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位相差AFさえあれば…と長年言われ続けてきたパナソニックが、永遠にコントラストAFにこだわり続けると思っていたパナソニックが、ついに像面位相差AFを搭載したLUMIX S5 IIを発表したことでもしかしたら今後活気づくかもしれないライカLマウント。
本日はそんなライカLマウントの超望遠レンズ、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsのご紹介です。
今回紹介するアイテム
商品名:150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
メーカー:シグマ
購入価格:15万円程度
結論:大きさと重ささえ許容できれば、Lマウントの望遠レンズのベストバイかもしれない
軽くて軽いライトバズーカには不満点がちらほら
ライカLマウントで望遠レンズに分類されるレンズは、パナソニックとシグマを合わせて現在6本。
しかしながら、ほんの少し前まではパナソニックの70-200mmの2本(F2.8通しとF4通し)と、”ライトバズーカ”の通称で知られるシグマの100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporaryしかありませんでした。
運動会や学芸会で使うなら200mmでは足りないことが多いですから、望遠レンズらしい用途に使うならパナソニックの2本にテレコンを組み合わせるか、シグマの100-400mm F5-6.3しか選択肢がなかったわけです。
わたしもこの100-400mm F5-6.3を使っていたのは以前ご紹介させていただいたとおりですが、撮影環境が少しでも悪くなると途端に描写に不満を感じたり、動画のAFがおかしかったり、致命的なのは連写時にブレが発生するなど、不満点がちらほらあったんです。そのかわり、軽くてコンパクトというメリットもあるんですけどね。
そんなわけで長らく望遠レンズにはモヤモヤ感を感じていたのですが、2021年8月についに新たな選択肢となる150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsが登場したわけです。
”画質は100-400mm F5-6.3と変わらない”という、マジか・・・と思うようなレビューを見かけたことでかなり長いこと悩んでいたけど、焦点距離が伸びまくって、かつ連写時のブレがなくなるだけでも投資価値はあるでしょ?と考え、100-400mm F5-6.3と入れ換える形で我が家にやってきました。
あまりの大きさに目が点に
わたしはカメラが好きだけど、ライトなユーザーなのでこれまであまりやっちまったなーって感じたお買い物はありませんでした。
でも、今回初めて心から思いました。やっちまったなー!って。
やっちまったポイントは、デカさ。
シグマらしいシンプルなデザインの箱なので画像じゃイマイチ伝わりにくいですが、商品を受け取った瞬間、目が点になったね。なにこの箱のデカさ?100-400mm F5-6.3と全然違うじゃん。この時点で、こいつは100-400mm F5-6.3と比較するレンズじゃないことを察します。ジャンルが、違う。
箱を開けて更にびっくり。中に入っていたのはレンズではなく、レンズが入った専用ケースでした。この専用ケースはキャリーケースの持ち手に引っ掛けることができる便利アイテムなんですが、レンズ1本を持ち運ぶのにケース(もはや鞄)を余分に持ち運ぶなんて発想、これまでわたしにはなかったなぁ。
ケースを開けるとようやくレンズ本体がこんにちは。100-400mm F5-6.3よりも一回り大きい程度だと思っていたんですが、とてもそんなレベルではありません。野鳥撮影などをする人からするとなんてことないサイズかもしれないけど、少なくともわたしには完全に未知の領域。もちろん、周りでもこんなのを運動会や学芸会に持ってきている人なんていません。あれ?次の運動会ではわたしがこんな大袈裟なレンズを持ち込む人間第一号になるってわけ?
マイクローフォーサーズの中でもコンパクトなカメラであるGM1と並べるとこのサイズ感。重量はなんとGM1の10台分以上です。
デカい、デカいと言い続けていますが、フードなしであればピークデザインのエブリデイスリングの10Lにすっぽり収まります。この上にカメラボディも十分収まりますので、一応エブリデイスリングだけでこの超望遠レンズ一式を気軽(?)に持ち運びできるってわけです。重たいけど。
各部の質感は、高級感があるタイプじゃないですが、安っぽさも全く感じません。そもそも最近のシグマさんの製品て、ArtラインだけじゃなくてContemporaryラインの製品もすごく質感高いですよね。
三脚座がアルカスイス互換になっているのはとてもグッド。ただし、三脚座の取り外しはできません。とはいうものの、それは別にデメリットというわけではありません。重たいレンズですから、持ち運び時はカメラ本体ではなく上側に回転させた三脚座をもつことになるからです。そもそも三脚座を外す必要性を感じないんですね。
ストラップでも重量を支えることができるよう、レンズには2か所のストラップホールがついています。ご丁寧にストラップまで付属しているんですが、わたしはいつも使い慣れたストラップがよいので、ピークデザインのアンカーリンクスを取り付けています。
各部の操作性に全く不満はないんだけど、唯一使いにくいなーって感じたのがこのズームロックスイッチ。ズームのトルクとロックを切り替えるスイッチなんだけど、切り替えがやたらと固くてなんだか壊してしまいそう。実際、1回だけだけどロック部分で引っ掛かって動かなくなったことがあります。無理矢理動かしたらバキッと嫌な音がしたので、精神衛生上よろしくありません。
レンズプロテクターもデカい!
このレンズのフィルターサイズはφ95mm。もちろん、わたしにとっては過去最大サイズ。このサイズになるとレンズプロテクターもすごく高価なものになってきます。
今回はKenkoのMCプロテクタープロフェッショナルを購入。選んだ理由はお値段。有名メーカー品ではこれが一番安かったのですが、別にこの製品がお安いのではなく、これくらいのサイズになってくると安価な製品がなくなってくるという感じでしょうか。
なお、MCプロテクタープロフェッショナルを購入したのは今回が初めてですが、この製品では一般的なプラ製のケースではなく、しっかりとしたソフトケースが付属してくるのですね。プラ製のケースだとレンズプロテクターが内部で多少なりとも暴れてしまいますが、ソフトケースだとまず暴れることはありません。外して持ち運ぶならこっちのケースの方がよいですね。
描写力は予想以上
購入前に他の方のレビュー記事やレビュー動画を確認していたんですが、そのなかで”画質は100-400mm F5-6.3と同程度”という意見がありました。
この点が購入の最大の悩みどころだったんですが、これは杞憂でしたね。
逆光でも、暗いシーンでも、画質は大満足。画質の良し悪しの判断について自信があるかといわれると全く自信はないんだけど、少なくともわたしは100-400mm F5-6.3よりもよいと思いました。同一焦点距離で比較した場合、F値の明るさに助けられている可能性もあるかもしれませんが。
このレンズを使うのが楽しくて、今年はしょっちゅう近所の撮影スポットにカモたちを撮りにいっています。暖かそうな羽毛に弾かれる水滴までしっかりと解像しており、これぞ超望遠レンズの醍醐味って感じですね。
動きものが少々苦手なのは、100-400mm F5-6.3と同じ。これはレンズのせいっていうよりかは、わたしの腕の下手さをカバーしてくれないカメラボディ側の問題でしょう。AFがなかなかビシッと合ってくれないのです。AFが大幅に改善されたとされるUMIX S5 IIだともっとバシッとピントが合うのでしょうか?今は品薄でなかなか手に入らないようですが、購入するのが楽しみです。
この日はパンを与えて餌付けしている人がいましたので、鳥たちは熾烈な奪い合いを繰り広げていました。動きものの撮影にものすごく苦手意識のあるわたしにとってはいい練習になります。
※野鳥への餌付けについてですが、この場所に関しては許可されている人はOKと自治体が設置している看板に記載されていました。餌付けしている人が許可されている人かどうかはわかりませんが。
その場ですぐに食べればいいのに、どの鳥もなぜか咥えたままどこかに逃げようとするんですよね。そして必ずそれを追いかける別の鳥が数羽いて、奪い合いを始めるのです。傍から見ていると、絶対にゲットした瞬間に食べた方が無難だと思うんだけどなぁ。
こちらは遠く離れた場所に現れた野生のヌートリア。×1.4のテレコンを併用して、なおかつトリミングしても全然問題ないくらい解像しています。以前の100-400mm F5-6.3では焦点距離的にも解像度的にもここまでは到底無理でしたから、超望遠レンズとしてはやはりこの150-600mm F5-6.3 DG DN OSの方が優れていると感じています。
100-400mm F5-6.3で気になった点は全く気にならない
同じシグマの100-400mm F5-6.3では動画時のAFが怪しいという点や、連写時に徐々にブレが発生する点、そして少しでも撮影環境が悪くなると画質が一気に悪くなる点などが不満でしたが、それらについてはこのレンズでは全く気になりません。
当たり前のことなんですが、メカシャッターの連写を気兼ねなく使えるというのはとてもいいですね。当たり前のことを当たり前にできないというのが、いかにストレスだったかを改めて感じました。
デカさを許容できるならいいレンズだと思います
というわけでは、本日はシグマの150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsのご紹介でした。
このレンズは決して所有欲を満たしてくれるようなスペシャルな造りのレンズではないものの、性能には全く不満は感じていません。まさに実質堅固、ザ・仕事道具っていう感じのレンズです。
最初目にした時はあまりの大きさに面食らってしまいましたし、やってしもうた感をむっちゃ感じていましたが、いまではその焦点距離の長さと描写力のお陰ですっかりお気に入りのレンズです。お気に入りになると、不思議と大きさと重さも気になりません。いや、デカくて重いけど・・・。
ライカLマウントでは超望遠レンズの選択肢はまだまだかなり少ないですが、軽さとコンパクトさを求めるなら”ライトバズーカ”の100-400mm F5-6.3、画質と焦点距離を求めるならこの150-600mm F5-6.3 DG DN OSと、綺麗に住み分けできているように感じます。
とはいうものの、コンパクトさの為に画質やレンズの明るさを犠牲にするのであればフルサイズを使うメリットが損なわれてしまいますので、超望遠レンズを購入するのであれば100-400mm F5-6.3よりも150-600mm F5-6.3 DG DN OSの方がいいんじゃないかなーって、感じています。デカさと重さを許容できれば、ですけどね。