木工のDIYにはいろんな道具を使います。
切る道具といえばのこぎり、丸ノコ、ジグソー。穴を開ける道具といえばドリル。掘る道具といえばノミ、トリマー。
それでは”削る”道具といえば、皆様はなにを思い浮かべますか?
本日はDIYを初めて10年以上経つわたしが、いまだに悩ましく感じている削る道具についてご紹介します。
削る道具といえば?
木材を削る道具には様々なものがありますが、わたしが所有している道具を挙げてみると、
- カンナ(鉋)
- 紙やすり
- 棒やすり(金属やすり)
- ノミ(掘る道具も兼ねています)
- 電動カンナ
- サンダー(電動やすり)
の6点。この中で最も汎用性が高いのは紙やすりです。極端な話、紙やすりさえあれば他の道具の代わりは全て務まります。そのかわり、削る作業時間はめっちゃ掛かりますが。
あらゆる削る作業を全て紙やすりでこなすほどの膨大な時間と体力をもっている人はなかなかいないと思いますので、他の道具も併用するわけです。わたしが最もおススメするのはサンダー(電動やすり)ですが、是非挑戦して欲しいのがカンナ(鉋)。カンナってすごく難しそうなイメージがあるし、実際難しいんだけど、大昔から現在に至るまで使用され続けている道具だけあり、うまく使うことができればとても便利な道具ですよ。
『サンダー』削る道具で一番おススメ
紙やすりを手でひたすら動かすのは結構大変。サンダーはそんな大変な作業を電気の力でおこなってくれる道具です。しかも高速で。
紙やすりを手で使うのと比べると細かい場所への作業は苦手ですが、はるかに疲れにくい点と作業スピードが早いのが強み。これがあるとやすりがけはほんとうに楽になります。
取り付ける紙やすりの番手を変えることで荒削りから仕上げまでこなせる万能選手なんですが、どちらかというと表面仕上げのための道具です。削るスピードが早いといっても”手作業と比べると”という話であって、形を変えるほど削るような作業はあまり得意ではありません。できなくはないけど時間がめっちゃかかるし、紙やすりの費用もバカになりません。
ゴリゴリ削るのは苦手なので、そういう作業は他の道具に頼った方がいいでしょうね。
わたしが使用しているのはRYOBIのミニサンダー・S-5000。小さくて軽いので、子どもでも十分使うことができます。
『カンナ(鉋)』難しいけど便利な道具
古来より使用されてきた、ザ・木を削る道具。Wikipedia先生によると我が国で発見されている最も古いカンナは弥生時代のものなんだとか・・・。
電動工具が無い時代から存在しているにも関わらず、現代においてもいまだ現役バリバリで使用されている道具です。完成されつくした道具なのでしょう。
わたしのなかでカンナといえば”大工さんが使っている職人の道具”、"めちゃくちゃ難しそう"っていうイメージを持っていたんですが、実際に使ってみるとまさにイメージどおり。とても難しい道具だと感じています。
木材の角っこを削るくらいなら我々素人でも簡単にできるんですが、平面を綺麗に削るのは本当に難しい。刃の出し方、木目の確認の仕方、削る方向、そして力加減。職人さんが使う道具なんですから当然のことなんですけど、ド素人が週末にちょろっと使ったくらいで思い通りに使えるものでは到底ありません。
そして我々素人にとって難しいのが道具の選び方。
最近ですが、角材の表面を綺麗に削りたくて新たにカンナを買い足したんですよ。新潟県は三条市、角利産業さんの二枚刃鉋です。刃の幅は60mm。
なるべく幅の広いやつが欲しかったんですが、幅広のカンナってめっちゃ高いんですよね。かといってAmazonなどで出回っているノーブランドの格安品はちょっと・・・と悩んでいる時に見つけたのがこれ。国内メーカー品でありながら、手の届く価格帯であったことが決め手でした。
【送料無料】角利産業 角利 二枚刃鉋 油台 60mm 41444
画像でも十分お分かりでしょう。ホームセンターなどでお安く販売されているものとは質感からして全然違います。なんだかすっごくいい道具を入手した気分だったんです。そう、気分だけは大工さんだったんです。
そんな立派なカンナですが、使用後一か月ほどでこの有り様。無残にも刃こぼれしてしまいました・・・。杉の荒材を削っている時に、節でやっちゃったんだと思います。
こんな簡単に刃こぼれするなんて、このカンナは粗悪品なのか!?と思ってしまうかもしれませんが、いやいや、決してそういうわけではないのです。このカンナ、切れ味はほんとうによかったです。刃こぼれしたのはわたしの使い方が悪かったためだと思うんですが、恐らく刃が相当鋭利だったのではないかと推察しています。その分脆い?そんな刃を硬い節に当てるのは良くないのかもしれません。
実際どうなのか、今度、刃の厚みや角度なんかを他のカンナと比べてみましょう。そして、刃を研ぎ直さないと・・・。
一方こちらは先程の立派な見た目とは正反対の、いかにもホームセンターで売っていそうなシンプルな見た目のカンナ。SK11ブランドで有名な藤原産業さんの製品です。このカンナ、もう10年ほど使い続けている道具なんですよ。
いかにも大量生産品って感じのシンプルな質感ですが、2枚刃です。購入時の価格は覚えていませんが、多分1,000円以下だったのではないかと思います。流石に幅の広い木材をプロの職人さんみたいにサーっと削るような用途には向いていないと思うけど、木材の断面を削り込んだりするような用途にはとても便利。小さくて軽いので、とても扱いやすいです。
このカンナの何がすごいって、10年間使い続けているのに刃が全く傷んでいません。もちろん、これまで研いだこともありません。
切れ味は先程ご紹介した角利産業さんのカンナとは比べ物にならないくらい悪いけど、そのかわり刃はめちゃくちゃ丈夫。とすると、この2つのカンナには刃の薄さとか角度とかに違いがあるんじゃないでしょうかね?
つまり何が言いたいかというと、カンナの良し悪しってスペックや価格には表れない部分もあるんじゃないのかっていうことです。切れ味が欲しい人は角利産業さんの製品のほうがいいカンナだろうし、もっと乱暴にガシガシ削りたい人には藤原産業さんの製品の方がいいカンナといえるでしょう。でもそういうのって実際に使ってみないと分からないので、我々素人がカンナを選ぶのはとても難しいなぁ、って思います。
そんなわけで多くの人がイメージするとおり、ややハードルが高い道具であるのがカンナ。しかしながら、上手に削れた時の仕上がりは本当に綺麗だし、それでいてサンダーよりもずっと素早く木材を削ることができるのです。とても便利な道具ですので、DIYをやるなら是非挑戦してみて欲しい道具です。うまくカンナをかけるためには木材の知識も必要になりますので、きっといい勉強になりますよ。
『電動カンナ』とにかく削りたい人向け
カンナの話が長くなってしまいましたが、最後にご紹介するのは電気の力でカンナを動かす電動カンナ。カンナといっても、先程のカンナとは全く違う仕組みの道具です。
手で使うカンナは鋭利な刃を使って木をめくるように削りますが、電動カンナは高速回転する刃で木を削り飛ばします。なので削った箇所は通常のカンナと比べると荒れてしまうことも多いように感じます。その代わり削るスピードは凄まじいのですが。
電動カンナは長い木材の表面を一気にガーッと削るのが得意ですが、逆に苦手なのがこういった幅の狭い部分。
こういう部分に電動カンナを使用すると、高速回転する刃の威力に木材の方が耐えられないのか、木材の繊維が丸ごと飛んで行ってしまったような状態になりがち。
どういうことかよく分からない?わたしもうまく説明するのが難しい・・・
電動カンナでうまく削れなかった部分を拡大するとこのような感じ。木材の繊維と同じ方向にいくつか溝ができているのがお分かりでしょうか?この部分は電動カンナの力で木材の一部が飛んで行ってできたものなのです。表面を綺麗に削る為に電動カンナを使っているというのに、そのせいで表面が荒れてしまっては本末転倒ですね。
電動カンナは切削能力は抜群なんですが、決して万能に使えるわけではないってことです。重くて大きいので、取り回しも良くはありません。
わたしは3つの道具を併用中
というわけで、木材を削る道具はいろいろ持っていますが、今現在メインで使っているのは先程ご紹介した3つの道具。これらを用途によって使い分けています。
表面仕上げはサンダー。サンダーよりももっと一気に削りたいけど美しさも重視する場合はカンナ。多少荒れてもいいからとにかく削りたいときは電動カンナって感じです。
例えば先程登場した、電動カンナでは表面が荒れてしまうような場所。こういう幅の狭い部分は切れ味が鋭いタイプのカンナで削るのが一番。少しだけ刃を出し、木目に沿ってサッとカンナで削ってやれば、
ほら、このとおり!(ここまで綺麗に削れることは稀なので、削った自分自身でもびっくり)
コツとしてはためらわずにサッと一気に動かすこと?まだまだカンナには慣れていないので、適当なことしか言えませんが。
ただ単に削るだけならば紙やすりだけでも作業はできますが、より簡単に、より美しく、より早く削る為には他の道具も必要となります。どの道具がよいかはそれぞれの作業内容や好みによって変わるとは思いますので、まずはいろいろと試してみるのがいいんじゃないでしょうか。