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800N・mという一般家庭ではどう考えても持て余すスペックのハイパワーインパクトレンチに手を出して以降、すっかりマキタの18Vリチウムイオンバッテリシリーズ沼に侵されつつあるわたしの工具事情。
せっかく購入した18Vのバッテリーとバッテリーチャージャーを活用するべく、インパクトレンチ、ブロワ、インパクトドライバをこれまで揃えてきました。
そして今回仲間に加わったのは、充電式のカンナ。
カンナといえば木を削る道具ですが、そんなのサンダー(電動ヤスリ)で十分でしょ?って思っていたんですが、いやいや、実際に使ってみるとこれはなかなか便利ですよ。本日はマキタの18V充電式カンナ『KP180D』のご紹介です。
今回紹介するアイテム
商品名:KP180DZ
メーカー:マキタ
購入価格:20,458円(税込)
結論:削る能力はサンダーとは比較にならないものの、細かい加工は苦手。また、幅の広い木材や曲がりのある木材の加工には注意が必要です
荒材は安価だけど、表面処理が必要不可欠
今回なんで電動カンナなんて購入したかといいますと、最近わたしは荒材や野地板を使う機会がグッと増えたからなんです。
荒材とは木から切り出しただけの未乾燥状態の木材であり、野地板とは屋根の下地などに使う薄い板状の荒材のこと。どちらも乾燥工程やプレーナー加工がされていないので、その分とっても安いのです。
ただ、そのお値段の安さの代わりにいろいろと問題のある木材でもあるんですよね。
その最たるものが、この木材全体に強烈に残っている鋸目。一般的な木材は乾燥させた後に規格寸法になるようにプレーナー加工(周りをごっそり削り落とす加工)がされているので、表面はそれなりにツルツルで滑らかな状態になるんですが、プレーナー加工をしなければこんな感じでゴリゴリに鋸目があるんです。
こんな感じで細かい線状の凹凸になっている場合もあれば、
このように毛羽立ちまくっている場合もあります。
どちらにしても見た目は悪いですし、なによりもこれだけ凹凸が多いと水分を含みやすくて屋外では痛みも早いでしょう。荒材や野地板を使う場合は最低でもこの表面の凹凸を滑らかにしてやる必要があります。
ところが、この凹凸を滑らかにする作業っていうのが、もうほんとうに面倒で、面倒で…。
最初は手カンナやサンダーで削り落としていたんですが、野地板一枚仕上げるのに20~30分くらいの時間がかかるので、とてもじゃないけどやってられなくなりました。労力を考えたら安価な荒材や野地板を使う意味ないんじゃね?って思い始めてきたのです。
マキタのKP180DZを購入しました
労力を考えたら安価な荒材や野地板を使う意味ないんじゃね?って思ったのならば、大人しくちゃんとした木材を買うのが普通なんでしょうが、それでもやっぱり荒材や野地板の低価格は魅力的…。ならば表面を削る作業をもっとスピーディーにできるような道具を用意したらいいんだ!と考えて購入したのがこちら。
マキタの充電式カンナ『KP180DZ』です。
マキタのリチウムイオンバッテリシリーズにはバッテリとバッテリーチャージャー付のセットと、工具本体のみの2つの販売形態がありますが、今回購入したのは工具本体のみの『KP180DZ』。バッテリとバッテリチャージャーがセットになったのは『KP180DRF』となります。というこは工具自体のお名前はKP180Dってことですね。
ちなみにこのKP180Dには14.4V仕様のKP140Dというモデルもあり、スペックや本体の使用はほぼ一緒。違うのは最大切削深さが1.6mmと2mmというくらい。DIYなら14.4Vモデルでも全く問題無いどころか、少し軽く、少し安価というのはDIYでは大きいメリットのはず。わたしの場合は18Vのバッテリーセットを持っていたからKP180DZを選ばざるを得なかったんですが、DIYならば14.4V仕様を選ぶのも全然アリでしょう。
電動カンナはカンナといってもその仕組みは手カンナとは全然違って、高速で回転する刃が木材を削り取る仕組み。手カンナでは奥から手前に向かって削りますが、電動カンナでは手前から奥に向かって削ることになります。手カンナとは真逆の動きですね。また、削りカスも手カンナの場合は薄い帯状になりますが、電動カンナの場合は細かい屑状になります。
刃の幅は82mm。手カンナと比べるとかなり広いので、一度でかなりの範囲を削ることができますね。
削る深さはこのダイヤルを回すことで調整できます。ダイヤルを回せばそのメモリ分だけ刃が出る仕組みです。
…が、ご覧のとおりメモリは大雑把で正直あまり正確でもないように感じます。そして最小メモリの0.1mmでも結構削れてしまいます。使う時はその都度いらない木材で刃の出方と削り量を確認するようにしましょう。
マキタのKP180Dの使い勝手
削り能力は抜群。サンダーの比ではない!
野地板をサンダーでちまちま削るのにほとほと疲れ果てていたわたし。早速使ってみました、電動カンナというやつを!
これがわたしの人生で電動カンナによる初めての加工。
画像中の赤点線から左側が電動カンナでスーッと削った部分で、右側が削っていない部分です。野地板ならではのデメリットである表面の毛羽立ちが綺麗さっぱり無くなって、ツルツルすべすべの状態になっているではありませんか。加工時間は僅か10秒ほど。サンダーでちまちま削るのとは雲泥の差の加工スピードです。
こちらもまた別の野地板での例。もちろん奥側が電動カンナで削った部分です。
サンダーで削るとパッと見は平滑ですが、実際は細かく毛羽立っており、水が染み込みやすい状態らしいですね。それに対してカンナは木を捲るように削るので毛羽立ちが少なく、水を弾きやすいんだとか。それが本当ならば、屋外で使う木材は電動カンナで加工した方がいいように思えますね。
加工音は思ったよりも大きくはない
綺麗に削れるというのはとてもいいんですが、実は電動カンナを購入する際に一番気になっていたのが加工音の大きさ。
電動カンナは15,000rpmという高速で刃が回転する工具なんですが、同じように高速で刃を回転させて切削する工具であるトリマーは、ほんとうに作動音・加工音が大きくて煩いんですよね。便利なんだけど、極力使いたくない電動工具なんです。
なのでこの電動カンナも同じように耳障りな高音、かつ大音量の作動音・加工音が鳴り響くかと思いきや、実際に使ってみると意外とマシだったのです。恐らくなんですが、木を細かく削り取っているトリマーに対し、電動カンナは木を捲るように剥がしているので、切削量の割には加工音がしないのでしょう。削りカスもトリマーより細かくありません。
とはいうものの、これはあくまで”切削量の割には”というだけであり、やっぱりかなりの作動音・加工音はします。少なくてもマンションの室内やベランダで使うものでは絶対にありません。
マキタのKP180Dを使って気になった点
わたしは電動カンナを使うのは今回が人生で初めての経験だったのですが、実際に使ってるといろいろと気になる部分がありました。もちろん圧倒的な経験の無さによるものもあるんでしょうが、中にはこの道具ならではのデメリットも間違いなくありました。今回はこの道具ならではのデメリット・気になる点について紹介します。
削りカスの量がヤバい。ダストバッグは必須
これはデメリットというよりかはもうどうしようもないことなんだけど、電動カンナは簡単にモリモリ木材を削ることができるので、その分削りカスの量が半端なく多いです。トリマーも結構多いと思っていましたが、トリマーなんて比べものにならないくらい多いです。
しかもその大量の削りカスは側面に設けられた排出口(黒い部品)から盛大に撒き散らすので、ひとたび木材を削れば周囲は削りカスまみれに。木材加工をする為の工場であればそれでもいいんでしょうが、わたしのような自宅での素人DIYではこれは大問題。お庭にあっという間に削りカスが積ります。
それを防ぐ為に、このようなダストバッグは必須。
ところが、こういうダストバッグって電動工具を購入すると付属する場合が多いんだけど、今回購入したKP180DZでは別売品なのです。
ダストバッグが必須としか思えない道具のくせになんで別売扱いなの!?ってすごく不思議だったんですが、恐らく発生する削りカスの量が多すぎるので、ダストバッグを取り付けるのは却って効率が悪いのでしょう。5分くらい加工すればダストバッグはすぐにパンパンになってしまい、削りカスを捨てる作業が必要になるからです。
ダストバッグの取り付けにはダストバッグだけではなくダストバッグを取り付けるためのノズル(アダプター)も必要です。ノズル『451329-1』が166円、ダストバッグ『122793-0』が1,652円でした。ノズルは最初からついている削りカス排出口(黒いパーツ)を取り外して取り付けます。必要な工具はプラスドライバーだけ。
幅の広い木材や曲がりのある木材では段差ができる
今回電動カンナを使ってみて一番気になったのがこれ。
電動カンナはサンダーや手カンナとは比較にならないくらいモリモリ木材を削ってくれるのですが、その一方で削る能力が高すぎるが為に一発で綺麗に仕上げることができなければ切削痕が残ってしまうのです。
具体的には画像の矢印部分、線状の段差ができているのがお分かりになるでしょうか?これは電動カンナで削った際、刃の端っこ部分で発生した段差です。
今回使用したマキタのKP180Dは刃の幅が82mmなんですが、画像に写っている野地板の幅は105mm。物理的に一発で綺麗に削ることができず、どうしてもこのような段差が発生してしまうのです。ちなみに、この段差は刃の深さを0.1mm以下にしている状態のもの。わたしの目にはどうみてももっと深いように見えるのですが、とにかく目一杯刃を引っ込めてもこの程度の段差は出来てしまうということです。
この段差をなくす為に2回目のカンナがけの位置合わせを行おうとしてもそれはとても難しいし(詳しくは後述)、かといって段差をサンダー等で削って修正しようとしてもこの段差が思いのほか大きいのでそれも結構大変なのです。
このような段差以外にも、曲がりや反りのある木材を削った場合にはどうしても削りムラが発生してしまうので、綺麗に削るにはテクニック以外にも加工する木材との相性も重要となります。
刃の位置が分かり難い
加工する木材によっては切削痕や段差、削りムラが発生してしまうのは前述のとおりですが、それを修正しようとした時にモヤっとするのが刃の位置が分かり難いっていうこと。
正確な加工をするには刃の当たる位置を適切に把握して、加工箇所に正確に当てることが重要なんですが、なんせこの道具では加工中に刃が全く見えないので、どこを削っているのかさっぱり分かりません。トリマーや丸ノコなどの他の工具とは大違いです。経験を積めばなんとなく分かるようになるのでしょうが、そうでなければ正確な作業はとてもじゃないけど無理。
基本的にはガーっと大雑把に削る道具だと思っておきましょう。
重い
充電式の電動工具だから仕方がないですが、やっぱり重いです。重量は3kgオーバー。電動カンナは削り始めと削り終わりに道具を持ち上げる必要があるので、繰り返し作業していると結構堪えます。
電動カンナを気軽に使いたいっていう人は、RYOBIのDIY向けのやつの方がずっといいと思います。一度に最大で1mmしか削れないけど、軽く、そしてとても安価です。軽さと価格の安さもDIYではとても重要ですからね。
まとめ。電動カンナが必要かどうかは削る量次第。サンダーでは手に負えない時には強い味方になるはず
というわけで、本日はマキタの充電式電動カンナ『KP180D』と、電動カンナそのものについてわたしが感じたことのご紹介でした。
最近わたしは荒材や野地板といった表面が荒れ放題の木材を使う機会が多かったので、結論としてはこの電動カンナを買ってよかったと思っています。野地板のような幅広の木材ではなかなか切削痕を綺麗に消せないという大きなデメリットは感じていますが、サンダーでちまちま削るのと比べたら作業スピードは雲泥の差なのです。
ただ、わたしの今の技術ではこの道具はガーッと大雑把に削る道具、という認識ですから、そういう用途でなければサンダー(電動ヤスリ)の方がよっぽど汎用性の高い道具だと思います。サンダーでは手に負えない時に検討するのはアリだと思いますが、それでもRYOBIのML-83Sといったエントリーモデルで十分なんじゃないかなって感じですね。