影響されてデビューしてしまったオールドレンズですが、これはなかなか楽しいものです。

道具としてカメラを使う分にはオートフォーカスは必須だと思うし、子供の写真を撮影するのに時間の掛かるマニュアルフォーカスなんてやっぱり実用面では論外でしょう。

しかしながらメカニカルな造形を楽しみながらマニュアルフォーカスで写真を撮影するのって、とっても楽しいことを知ってしまいました。これまでファインダーなんてほっとんど使ったことがなかったけど、マニュアルフォーカスだと自然と使ってしまいますね。あ、これむっちゃ便利…と初めて感じました。

わたしは機械ものが大好きなので、現在の樹脂製のレンズとは違う金属感全開のオールドレンズの造詣はそれだけで非常に魅力的。HELIOS-44-2 58mm f2のプリセット絞りなんて、気が付いたらずーっとシャコシャコ操作してしまってたり。絞りって繊細な動き方するんですね…素敵!

そんな訳であっさりとオールドレンズに魅入られてしまったわたし。お値段も最新のレンズと比べるとずっと安いし、あっという間にレンズが増えていってしまいそうです。

 

ヘリコイド付きマウントアダプターを使ったら、オールドレンズの味わいそのままで接写も出来るようになるよ!

 

また、下手っぴながら撮影した写真も追加しました。

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