お庭造りの材料

安い木材といえばこれ!『杉野地板』の特徴と使用例


2022年は昨年に続くコロナ禍、ウクライナ侵攻、そして記録的な円安に物価高などなにかと暗いニュースばかりでした。

DIYブログ的に困ったことといえば、これらの問題による木材価格の上昇でしょう。

円安の影響なのか、それとも海上輸送コストの上昇なのか、これまで安価な木材の代表格であったSPF材を明らかに値上げしている店舗を多く見かけるようになりました。2×4の6feetで900円とか・・・以前の3倍くらいの価格のお店も。OSB合板も高くなりましたねー。

そんな木材の値上がりのなか、相対的にお値打ち感がでてきたのが国産の杉材です。そのなかでも野地板の安さは驚異的。

本日は圧倒的な価格の安さを誇る杉の野地板について紹介します。癖が強いし決してお手軽でもないけど、うまく加工すればかなり使える木材です。

今回紹介するアイテム

商品名:杉の野地板

メーカー: -

購入価格:9枚セットで1,290円(税別)

結論:表面処理や乾燥の手間は掛かるけど、板厚の薄さは使い勝手がよいです。なにより安価なのが嬉しい!

 

野地板ってどんな木材?

野地板は屋根の下地材のこと。垂木とルーフィングシートの間にある木材です。多くの建物でこの部分は完成後には見えなくなるので、野地板は表面加工に手間暇をかけていないものがほとんど。

野地板は建物での建材の名称であり、特定の種類の木材を示す言葉ではありません。なので一言で野地板といっても無垢材や合板などいろいろな種類があります。今回ご紹介するのは杉の野地板。切りっぱなしで乾燥すらされていない荒材です。ホームセンターで売っているものはほぼこの杉材。というか、わたしは杉以外の野地板が売られているのを見たことがありません。

 

サイズはいろいろありますが、最もよく見かけるのは厚み12mm・幅105mmのもの。もっと幅広のものもありますが、野地板として販売されているのは幅105mmが多いようです。同じ厚みで幅150mmや240mmのものは杉座板(畳の下地材)として販売されていることもありますね。

 

針葉樹らしいしっかりとした木目や節など表情豊かな木材。杉は日本人にとってとても身近な木材ですから、誰しもが親しみを感じる雰囲気ではないでしょうか。

 

野地板のメリット

圧倒的な安さ

野地板はとにかく安いです。

製造時の工程が少ない荒材なのでもともと安い木材でしたが、大幅な円安や海上輸送コストの増加によりSPF材などの輸入木材の価格が上がったので、国産木材である杉の野地板の安さが一層際立つようになりました。

価格は販売店や時期によってまちまちなので一概には言えませんが、近所のホームセンターでは厚み15mm×幅105mm×長さ2,000mmのものが9枚セットで1,290円(税別)で販売されています。最近では1×4材の6feet材が600円くらいするので、1×4材2枚分の価格で9枚購入できるということです。

同じように使える木材ではないので単純比較はできないけど、安価な木材であるのは間違いないでしょ?

 

板厚の薄さ

野地板は薄いです。板厚はいろいろあるみたいですが、いずれも無垢材としてはかなり薄め。薄い木材の代表格である1×4材の板厚は19mmですから、杉野地板で最も見かける厚み12mmのものはおよそ2/3の厚みということになります。

気軽に入手できる無垢材のなかでこれだけ薄い木材はなかなかないので、1×4材だとゴツすぎる!という場合には貴重な選択肢になるでしょう。

 

加工性の良さ

針葉樹である杉は密度が低いソフトウッド。同じ杉でも白っぽい部分と赤っぽい部分とでは硬さが違うように感じますが、いずれにせよ柔らかい木材であることに違いはありません。

柔らかい木材は加工性が良いのですが、野地板はその薄さも相まって加工性は更にバツグンです。手ノコでもサクサク切れるので、電動工具が使えない環境でも気軽に使用できますね。

 

野地板のデメリット

耐久性のなさ

柔らかさと薄さは加工性の良さというメリットがある一方、耐久性はどうしても落ちるというデメリットがあります。硬さと耐久性は連動するのです。

耐久性の無さというのは、物理的なダメージに弱いし、対腐食性も弱いということ。傷が付きやすく、腐りやすい。

なのでウッドデッキのような人が乗るような用途や、乾燥しにくい場所での使用はとても苦手。

なお、

野地板で作られたパレットをお庭の一画に置いて耐久試験を行なっていますが、予想に反してこれがなかなか長持ちしているんですよね。塗装や防腐処理は一切無し。日当たりのよくない場所なので、すぐに腐って朽ち果てるかと思っていたのですが、そんなことはなく現在3年ほど経過しています。

 

目立った不具合といえば、派手に反りが発生しているくらい。これは板厚が薄いほど起こりやすいのですが、板の固定が中央1か所だけなので致し方がないでしょう。この反りは端っこをしっかり固定していれば大幅に抑えることができるんじゃないでしょうか。

特に対策しなくても数年間はへっちゃらということが分かりましたが、あくまでもこれは物理的なダメージがない状態での話。人が歩くなどしてダメージを与えると、その場所からあっと言う間に傷んでしまうので、やはり耐久性の無さには注意が必要です。

 

表面仕上げが必要

荒材は表面に製材時のノコ目が残っているし、側面もケバケバ状態。そのままの状態ではとても使えたものではありません。ササクレが刺さって危ないし、表面がケバケバだと雨水が染み込みやすくて耐久性も悪くなるはず。

荒材についてはこちらの投稿で詳しくご紹介していますので、よろしければどうぞ。

 

なので表面のカンナがけは必須。角部分は手カンナでも十分綺麗に削れますが、平面部分は節があるとカンナの刃が引っかかって、わたしは手カンナではうまく削れませんでした。もう、全然無理。

 

杉野地板に限らず、荒材の表面をガーッと削るには電動カンナがとても便利です。うまい人が手カンナで仕上げるのと比べるとその出来栄えは全然劣るんでしょうが、素人が手カンナで仕上げるのと比べると圧倒的に早く、そしてそこそこ綺麗です。電気の力は偉大だ!

作業環境によっては誰もが使える道具ではありませんが、わたしにとって今年購入した道具で一番満足度の高かったのがこの電動カンナなのです。

 

電動カンナを使った後の削りカスの量は凄まじいもの。それだけ削っているということですから、これを手作業でするのはとても大変です。野地板の表面を削る作業にはモリモリ削れる電動カンナがぴったり。

 

乾燥が必要?

杉の野地板は荒材。荒材は人工乾燥されていませんので、一般的な木材よりも水分が多く残っていると言われています。一般家庭で実際に水分値を測る術はないけど、触った感じでもそれは間違いなさそう。

わたしはこの点はあまり気にしていないんだけど、施工後の寸法の狂いや反り・曲がりを抑える為、使用前(加工前)にしっかりと自然乾燥させる人も多いみたい。乾燥させて悪いことは全くないので、とくに急ぐ理由がなければ購入後に陰干し等をしてしっかりと乾燥させた方がよいでしょうね。

 

品質がイマイチなケースは多い

杉の野地板は多くの場合、複数枚が束になったセットで販売されています。

元々品質が重視される木材ではないためか、

なかにはこういう状態の板が混ざっていることも。これは角が無くて記載されている寸法に足りてすらいないし、板自体もパッカーンと割れています。

こんな状態でも下地材としては問題無いとは思いますが、フェンス材など他の用途に使う場合はおおいに問題があります。購入する時に全部の板をチェックすることは不可能ですが(束になっているので)、確認できる範囲ではしっかり板の状態を見て選びましょう。

 

野地板の使用例①ウッドフェンス

本来は屋根の下地材である杉野地板ですが、こんな感じで他の用途にも使っています。

こちらはウッドフェンス。

ウッドフェンスといえば耐久性に優れるハードウッドを使用することが多いんですが、ハードウッドはとても高いので、あまり見栄えを重視しない場所であれば安価な杉野地板を使うのもよい選択肢ではないでしょうか。フェンス自体の重量がかなり軽くなるというメリットもあります。

 

一方、ハードウッドと比べると間違いなく耐久性は劣るので、定期的なメンテナンスや補修が必要となるのは覚悟しておきましょう。どの程度もつのか、実際にこのウッドフェンスで検証中なのです。パレットの検証結果から、きちんとメンテナンスすれば10年はもつのではないかと期待しているんですが・・・。

施工時の注意点としては、雨水が染み込みにくいようにしっかりと表面をカンナ掛けすること、耐久性を向上させる塗装をすること、コーススレッドを打つときは割れないようにしっかり下穴を開けること、の3点でしょうか。

杉の野地板はその薄さゆえにとても割れやすいので、下穴を開けることは特に大切なポイントだと思います。面倒でも開けましょう。

 

野地板の使用例②小屋の外壁

こちらは現在制作中のガーデニング小屋の外壁材での使用例。正確には幅150mmの座板として販売されている木材ですけど。

このような感じで外壁材に杉野地板を使っているのはよく見かけますね。12mmという薄い板厚はこの用途ではとても使いやすいです。板厚が19mmもある1×4材ではなかなかすっきりとは収まりません。明らかにボテッと重たい雰囲気になります。

 

板厚の薄さや塗装により施工後にものすごく板が反りやすい点は難点ですが、端っこ部分をしっかりコーススレッドやボンドで固定することで修正や予防をしてやることは可能です。少々手間は掛かりますが、外壁材としてもかなり安価な素材なので、その程度の手間は仕方がないですね。

 

まとめ。手間はかかるけど安くて使い勝手良好

というわけで本日は杉の野地板のご紹介でした。

耐久性の無さから長年に渡り敬遠してきた木材なんですが、輸入木材の値上がりをきっかけに試してみたところ、予想以上に使い勝手が良いことに気が付きました。あくまでも”予想以上”というだけであり、乾燥させる手間、表面を整える手間、反りや曲がりを修正する手間はかかりますので、手間はがっつりかかります

しかしながら、無垢材としては非常に安価な木材ですので、手間をかけるだけの価値はあるとわたしは感じています。板厚の薄さも他の木材ではなかなかない特徴ですので、工夫次第で様々な場所で使用することができるでしょう。ただし、屋外のような雨風にさらされる環境で使用するのに向いている木材では無いので、そのような用途では注意が必要です。

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