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これまでサブ機として富士フイルムのX-Eシリーズを愛用してきましたわたくしですから、その最新機種であるX-E4は買うしかないじゃん!と豪語したのは以前投稿した記事のとおり。X-E3はコンパクトなのに写りもよくて最高なんだけど、AF性能のポンコツっぷりにはマジで悩まされてきました。ダメな子ほど可愛いものですが、AFの信頼性の低さ故に一瞬を逃したくない大事なイベントなんかでは怖くて使えませんでした。でもそのAFがX-E4では改善されている!そんなの欲しいに決まってるじゃないか!
ところが、いざX-E4を購入しようとしたら全然売っていないんですよね。わたしは別に発売日に必ず欲しいタイプじゃないんだけど、まさか予約しないと入手できないものだとは全く思わなかった…。この様子なら当分値段も下がらないだろうし、なんだか日に日に購入意欲は下がるばかり…。
でも現状のX-E3のダメダメAFとは一刻もはやくおさらばしたい!
そんな状況の中、なぜだかわたしが購入したのは既に型落ちモデルと化しているX-T3。完全な衝動買いですが、これがなかなかいい!もうすっかり大満足なのです。
今回紹介するアイテム
商品名:X-T3
メーカー:富士フイルム
購入価格:80,000円(中古の個人売買)
結論:第3世代機からの進化っぷりは期待以上。顔認識はメインカメラのG9PRO以上!
いまさらだけど我が家にやってきたX-T3
というわけで、いきなり我が家にやってきたX-T3なわけです。2018年9月発売だから、だいたい2年半前のモデルですね。
AF性能が大幅に改善されたとされる第4世代のXマウント機にはX-Pro3・X-T4・X-T3・X-S10・X-T30・X-E4の6機種がありますが、このうちX-T3は型落ちモデルということもあり新品・中古ともにかなりリーズナブルになっているじゃないですか。購入方法にもよりもますが、中古だと8~10万円程度で購入出来ます。10万円出すなら手振れ補正も最新のフィルムシュミレーションも搭載されたX-S10が最も賢い選択だと思うんですが、どうもあの形や操作系が好きになれないし、SDカードスロットはダブルがいい…。
というわけで、X-E4を購入するつもりが、なぜだか手元にはかなり状態のよいX-T3が。X-Trans CMOS 4センサーを試したい衝動が我慢できず、完全に衝動買いです。そして、レザーケースも併せて購入。クラシカルな雰囲気の富士フイルムのカメラにはやっぱりレザーカバーが超似合いますね。
X-T3のここが素敵
意外とコンパクト
わたしがこれまでずっとX-Eシリーズを使ってきた最大の理由はそのコンパクトさ。マイクローフォーサーズ機のGMやGFは及ばないけど、コンパクトなカメラは日常の持ち運びに大変便利なんです。カメラは持ち出さないと写真は撮れませんからね。限度はあるけど、カメラは軽くて小さいに越したことはありません。ちなみに、GMシリーズは限度を越してて使いやすさが犠牲になっていますけどね。
X-T3もX-T4もこれまで実店舗で何度も触ってきたけど、その時はあんまりコンパクトさは感じませんでした。しかしながらこうやって自分のデスクでX-E3と並べてみると、X-T3って十分コンパクトじゃないか!マイクローフォーサーズ機のG9PROよりも全然小さいじゃん!軽いじゃん!
横幅はX-E3よりも明らかに大きいですが、
厚みはファインダーの分だけが飛び出しているような感じ。ファインダーが飛び出しているだけなので、体感上は結構薄いです。マイクローフォーサーズ機のG9PROと比べて、なんとびっくり2/3の厚みですよ!
繰り返しますが、限度はあるけどカメラは軽くて小さいに越したことはありません。正直期待していなかっただけに、このコンパクトさはむっちゃ嬉しい!
ボタン・ダイヤルが多いのはやっぱり使いやすい
X-E1からX-E3に買い替えた時は、フリック操作を取り入れたミニマム思想のX-E3は本当に使いにくいと感じたものです。X-E3はかれこれ2年ほど使っておりますが、うん、やっぱり使いにくい。お気に入りだけど、使いにくいです。
一方でX-T3はフォーカスレバーと4方向のファンクションボタンを備えた一般的な背面ボタンレイアウト。そして、両者を使い比べると操作性の違いは歴然。特に、シャッター方式の切り替えと顔認識の切り替えをボタンですぐにできるのはとても便利です。再生ボタンが左側にあって撮影直後の画像確認を右手だけで完結できないのは不満だけど、それもファンクションボタンに割り振ることで改善できますからね。
ISO感度やドライブをダイヤルでサッと切り替えることができるのも大変便利。ISOはコマンドダイヤルだととんでも設定のまま気付かず撮影してしまうことがあるので、こういう物理ダイヤルだと確認しやすいから助かります。
やっぱりね、カメラは物理ボタンは多いに越したことはありませんよ。X-T3を使って改めて感じたけど、X-E4でスペースがあるのにわざわざ物理ボタンを減らしたのはやっぱり失策なんじゃないの?なんだかますますX-E4の購入意欲が下がるばかりじゃないか…。
AF性能が期待以上。しっかり瞳AFが効いてる!
このX-T3を衝動買いした最大の目的はX-Trans CMOS 4センサーを試すこと。
これがねー、もう期待以上。大幅な進化といってもX-E3基準で、他社と比べるとまだまだなんじゃないの?って薄っすら思っていたんですが、いやいや、メインで使っているパナソニックのG9PROより精度が高いんじゃないの?って感じです。まさに大幅な進化ですね。
薄暗い水族館内の動体撮影といえばカメラのスペックがモロに影響を受けるシーンですが、そのようなシーンでもAFはちゃんと正確。ジュゴンのようなのっぺりとした対象物でも問題ありません。高感度の強さから明らかにマイクローフォーサーズ機よりも綺麗に撮影できちゃいます。
そして顔認識・瞳認識。X-E3でも顔認識・瞳認識は搭載されておりましたが、こういう道路の汚れ(赤丸部分)を顔と認識していて軽くホラー状態。正直まだまだ実用性には乏しかったといえるでしょう。
ところがX-T3では認識精度はすさまじく向上しているし、SONY機みたいにちゃんと瞳認識しているのはちょっと感動しました。G9PROは顔認識はするものの、瞳認識は???ですからね。実際、AFは瞳をよく外しています。G9PROは「人」の認識能力はすごいんですけどね。
なお、このX-T3のファームウェアはバージョン4.1。バージョン4.0から最新機種であるX-T4と同等のAF性能になったとされていますから、そのバージョンアップの効果も大きいのでしょうね。
やっぱり便利なダブルスロット
プロでもないんだから、写真を撮るだけならSDカードスロットはシングルでも十分。
しかしながら、詳しくは後述しますが、このX-T3は動画もかなりいけそうな雰囲気なんですよ。写真と動画、どちらも撮影するのであれば是非欲しいのがSDカードのダブルスロット。
ダブルスロットといえば、jpgとRAWに分けて保存したり、バックアップ保存したりする用途でも使われていますが、わたしの場合は画像データと動画データを分けて保存するために使用します。画像データと動画データが同じカードでごちゃ混ぜだとデータの整理が煩雑になりますが、別々の保存だとデータの取り込みも整理も断然簡単ですからね。
デザインが素晴らしい
わたしが手振れ補正搭載かつ最新機種のX-S10ではなくX-T3を選んだ最大の理由がこれ。やっぱり富士フイルムといえばこのルックスでしょ。
これはX-T3だけの話じゃないけど、富士フイルムってトラディショナルなデザインの製品が多いですよね。アナログな操作性を求めた結果、必然的にこのようなデザインになっているんだろうけど、そのメカメカしいデザインは現代ではごく少数派になってしまいました。ダイヤルをカチカチしたい人にはきっと堪らないはず。
X-T3のここがイマイチ
露出補正ダイヤルの回し辛さ
地味だけど、結構微妙に感じたのがここ。
露出補正ってファインダーや撮影した画像を確認しながら調整するものですよね。X-E3ではカメラを構えながら右手の親指でカチカチと回せていたんですが、X-T3では露出補正ダイヤルが軍幹部の奥に設置されている為、親指だけでカチカチ回すのが結構辛いんです。レリーズに置いてある人差し指を移動させ、人差し指と親指で挟み込むようにして回す必要があります。
カバンの中等で勝手にダイヤルが回らないようにする為の変更なんでしょうが、これを”それだけの差”とするか、”使い勝手に大きな差”とするかは人それぞれでしょう。わたしはダイヤル類は回しやすい方が好きなので、この変更はちょっと微妙に感じました。各種口コミなんかをみてると、同様の意見は結構見かけますね。
コマンドダイヤルのカチカチ
こちらも地味だけど結構気になる点。カメラの前後についているコマンドダイヤルが少し硬めの回し心地で、クリック感もカチカチと大きめ。富士フイルムの操作系では撮影中にこのダイヤルを触る機会はほぼ無いのですが、再生モードでは撮影画像の選択や画像の拡大・縮小でこのダイヤルを多用します。この用途ではダイヤルの操作は繊細さよりもガーっと一気に回ってくれた方が使い勝手がよいので、クリック感の強い回し心地は少々使いにくいですよね。撮影時の操作をコマンドダイヤルでされる方には使いやすいかもしれませんが…。
しっかり押し込まないと切れないシャッター
慣れればどうってこはないけど、これもやっぱり違和感のある部分。シャッター(レリーズ)ボタンはかなりしっかり押し込まないとシャッターが切れません。半押しまではそんなに違和感はないんだけど、半押しから先のストロークが長いことと、レリーズが切れる直前にも抵抗があることがその原因。感覚的には、半押しポイントが2回あるような感じ?慣れればどうってこはないけど、なんで慣れを必要とするようなシャッターフィーリングにしたのか…。
個人的にはG9PROやX-H1のようなフェザータッチシャッターが好みです。
注意点:SDカードの指定はしっかり守ろう
これはこのカメラのイマイチなところではなく、当たり前の注意事項的なこと。このカメラで動画を撮影する時はUHSスピードクラス3以上のメモリーカードを使ってねって説明書に書いてあるんですが、これはしっかりと守りましょう。
こんなのあくまでも注意書きであって、どうせある程度余裕を見ているんでしょ?って思って適当なSDカードを差し込んでテスト撮影したところ、4K30pの動画を撮影し始めてわずか5秒くらいで撮影が中断されました。そして画面には記録できませんでしたという表示。実際のところは撮影が中断されるまでの撮影データは記録されていたんですが、こんな数秒で撮影が中断されたら使い物にならないのは同じ。
なんでこんな変なことをしたのかというと、実は4K動画の撮影では同じくUHSスピードクラス3以上のメモリーカードを推奨しているLUMIX G9PROでは、同じようなことを4K60pでしても問題なかったから。わざわざ高価なカードを使う必然性に疑問があったからです(データロストが怖いからちゃんと高性能なカードは使うんですけど)。
当たり前なんですが、高価で性能の高いSDカードの必要性はあるし、このカメラの場合は説明書で推奨されている事項はしっかりと守った方が良いことが分かりました。もちろん、ちゃんとしたメモリーカードに交換したら動作にまったく問題はありませんでした。
とても気になる動画性能
わたしはマイクローフォーサーズ機とXマウント機を併用していますが、その経験から言えることは画質は間違いなく富士フイルムXマウント機の方が優れているということ。”画質の定義とは何か?”とかそういう難しいことは分からないけど、同じように撮影して、素人がパッと見て綺麗に撮れているのは絶対にXマウント機の方です。シャッタースピードを遅くしてISO感度を下げたら両者の差はほぼ分からない程度まで縮めることはできるかもしれませんが、動体撮影ではそんなの無理ですからね。マイクローフォーサーズ機にはマイクローフォーサーズ機の良さがあると思うけど、画質の差はL版プリントでも分かることが多いでしょう。
そんなマイクローフォーサーズ機、特にPanasonic機の良さの一つは動画性能と昔から言われており、動画をかなり撮影するわたしにはこれはむちゃくちゃ重要なポイント。動画に便利な高倍率ズームの選択肢も多いし、マイクローフォーサーズ機を使い続ける最大の理由がこれなんです。
ところが、今回X-T3をじっくり触って感じたのは動画性能の進化っぷりのすごさ。
いや、最新機種はX-T4だし、このX-T3は2年半も前のモデルなんだから全然富士フイルムの最先端じゃないんだけど、それでも十分動画機として使えそうな感じをヒシヒシと感じています。動画用にAFエリアも選べるし、動画撮影専用の操作系も作られており、撮影中にダイヤルをカチカチしなくても多くの設定を変更できますしね。おまけ程度の動画機能では、全くない。現時点での不満点はMP4で記録できないことだけど、この点はX-T4では改善されてるっぽい。
そりゃクリエイティブに動画を撮影する人には機能は全然足りていない場合もあるのでしょうが、素人がホームビデオを撮影する分には全然問題無さそう。Panasonicは以前から動画にも力を入れたカメラを造っているというメーカーで、実際にS1Hなどを発売しているようにそれは最近でも変わりはないのでしょう。しかしながら他メーカーもそこそこ動画に力を入れるようになったためか、わたしのようなライトユーザーにとってはPanasonicと他メーカーの動画性能にそれほど大きな差はなくなってきたのかもしれません。
こうなってくると手振れ補正のあるX-T4に俄然興味が湧いてきますが、とりあえずはまずはX-T3と手振れ補正付きのレンズでばんばん動画を撮影して、もっと使い勝手を試してみたいと思います。レンズ1本でカバーできる焦点距離の範囲はマイクロフォーサーズ機の方に分があるけど、AFの追従性や信頼性、使い勝手、画質はどうでしょう?
期待以上の性能でいろいろ考えさせられる一台
というわけで、まだ入手してそれほど使い込んでいないものの、X-T3のファーストインプレッションでした。第三世代機のX-E3を2年ほど使っておりますが、第三世代機からの進化っぷりは正直予想以上。いい意味で完全に期待を裏切ってくれました。
画質はきれい、動画もいけそう…となるど、現在メインで使っているパナソニックのG9PROとの使い分けの必要性が無くなってきそうなのが現在の専らの悩みの種。
G9PROは高機能なカメラだけど、なんとびっくりX-T3よりも大きく、そして重たいのです。システム丸ごとで見た場合も、最近のマイクローフォーサーズ機はLEICA 10-25mm F1.7とかどう考えてもデカいんですよね。結局、マイクローフォーサーズ機で性能を求めるとAPS-Cよりも必ずしも小型軽量ではなくなるのです。
わたしはもうかれこれ10年ほどマイクローフォーサーズ機を使い続けていますが、このX-T3の性能と使い勝手はこのままマイクローフォーサーズ機に固執していてよいのかとものすごく考えさせられちゃいました。このまま富士フイルム機をサブとして使い続けるのか、それともマウント移行するのか…とても悩ましい限りです。