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突然なんですが、みなさまはYouTubeはご覧になられますか?また、お気に入りのチャンネルはございますか?
わたしは随分前はテレビ大好き人間だったというのに、歳を重ねる毎にテレビはだんだんと見なくなり、ここ数年はもうYouTubeばかり。時間が決まっているテレビ番組よりも、好きなタイミングで見ることができるYouTubeの方がずっと気楽なのです。
YouTubeではいろんなジャンルの動画を見てはいるのですが、最近は『大工の正やんShoyan』という大工さんのチャンネルを食い入るように見ています。木工をやる人は是非見てみて下さい。大工さんの技術がいかにすごいか、映像からだけでも凄い伝わってきますよ。
Youtuberとわたしとでは丸ノコの切れ味が全然違う!
さて、本日のお話はスライド丸ノコ。兼ねてからご紹介しておりますとおり、わたしはHiKOKIのスライド丸ノコ『FC7FSB』を愛用しています。高価だけど、買って良かったーって強く思っています。
ところで、先程紹介させていただきました『大工の正やんShoyan』チャンネルでもHiKOKIのスライド丸ノコが度々登場してくるのですが、どう見てもわたしのスライド丸ノコとは切断スピードも、切断時の音も、明らかに違うことがすごく気になっているんです。
わたしのスライド丸ノコが、ぎゃーんと大きな音を立てながら重々しく切断しているのに対し、『大工の正やんShoyan』チャンネルで登場するスライド丸ノコは、キュイーンと軽い音で、まるで豆腐でも切るかのように軽快に木材を切っています。
こ、これが素人とプロの技術の差か!…ではなくて、あれ?なんだかわたしのスライド丸ノコがおかしいんじゃね?と思わざるをえない。
使用しているスライド丸ノコが同じHiKOKI製でもプロ向けの機種とDIY向けの機種という違いはあるけど、切れ味に直結するのはやっぱり刃。丸ノコ刃。チップソーでしょ?
そんな疑惑のチップソーですが、わたしはこれまでスライド丸ノコに付属してきたHiKOKI製のチップソーを使っていました。こういうコーティングがなくて金属丸出し、レーザー加工によるスリットもないタイプは切断時の音が大きくなりがちなのはこれまでの経験から分かっているんです。
しかしながら、価格を調べるとこのHiKOKIの地味なチップソーは定価で5,200円(実売価格3,500円くらい)もします。他メーカー製のコーティングやレーザー加工された製品だと2,000円程度からありますから、この一見地味なチップソーは決して安物ではないのです。むしろ結構お高い部類?だから貧乏性のわたしは、わざわざ買い替えるのもなぁ…と思ってこれまで使い続けてきました。必ずしもお値段=性能というわけでもないのにね。
だけど何かしらの理由で切れ味が悪いのは間違いないんだから、ここは潔くチップソーを別のに変えてみましょう。
我々素人には難しいチップソー選び
チップソーの選び方って難しいですよね。
チップソーなんて、直径・刃の数・表面処理くらいしか選ぶ要素はないと思っていたんですが、実際は剛性や刃の厚み、刃の研磨の有無など様々な要素が絡んでいる様子。
例えば、刃の数が多くなるほど切断面は綺麗になるけど、抵抗と刃のブレが増えて精度が低下するって一般的に言われています。でも、わたしはこの常識すらピンとこないんです。スパッと綺麗に切れてるのに精度がでないってどういうこと?スパッと切れたら精度も上がりそうなのに…
そんな感じで素人のわたしには細かいことはよく分からないけど、卓上丸ノコ・スライド丸ノコ用のいいチップソーを買えば、とりえあずは無難なはず。
一般的な丸ノコ用のチップソーと卓上丸ノコ・スライド丸ノコ用のチップソーは同じ見た目でもちろん互換性もあるけど、卓上丸ノコ・スライド丸ノコ用を謳っている商品は、どうやら刃の厚みなど細かい部分を卓上丸ノコ・スライド丸ノコ用に最適化しているようですよ。
選んだのはHiKOKIの『黒鯱』
で、購入したのはHiKOKIの黒鯱。HiKOKIのお高いチップソーです。チップソーでは同じ製品でも粗切り用・造作用で異なる刃数のバリエーションが用意されていることが多いけど、この卓上丸ノコ・スライド丸ノコ用の190mmでは刃数は75Pしか選べません。
ネット上の口コミでは、同じ価格帯ならマキタの鮫肌がおすすめという意見が多くありましたが、わたしが調べた限りでは、残念ながら鮫肌には165mmまでしかありません。わたしは190mmサイズが欲しいんだ!
なお、この黒鯱はHiKOKIのプロ向けスライド丸ノコについてくることもある刃なので、もしかすると正やんさんはこの刃を使っているのかもしれない。動画でもチップソーは黒かったし。つまり、わたしもこれを使えば木材を豆腐のようにスパスパ切れるのかもしれない!
スライド丸ノコのチップソーを交換
それでは早速チップソーの交換を。HiKOKIのスライド丸ノコ『FC7FSB』は安全カバーを自由に開閉できるので、チップソーの交換はとても楽チン。あと、チップソーを固定する逆ネジのボルトの頭にはわざわざ”L”って文字が入っているのはちょっと感動しました。もちろん逆ネジだと分かりやすくするためのものなのでしょう。自動車などでも逆ネジはよく使われていますが、こんな感じで分かりやすくしているのは見たことありません。
取り外したHiKOKIの地味なチップソー。黒鯱との実売価格差は1,500~2,000円程度。この価格差なら最初っからこちらを付けておいて欲しいのですが、残念ながら黒鯱が最初から付属するのはプロ向けのスライド丸ノコのみ。それも標準装備ではなく、+1,000円の課金による一般木材用のチップソーからのアップグレードになります。
取り外した一般木材用チップソーと黒鯱を並べてみました。
刃数は一般木材用が72P、それに対して黒鯱が75Pですからそれほど変わらないと思っていたんですが、こうやってみると刃の大きさは結構違うように感じます。もちろん色の違いの影響も大きいとは思いますが、実際黒鯱の方が刃の先端部(銀色部分)の面積が小さいんですよね。この部分はチップソーで一番幅のある部分で、すなわち切断時に木材と接触する部分。この部分の面積が小さいということは、切断時の抵抗が小さくなる効果が期待できそう。
2つのチップソーを比較して最も違いがあるのが、刃の形状と仕上げ。
一般木材用(画像右)がごく一般的な刃の形状をしているのに対し、黒鯱(画像左)は刃が互い違いに傾斜しています。しかも画像では伝わりにくいのですが、刃は研磨されているのかギラギラ輝いています。これがどれくらいの効果があるのかは分からないけど、なんだかいいもの感はすごい伝わってきます。
ちなみに、刃の厚みは一般的木材用は2.0mm、黒鯱は1.9mmと僅かながら薄くなっています。薄い方が抵抗が少なそうでいいような気がするけど、あまり薄いと刃がしなって直進安定性やブレが悪化するとも聞いたことがあります。真偽のほどは分からないけど、0.1mmで体感できるほどの差はあるのか、気になるところです。
黒鯱の試し切り。使用感はどうでしょう?
一般木材用チップソーと入れ替えで黒鯱を取り付け。
チップソーの色が変わると随分印象が変わります。でもこれは電動工具、つまりバリバリの実用品なので見た目なんてどうでもいいんです(見た目を楽しむジャンルの工具もあるけど)。大切なのは切れ味などの使用感。それは実際に使ってみないと分からないので、早速試し切りをしましょう。
切断したのは2mm厚のサイプレスとウリン。
わたしのような素人に違いなんて分かるかな?って最初は思っていたんですが、いやいやこれは全然違いますよ。
正やんさんの動画のように、豆腐を切るみたいに簡単に切れる!気分だけは大工さん!
もちろん実際のところは豆腐という表現はあくまでイメージで、ちゃんと木材を切っている手応えはあるんだけど、その手応えが明らかに軽くなっています。そして、切断時の加工音も明らかに小さくなっています。
切断面にはあまり違いを感じません。あえて言うなら黒鯱の方が僅かにバリがでているように感じますが、どちらも十分綺麗(上が一般用、下が黒鯱)。
加工精度や切断面の仕上がりに期待するならお値段だけの価値は感じないけど、切れ味と加工音の小ささは差額2000円分の価値は十分あると感じました。
まとめ
というわけで、今回はスライド丸ノコのチップソーを黒鯱に交換したら大満足、というお話でした。スパッと軽く切れるのはとても気持ちが良いです。機械への負担もだいぶ抑えられることでしょう。加工音が少なくなったのも住宅街ではとてもうれしい効果。
しかしながらこれらの効果ですが、ただ単に元々使っていた一般木材用の刃が消耗して性能が落ちていただけっていう可能性はあります。そんなに使い込んでいないから可能性は低いんだけど、ゼロじゃありませんから。ちゃんとした比較をするなら両方新品で比べないとダメですね。
とはいうものの、新品で買うなら両者の差額は2000円ほど。少なくても黒鯱の使用感は抜群に良かったので、この程度の価格差なら頑張っていい方を買うのも悪くないと思うのですが、いかがでしょうか?